入国審査のレビュー・感想・評価
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その先
肩透かし
密室の心理スリラー作品として映画『キサラギ』のような
次から次へと現れる新事実、衝撃のどんでん返し!
みたいなのを期待するとガックリ来る作品だと言っておきたい
明かされる真実はよくある話だし、そこから更に矢継ぎ早に新事実が明かされ
気づけばまったく違う地平にたどり着くとかそういうこともない
ラストに、序盤のあれは伏線だったのか〜とかもない(なんか怪しいのチラホラあるのに)
俺がそうだったけどそういうのを期待して見に行くなら待ったをかける
入国審査の理不尽さ、緊張感、揺らぎだすパートナーへの信頼、
そういうのを疑似体験して楽しむ映画…かな?
薄暗くなる部屋、外の工事の音、役者さん達のストレスを受けてる演技など
絵作りなどはいいだけにシナリオがもっとキレていたら…と思ってしまう
正直あまり他人にお勧めしない
水際作戦
円安が続く昨今、海外に出稼ぎに出る日本人が増えたせいか、ハワイで入国拒否された日本人女性観光客のニュースが話題になった。彼女は売春目的だと疑われたのだそうだ。
本作で主人公たちが体験する入国審査の実態はほぼ監督の実体験に基づくもので、作品を鑑賞した同じような体験をした移民の人々からも多くの共感を得たのだという。
携帯は厳禁。渡航目的の中に人と会う約束があればその相手に電話をかけて確認したり、プライベートなことでも根掘り葉掘り聞かれるという。
劇中でダンサーのエレナが踊ることを強要されたのも実際の監督の奥さんの話だという。
入国審査はいわば危険人物を自国に入国させないための最後の砦であり、大きな裁量を与えられている審査官たちは時には人権侵害すれすれとも思われる発言も行う。それは自分の職務に忠実なことの裏返しだとも言える。彼らにとってはこの不快感極まりない入国審査はただの日常業務でしかないのだ。実際に審査される側にしたら監督の言う通りトラウマになるのは必至だろうけど。
いま移民への排斥運動が巻き起こっている世界の現状において実にタイムリーな作品と思える本作。移民を取り巻く世界の現状がこの77分の上映時間にすべて凝縮されていたように思えた。
アメリカではいまそれこそトランプによる排外主義盛んな時期だが、アメリカの入国審査の厳しさはそれ以前から、すなわち9.11以降からだという。必ずしもトランプ政権による影響ではないのだという。
確かにそれは納得できるが、本作の主人公ディエゴはテロリストでもなければ犯罪歴もない普通の市民だ。しかし彼の過去の行いが審査官の目に留まり厳しい追及を受けることになる。
彼は客観的にどう見てもビザ取得のためにアメリカ人女性との偽装結婚を画策していた。しかし同時に交際していたエレナがグリーンカードを抽選で取得したのを機にその婚約を破棄する。偽装結婚を疑われるリスクよりグリーンカードの方が安全性が高いからだ。
パートナーのグリーンカード取得は法律婚を経ていなくとも自身もグリーンカードを取得できる可能性が高い。
もちろんビザ取得のための偽装結婚の疑い、そしてエレナとの関係もそうではないかというのは審査官たちの推測に過ぎない。偽装結婚については明らかに交際の実態もなく婚約してることからほぼ間違いないであろうが、婚約は破棄してるので偽装結婚自体は未遂である。その事情を加味してエレナとの交際、事実婚まで実体がないとは言えない。エレナとの交際の実態はディエゴの主観により判断されるべきものだからだ。
もし仮にビザ取得目当てでエレナに近づいていたとしても、半分はエレナに好意を抱いていたかもしれない。いや、たとえ彼の内心がビザ取得目的が90%、エレナへの愛情が10%だとしてもそれが事実婚の実態を否定することはできない。それを知ったエレナの気持ちは別だが。
まさにディエゴの違法性が証明困難なのは審査官もよく承知してるからこそ、彼らは別の方法でアプローチを続ける。
ディエゴの婚約の事実、彼の意図はどこにあるのか、それをエレナに知らしめて揺さぶりをかける。
当然この事実を知らされたエレナはディエゴを信じられなくなる。二人別々に尋問を受けたこの期に及んでさえディエゴは噓をついた。
エレナはディエゴに離れてベンチの席に座る。二人の関係は尋問を受けて壊れかけていた。
