「歌舞伎を包括的に描こうとし過ぎか、中途半端に感じた」国宝 にちさんの映画レビュー(感想・評価)
歌舞伎を包括的に描こうとし過ぎか、中途半端に感じた
この作品は、歌舞伎という芸そのものの奥深さや美しさ、習得の困難さだけではなく、その世界特有の慣例や習わしも描くなど包括的に描かれているが、それには歌舞伎の世界が深すぎるのか、どこか全体的に中途半端になってしまった印象である。
歌舞伎を鑑賞したことがない自分にとって、本作は歌舞伎の世界を垣間見るだけでなく、実際の生の歌舞伎を観ているような体験で、面白いと感じた。またその稽古シーンも、その道を極めしものだからこそ分かる所作の違いや感覚について描かれ、いかに奥深い世界かを分からせてくれる。
一方で、物語が展開するにつれて次第に飽きてきた部分もあり、それは歌舞伎の演目自体に飽きたのではなく、物語展開に飽きてしまったのかもしれない。例えば、喜久雄は任侠の一門として描く意味はなんだったのだろうか。この物語の一つの大きな要素として「歌舞伎の血筋ではない」ことからの排除があるが、であれば別に任侠の一門である必要はなく、前半に任侠シーンを挟んだ割にはそれが後半活かしてくるのは一瞬スキャンダルがあったくらいであまり意味があるように感じなかった。また、俊介が失踪したり復帰するあたりもなんか雑に感じてしまった。それでか、集中を保てず後半は時間が長く感じてしまった。個人的には歌舞伎の中でもテーマをもう少し絞って、芸の習得に絞るか、あるいその慣例慣わしに絞るか、したほうがより深い作品となったように感じる。
にち 様
当方のぶしつけなコメントに丁寧にお答えくださり、ありがとうございます。
> 少し言葉が足りずに誤解を生んでしまったかもしれません。
いえ、こちらこそ貴レビューの読み込みが浅く申しわけございません。
そこで、にち様に希望(期待)するのは次の2点です。
・歌舞伎を鑑賞された後、『国宝』へのご感想がどう変わるか?
・映画『残菊物語』(1939、溝口健二監督)のレビューを拝見したい。
今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます
おっしゃるとおり自分は歌舞伎を実際に観たことはないのですが、ここで書いた『その道を極めしものだからこそ分かる所作の違いや感覚』というのは、自分がそれを分かるという意味ではなく、劇中で師匠や指導者が弟子に所作を指摘しているシーンを通じて、自分のような初心者でも“なるほど、極めた人にはこういう細部が見えているんだな”と知れた、という意味でした。
少し言葉が足りずに誤解を生んでしまったかもしれません。
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