劇場公開日 2025年6月6日

「悪魔との契約(加筆修正済)」国宝 黙思亭不語さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 悪魔との契約(加筆修正済)

2025年7月4日
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鑑賞方法:映画館

単純

カワイイ

芸のためなら何でも捨てるという契約を悪魔と交わした主人公が、艱難辛苦遂に人間国宝になるという、50年間にわたる一代記である。ちゃんと伏線回収があるんだよね。

梨園の名門の御曹司(横浜流星)とヤクザの家に生まれた主人公(吉沢亮)が、ライバルとして鎬を削る。

スポーツ界では、エリートと叩き上げのライバル話は、よくある。古くは英国の陸上選手セバスチャン・コーとスティーブ・オベット、米国のフィギュアスケートのナンシー・ケリガンとトーニャ・ハーディング、大相撲の大の里と豊昇龍もそうかな。

大抵は、エリートが勝って、叩き上げが涙を飲むことになるのであるが、この映画は、そこがちょいと捻ってある。

様々なエピソードがあって、展開が早いので退屈しないが、「禍福は糾える縄の如し」そのもののストーリーは、陳腐。もっとピカレスクに徹すればいいのに。

寺島しのぶサンがいい味を出しているのは、さすがである。彼女は歌舞伎役者になりたかったんだよね。

舞台の映像は、まことに幻想的である。バックの伝統的な囃子に、現代のシンセサイザー音楽を被せるのは、趣向であるが、なかなかよかった。

しかしながら。

歌舞伎に関する素養がないと(例えば曽根崎心中のストーリーを知っていないと)、クライマックスシーンの意味がわからないだろう。足フェチじゃないんだからね。

その意味で、外国人には、理解し難い映画だと思う。あ、日本人でも、ミーハーには無理か。

結論:吉沢亮くんと横浜流星くんは、本当によく頑張った。田中泯サンの怪演も見ものである。

黙思亭不語
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