審査官が自国にとって不利益となる人物、その疑わしい人物を自国に入国させたくないという思いで日々職務についていると考えれば、二人のプライバシーを侵害して、二人の仲を引き裂くようなことまで許されていいものか。なんともこの辺の判断も難しいところではある。正直ここまで執拗に入国をさせないよう画策するのは度が過ぎているとも思える。この辺はさすがに映画的な脚色だと思いたい。しかし現にその広い裁量権から審査官による恣意的判断もなされるという。審査官によって入国が認められたり認められなかったりと。
そもそも自分が生まれた国で一生暮らしていけることはなんと恵まれたことなんだろうとしみじみ思う。
このディエゴの生まれた国ベネズエラは政情不安で、彼は一足先に自主的に国外へ脱出してるが、その後この作品の舞台2019年の時期に難民問題が発生し、ベネズエラはシリア難民に次ぐ数の難民を輩出する事態に。ディエゴ自身も本来ならば難民として保護されていてもおかしくない身分だった。
しかしニュースで報じられた通り現トランプ政権はTPS(一時保護資格)によりアメリカに保護された難民たちの資格を取り消し強制送還をする構えだ。彼ら難民がベネズエラの犯罪組織に属しているという理由で。しかし彼らが犯罪組織に属していることの証明はなされない。中には普通の人がエルサルバドルの悪名高いテロ犯専用刑務所に送られるケースもあったという。
自国から命からがら自由の国のアメリカに逃れてきて、九死に一生を得たと感じていたベネズエラ難民の人々にしたらたまったものではないだろう。
そんなベネズエラの人々の事情を考えればディエゴが何としてもビザを取得してアメリカへの移住を成し遂げようとした気持ちも理解できる。エレナもそれはわかっていたはずだった。
しかし彼女は噓をつかれたこと、同時進行で別の女性と婚約していた事実から自分への愛情は初めからなく、自分を利用していただけなのかと彼を信じられなくなる。それは致し方ないこと。
一旦離れた二人の距離が再び近づく。エレナはディエゴのすぐ隣のベンチに腰掛ける。彼女は彼を受け入れたのだろうか、それとも膝を突き合わせて今後のことを話し合おうと決意を固めたのだろうか。
その瞬間突然二人のパスポートに入国スタンプが押される。ポカンとするふたり、ポカンとする観客。今までの精神が引き裂かれるような苦行ともいえる審査は一体なんだったのか。
それはまさに審査官たちの日常業務の一端でしかなかった。ディエゴたちのこれからの人生を左右するであろう数時間が彼ら審査官たちにとっては。
入国が認められた二人。まるで台風が過ぎ去り、瓦礫の山に突然放置されたかのように。今後二人でこの瓦礫を修復していくのか、それとも修復はあきらめて別々の道を歩むのか。
本来人には移転居住の自由が認められる。それは何人だろうが人が保障されるべき権利だ。人は行きたいところに行けるし、住みたいところに住める。はずである。しかし現実にはその権利が保障されることはない。
国境という見えないバリアでそれぞれの国は自国を守っている。それは逆に見れば他国からの救いを求める手を振り払うことにもつながる。
人道的考えから欧州諸国は移民難民を多く受け入れてきた。いまそのバックラッシュがおきて移民排斥が起きているという。不思議なことに難民をほとんど受け入れてこなかった日本でも外国人バッシングが起きている。これは欧州諸国とは違いその閉鎖性からくるものだろう。日本人のパスポート取得率は極端に少なく内向きな姿勢がさらに加速して排外主義に走ってるようだ。
どちらにしろ移民政策は確かに難しい。だが、自国の不具合をなんでもかんでも移民のせいにするのはいかがなものか。移民が自国の文化やアイデンティティを損ねるという意見もあるが逆にそれらを強化することにもつながるという意見もある。経済面も同様に。欧州諸国は戦後に労働者不足を移民に頼ってきた歴史もある。
アメリカも建国以来移民が多く流れ込んでそのおかげで今の繫栄がある。トランプもイーロンも移民の子孫だ。
本作でディエゴたちを尋問するのがラテンアメリカ系の審査官。ドミニコ出身だからスペイン語も流暢だ。彼女は同じラテン系のディエゴにあえて厳しく接する。
移民としての自分が排除されないためにアメリカへの忠誠心を表してるのだろうか。日本でも外国人差別してるのが外国にルーツを持つミックスの国会議員だったり、外国人タレントなのが目立つのもそういう事情があるのかもしれない。
