「う〜む、モヤモヤが溢れている」正体 守井 象さんの映画レビュー(感想・評価)
う〜む、モヤモヤが溢れている
演者さんは精一杯の仕事をしていたと思います 真田広之の後継的位置にある流星くんも(キムタク信長の如く)貧相で迫力ない声だけが玉に瑕なのだけど、今回の役回りでは、その声色・声力が足枷にはなっていなかった
さて物語は分かり易く、そのままサラっと流しておけばよいのでしょうが、
どうしても引っかかってしまう突っ込みどころも少なからず....
[以降↓はネタバレともなり得るので閲覧注意で願います]
さて大きなところでは
松重演じる警視◯◯の冤罪誘導の乱暴さはどうだろう?(この大胆な軽さは非現実的)
その圧力に応じた前半の山田孝之演ずる又貫刑事は「証拠はあるんだから」と血色ばむのは、凶器指紋以外にも錯乱〜心神耗弱の目撃者=被害者遺族=由子から、警視◯◯のストーリーに沿った証言を誘導した調書を作成した警視◯◯側のBad Lieutenant (悪代官)だと思われたのだが.....
第一審で鏑木が無罪を主張した折には、凶器に指紋をつけた経緯、真犯人と対面した下りを陳述していた筈なのに....
更に、又貫刑事は真犯人・足利を取り調べ時に模倣犯と呼び、それを否定した足利が、後に事件現場の東村山で勤務→退職していた経歴に”たまたま“気がつく下り...はどうだろう? 又貫は単に職能不適合者なのか
一貫して横暴な警視◯◯の態度に、初めて?反感を覚え、記者会見時に捜査誤認の可能性を彼の一存で発表する
大体、一介の担当刑事が記者会見で常にマイクを握って主だって喋っている構図を見たことがない
その後、その反組織的発言に対しての処分についてもノータッチのままだった
鏑木に「なぜ逃げた?」を繰り返し聞く又貫 鏑木は自らの冤罪を晴らす為に隠密に実に効率よく情報を集めていたのだが「信じられるものが---何ちゃら」とか言い、又貫が揺さぶられた(ことになったらしい)
控訴裁(再審?)で詳細な進捗が示されないまま逆転無罪を勝ち取る下りは、何が決め手になったのか? 実際の袴田事件の捏造証拠、DNA鑑定くらいに明確な反証がなければ、日本では逆転無罪を勝ち取れない 凶器指紋が足利のものと一致したのだろうか? 目撃者=由子が正気に戻って有力な新証言を述べたのだろうか?
う〜む、モヤモヤする
細かいところでは
ジャンプ野々村は110番通報しておいて「パニクったけど、ダチだから」と何のけれん味もなくしれっと冤罪(再審?)署名活動してるし
沙耶香の指名手配犯隠匿+「逃げて」公務執行妨害は不問に付されたようだし
沙耶香のマンションから衆人の見守る中逃走、橋から川に飛び込んだくらいで逃げ仰せてるし
物語としては沙耶香父の痴漢有罪同様に不当判決(有罪)が確定し、世の理不尽さは生易しくなかった、でも免職された?又貫ほか有志は無罪(冤罪)を立証するべく活動を続けた.....方がリアリティを勝ち得たかも