劇場公開日 2025年6月6日

「歌舞伎好きにも感動を与える作品」国宝 バーバヤガーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5歌舞伎好きにも感動を与える作品

2025年6月6日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

映画【国宝】すばらしい。

原作を2回読みました。
なので、小説と脚本の違いがよくわかります。
設定を変えた場面も多くありますが、なるほどと納得するばかりです。

冒頭、この作品の大序というべき「ヤクザの殴りこみ」の場は、小説の美しさとリアル感そのままで、緊張して呼吸を忘れるほどです。

もし、人生を動かしている歯車というものがあるのならば、喜久雄という男の歯車がガタガタと大きく向きを変えてあらぬ方へと動き出す瞬間です。

そんな歯車の軋みが何度も何度もやってくる。
周りの人を巻き込んで。
また、周りの人に巻き込まれて。

どうしてこうなる。
どうしてそうする。
と、いろんな場面で言いたくなるんですけど、
「どうしてもこうしてもあるかいな!」というあがきのような叫びが聞こえてくるようです。

主演のお二人は、女形の所作が驚くほどきれいです。どんなにお稽古なさったのか想像できますが、でもきっと私たちの想像をはるかに超える鍛錬をなさったに違いない。俳優さんて、すごい。

歌舞伎の楽屋裏の様子や普段の生活を細かく指導したのは鴈治郎さん。リアリティがグッと感じられます。(ご本人にもっとたくさんスクリーンに出てほしかったわ♡舞台の鴈治郎さんはほんとに素敵です)

ひとつだけ、あれ?と思ったところを挙げると、田中泯さんの踊りが、ある場面で歌舞伎じゃなくてダンスに見えたこと。上げた掌も大きく見えてしまった。

でもこの映画は、歌舞伎を見せるのではなくて、歌舞伎役者である2人の青年の物語を見せるもの。
とてもいい感動を覚えました。

来週また観ます。

バーバヤガー
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