あと、入国審査がなされてる空港建物内で終始内装工事の音が鳴り響いていたのが印象的。最初はそれこそ映画館の建物が工事をしてるのかと後でクレーム入れようと考えてたら、劇中の音で安心した。
その音はディエゴへの尋問が佳境に近づくと会話もできないくらいの騒音に。これは何を意味してるのだろう。入国審査をしている建物がいまだ建築途上ということで体制の不完全さ、未熟さを表しているのだろうか。
77分の間、とにかく息をするのも忘れてスクリーンにくぎ付けになることができた。想像していた通りの内容だけど、尋問の様がリアルで本当に自分が主人公たち同様に尋問を受けてるかのような嫌な思いが出来る、なんとも貴重な体験ができた作品だった。そして監督が脚本段階から決めていたラストがあまりにも秀逸。
見ごたえのある密室劇
入籍審査
あの二人は結局、関係整理の為にアメリカに来たんですね。ラストの「アメリカへようこそ」は裁判長の判決言い渡しです。人間は騒音にイライラし、思わず声高に本音を叫びます。あの工事騒音は、その為の意識的な審査BGMかも知れませんね、きっとそうです。
あ、あの時の悪夢が、、、
リアリティあふれる入国審査
海外へ入国する際に理不尽な質問をされた経験がある人は、この映画は刺さると思う。自分も、何度経験しても入国審査だけは緊張してしまう。映画内にもあったが、あの審査官は優しいかな、あの審査官は厳しそう等と勝手に想像をしながら列を作り、いざ自分の番が来て厳しそうな審査官に当たってしまうと「うわっ最悪……」と心の中で呟いてしまう。まぁ結局何事もなく通過はできるのですが笑
実際に、アメリカ入国は昔と比べるとかなり厳しくなっていると聞くので、旅行ではなく、移民や長期滞在ビザの審査は本当に厳しいんだろうなぁと容易に想像できる。別室に連れて行かれたらそれだけでパニックに陥る人もいるだろう。
この映画の終わり方は少々後味が悪いが、入国審査のリアルを感じるには十分。それまでは仲睦まじくお互いを信じあっていたカップルの心の中に猜疑心という種を植え付け、それが今後どのように育つのかを無責任かつ遠目で傍観しているような嫌らしさ。結局、投資ビザのようにわかりやすくその国に貢献してくれるような人物以外は、そもそも歓迎されていない、そんな現実を突きつけてくれる映画です。まぁ当然と言えば当然とも言えるが。
【今作は、人権侵害極まりない、これがトランプが大統領になってからのアメリカ入国審査の実態・・、かと思いきや、もっとシニカルな物語であり、イヤーな感じがラスト後も漂う作品なのである。】
ー 冒頭、カップルのディエゴとエレナが、浮き浮きでタクシーに乗る所から物語は始まる。タクシーのラジオからは”メキシコ国境の警備””トランプの壁”というワードが聴こえてくるが、二人の耳には入らない。
そして、二人はマイアミに向かうのだが、トランジットでニューヨーク、ジョン・F・ケネディ空港に降り立ち、緊張した顔で入国検査の列に並ぶ。
二人はパスポートチェックを終わるが、何故か一方的に二次審査室へ連れていかれる。
そこでは、意地悪そうな黒人系女性審査官が待ち受けており、次々に二人に高圧的に質問をして行くのである。
意地悪そうな黒人系女性審査官はその後、ディエゴとエレナを別々にして、個別審査していくのである。
工事の音が異様に耳障りな中、彼女は二人に、週に行うセックスの回数や、ベッドで寝る時に相手のどちら側で寝るのかなど、入国審査とは関係ない人権侵害極まりない質問を次々に浴びせ、ディエゴとエレナを苛立たせ、不安にさせて行くのである。
そして、少しでも反抗的な態度を取ると”私の一存で、貴方達の取り扱いは決まるのよ。”という悪魔の囁きを口にするのである。
そこで、明らかになって行くディエゴが政情不安な故郷ベネズエラを離れて、スペインのバルセロナに居た理由や、抽選で米国の永住権を獲得した事。
ディエゴには、エレナの前に婚約までした女性が居ながら、エレナには隠していた事。
エレナの職業はダンス教室の先生で、ディエゴには定職がない事。
などディエゴとエレナの関係性が、徐々に明らかになって行くのである。
<今作が秀逸なのは、見る側には最初は
”どうせ、移民を極力少なくしたいトランプの政策を揶揄した作品だろう。”
と序盤で思わせつつ、”入国審査”の段階で権力の横暴と共に、ディエゴが何故に婚約した女との婚約を解消しエレナと共にアメリカに来た理由が徐々に明らかになって行く過程が面白怖いのである。
