「趣旨が理解不可能に近く特定の人を怒らせる展開になるのが…」新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
趣旨が理解不可能に近く特定の人を怒らせる展開になるのが…
今年290本目(合計1,382本目/今月(2024年8月度)15本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
映画見すぎでレビューを溜めこむのは良くないですね…。
で、こちらの作品なのですが、高校の新聞部をテーマにしていることは理解できるし、あるいはこの映画に出てくる俳優さんほかのラインナップを見れば、それ目当てで行くというのもまぁまぁ理解はできます(ベイビーわるきゅーれの高石あかりさんなど)。
ただ何を思ったのかこの映画、最後のエンディングロール間近のいわゆる起承転結の「結」の部分で(各登場人物のその後の描写として)「そして行政書士を目指すことになった」というのがかなり謎です。法律ネタってやってたっけ…。
そして資格持ちの立場で見ると、一応そういうところはないわけもないのが困ったところ。
具体的には、報道の自由と取材の自由は憲法上保証されるか、また、中高の新聞部等に対して学説や最高裁判例等は趣旨が類推適用されるかというものになりましょうが、前者はまぁともかく、後者はそれで争われたことが日本になく、実際に考えづらいところではあります(日本では具体的事件に対して裁判所で憲法論が登場するのであり、抽象的事件や架空の事件に対して憲法論を論じることはできない)。かつ、後者について論じられたことはないように思われます(かつ、中高生という大学ではない場所において、取材・報道の自由について、有名な最高裁判例の趣旨がかかる場面で妥当するかというのはかなり論じにくい)。
すなわち、「一応は」そういうことをいきなり言い出すあたりに憲法論というか法律ネタは一応感じられるのですが、法律ネタ映画でもないので(特に憲法論は扱いが難しいので、何気ない映画でいきなり出してくることは少ない。日本国憲法の成り立ちや、8月に多い原爆、戦争ものに付随して9条を論じるような映画除く)、じゃなんでここで行政書士なんですかというのも謎だという…。というより、今でこそ中高の授業に各都道府県の弁護士会や行政書士会が赴いて法教育をすることはままありましょうが、中高生で行政書士の資格が何たるかを知っている人は激レアではないのかと…。
※ それは試験そのものにあらわれます(人気資格だといわれて、どういう資格なのかわからず受験する人がいて、開業後に法の範囲を超えた業務を行いトラブルを起こすため、今年令和6年から、行政書士法が必ず1問以上問われることになりました)。
そんな事情があるので、何を言いたいのか最後で突然よくわからない展開にいきなり飛ぶのが何ともといったところです。かつ、資格持ちは上記のように「(中高の部活としての)新聞部に、判例の積み重ねとなる取材・報道の自由は類推適用されるか」といった観方で見るしかないものの、そんなマニアックな観方ではみないし、かつ過去に例がないので確固たる正解があるわけではなく、かなり苦労するのではないかと…。
まぁものすごく穿った見方をするなら、(狭義の意味での)法律系資格は数が少なく(仮に宅建まで含めても4つしかない。司法試験、司法書士、行政書士、宅建)、その中でもエントリー資格とも言われる行政書士を無理やり出したんだろうという観方も可能ですが、そこまで資格に上下を付ける意味もないしそういう意図はないものと思いますが、ないとするとなぜいきなり出るのかも謎で、観方に苦労するんですよね…。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.8/結局何を述べたいのか不明)
結局上記の点につきる部分があり、そういう発言をするので、憲法論(取材・報道の自由)をしたいのか何なのかが不明であり困ってしまう点、また一応にはそういう観方も存在はする点などであり、ストーリーがブレブレになっているところでしょう。
っていうより、テアトル梅田(旧シネリーブル梅田)の120人程度のシアターで、行政書士だの司法書士だの知っている人が何人いるんだか…。
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