劇場公開日 2025年6月6日

「映画と歌舞伎で2度美味しい!美しく品格ある芸術作品」国宝 saiko *さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 映画と歌舞伎で2度美味しい!美しく品格ある芸術作品

2025年6月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

あまりの美しさと深さに心を奪われました。まさに「国宝」の名にふさわしい芸術作品です。

冒頭で繰り広げられるスリリングな展開に釘付けにされ、その後の時代を映す背景、ファッション、そして建物等、細部までこだわり抜いて描かれた情景に、あっという間に物語の世界へと誘われます。
さらにタイトルである「国宝」が差し込まれるタイミングが絶妙。序盤の展開を見事にまとめ上げ、後半への期待感をグッと高める監督の確かな手腕が光っていました。
本作は、歌舞伎という厳しい芸の世界に身を置き、絶望と栄光に翻弄される人間模様が美しく描かれています。

並々ならぬ鍛錬と努力を重ね苦悩しながら生きる。このような経験もない自分にとっては、頭で理解しようと努めるしかないはずでした。
ところがそんな努力は不要。魂を揺さぶるような演技に涙が止まりません。

それはまさに吉沢亮さんと横浜流星さん、この当代きっての俳優陣の力にほかなりません。歌舞伎役者ではない彼らが挑んだ困難、積み上げた努力は計り知れないです。

この二人が演じた喜久雄と俊坊。がむしゃらに挑んで、転んで、歯をくいしばって、恐怖や悔しさを糧にして、そして自身に心酔して喜びに震え、また転んで…。
歌舞伎の世界で生き続け、極限まで追い求める複雑な心中を演技にぶつけてくるのです。
作中の歌舞伎に映しだされる絶望と陶酔、その迫真の演技にただただ圧倒されます。

彼らをそこまで駆り立てたものは何だったのか。多くの犠牲を払ってまでも、なぜその道を選び進むのか。
華やかに見えるこの世界で芸を極めた結果、最後まで孤高であった田中托さん扮する萬菊。
栄枯盛衰、栄華を極めることの虚しさと潜む中毒性が深く心に響きました。

終盤に、高畑充希と森七菜を入れ替えている演出がありました。多くを語らない喜久雄の心中を分かりやすく表現しているのだと思います。

手に入れた代わりに失ったもの。手に入れなかったからこそ得られたもの。
自分の中に現れたやるせない気持ちの根元は、これだったかもしれません。

saiko *
sumireさんのコメント
2025年6月26日

共感とコメント、ありがとうございます。
喜久雄と俊ぼん、二人の演技と舞に酔いしれる3時間でした。萬菊さんも良かった。「この部屋には美しいもんがなにもないやろ。ほっとするねん」というセリフには、まさに究極のなれの果てを感じました。

sumire
Freddie3vさんのコメント
2025年6月26日

フォローのご挨拶いただき、ありがとうございます。フォローバックします。よろしくお願いします

Freddie3v
かばこさんのコメント
2025年6月25日

キャスティングが素晴らしかったです。
吉沢亮と横浜流星、仮面ライダーのティーンが、ここまでなろうとは
フォローありがとうございます😊
こちらからもフォローさせていただきます!

かばこ
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