「吉沢亮が神懸かっている…否、悪魔懸かっている」国宝 ひとふでさんの映画レビュー(感想・評価)
吉沢亮が神懸かっている…否、悪魔懸かっている
血筋か才能かという王道テーマを歌舞伎の世界から真正面に描いた作品。
実写邦画でこのレベルの作品って近年何かあったっけ?と思うほど、ここ数年の邦画の中では抜きんでた存在。
歌舞伎のことはよくわからないけど、作品にかける熱量が半端ないことが演技、演出、劇伴あらゆるところからビンビン伝わってくる。
主演の吉沢亮とライバルである横浜流星の二人の演技だけでも3回は観る価値あり。
歌舞伎を演じながら、それぞれ喜久雄、俊介をオーバーラップさせて演じている。
2回ある曽根崎心中、二人の立ち位置、舞台に懸ける思いの種類が違うけど、それぞれ素晴らしい。
そういった心情を効果的に表す構成にした脚本も、カメラアングルも見事。
人間国宝万菊さんの存在感も圧巻。
万菊さんとのやりとりはもっと観たかった。
俊介の葛藤や女性陣の心の機微ももっと観たかった。
そういったところは映画として最小限に抑えていて、演者の演技と観客を信じて余白を残している。
3時間近くあるけど、カットされたであろうエピソードをもっと観たいと思わせる。
日本映画史に残る大傑作。
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