正にディエゴという男の表と裏が”入国審査”の中で透けて見えて来るという、イヤミスのような作品構成の妙。
そして、長い”入国審査”の後に、二人のパスポートには入国許可の押印がされ、
”ようこそ、アメリカへ!”という言葉が複雑な顔をしたディエゴとエレナに掛けられ、画面は暗転するのだが、二人が新天地アメリカで二人で新生活を送り始めるかどうかは、観る側の想像に委ねられるのである。
今作は、人権侵害極まりないこれがトランプが大統領になってからの、アメリカ入国審査の実態・・、かと思いきや、もっとシニカルで。イヤーな感じがラスト後も漂う映画なのである。>
何じゃこりゃ〜あ♪、何じゃこりゃ〜♪、何じゃ何じゃこりゃ〜♪
これは何の時間なんだ
音の映画
グリーンカードを手にし、準備を整え、米国にやってきたふたり
ディエゴはまもなく着陸というあたりからどこか緊張してるよう
入国審査はいっけん問題なく進み、さあ、あとはガチャン!とスタンプ…と思いきや、ふたりは別室に連れて行かれる
なんの説明もなく、聞いても答えてもらえず、あらゆる自由を奪われ、そこから始まる扱いは、まるで犯罪者
正直、なんでそこまでやるんだ?そこまで聞くんだ?とイライラもさせられる
けれど、話が進むと、雲行きが怪しくなってくる
なにかに追い詰められていくふたり
なにに?
どうなるのだろうと思っていたら、突然エンディング
……、え?
瞬間、たぶんふたりと同じ顔してたと思う、私
いや、だけど、ふたり、あの先どうなるんだろう…エレナ…
この作品、音が本当に秀逸で、演出に大きな影響を与えているから、周囲の音が遮断される映画館でみる方がよい
成り行きで借りパク
グリーンカードの抽選が当選しにスペインからニューヨークにやってきた事実婚のスペイン人女性とベネズエラ人男性が入国審査で二次審査を受ける話。
とりあえず丁寧な対応だけど、同行してくださいと別室の待合室へ連れて行かれて巻き起こっていく。
やられたらやりかえすとか、わけのわからない発言をカマすアホな感じから始まって、尋問を受けるうちに次々と観客に後出し情報が示されて行く展開で、そりゃあまあ別室行きも仕方ないのかなと…そこまで簡単に調べられるのとかはリアリティがあるのかわからないけれど。
こういうのみると日本人て謙虚だよなと改めて国民性の違いみたいなものは感じたし、それなりには面白かったけれど、痛くないハラを探られたわけでもないし、そもそもある程度想定していなかったのか?と、まあ仕方ないよねぐらいにしか感じられなかった。
スタンプ音が響く移民政策の難しさ
ベネズエラ国籍の男、同棲しているスペイン人女性がDVロト(多様性移民ビザ)当選したのを機に米国へ一緒に移民しようとする物語。事実婚(pareja de hecho)を証明書で主張し入国を試みるが、男の怪しい過去(世界を点々としていた経歴・ネットで知り合った米国の年長女性と婚約して米国入国を試みた過去)が厳しい尋問で暴かれる。米国移民法では事実婚が「配偶者」として認められにくい中、一部のレビューで「意味不明」「すかしたオチ」と評されるラストで入国許可のスタンプを得る展開は、怪しくても受け入れざるを得ない米国の移民審査の現実を見事に描く。
アメリカの傲慢と柔軟さを体験する
私は、偉大なアメリカの代理人であると言わんばかりに居丈高な入国審査官。このお姉さま、英語しか話せない顔をしておきながら、スペイン語で話す二人の会話をバッチリ聞いている。
よくあるアレ。言葉が違うから聞こえていないと思っていて悪口を言っていると、自分の言語で鋭く切り返される。『ブラックレイン』で健さんがやったやつ。
出鼻をくじくだけじゃなくて、その後の詰め方がエグい。同じ事を繰り返し質問して、二人のイライラをマックスにさせる。二人が反抗的な態度を示すと、入国審査の権限は私にあると、上下関係を徹底的に叩き込んでくる。
2人別々に尋問して、矛盾点が浮かび上がってくると、旦那の方の顔色が悪くなってくる。さらに別な審査官も加わって、古傷も生傷もまとめて親指でゴリゴリするような容赦のない尋問。
アメリカの傲慢さをたっぷりと体験できる77分ですが、最後には少しだけ、ほろ苦くも柔軟な一面に触れることもできる。
これからどうしたらいいの? 私たち!
全215件中、161~180件目を表示
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