「歩くとは走馬灯のように」ハロルド・フライのまさかの旅立ち カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)
歩くとは走馬灯のように
ある事件から、愛と祈りを忘却した老人ハロルド・フライであった。
そんな彼に、その事件で一助の手助けをしてくれた旧友からのホスピスにいると言う通知が届いた。
返事を書き、その時のお礼と感謝の手紙を手にして外出したものの、
ポストに手紙を投函するつもりでいたのだが、沸々とあの大恩人に最大の恩義を返しに、
面会による延命と安らかなる終末を願う巡礼に旅立たないと居た堪れなくなる。
その理由は何であるのか?
どんな事があったのか?
妻と何があった?
子供がいたのか?
リタイヤ前は何をしていた?
恩人との関係は?
恩人のために800キロを徒歩で見舞いすることは慈悲であり、自己探求であり、
自分と関係者への贖罪でもある。
旅は次第に巡礼と変わり、懺悔懺悔、六根清浄へと変わる。
その道程は、走馬灯のように過去を回想され、歩行による気づきと浄化によるトラウマとの昇華を繰り返し、今の感じ方が考え方が変わる。
それは自身の視点が変幻して愛慕の感覚が蘇生して行く…
ああ、ラストの余韻に不足感が否めなく、
ハロルド・フライやドライブではなく、
どうぞ、復路は妻の伴歩をして帰宅してあげて下さい。
と願わずにいられなくなり僕は夜道を徒歩で帰宅した。
(^_^)
ハロルド・フライのまさかの旅立ち
劇場公開日:2024年6月7日 108分
イギリスの作家レイチェル・ジョイスによる
小説「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」を、「アイリス」のオスカー俳優ジム・ブロードベント主演で映画化。
定年退職し妻モーリーンと平穏な日々を過ごしていたハロルド・フライのもとに、
北の果てから思いがけない手紙が届く。
差出人はかつてビール工場で一緒に働いていた同僚クイーニーで、ホスピスに入院中の彼女の命はもうすぐ尽きるという。
近所のポストから返事を出そうと家を出るハロルドだったが、
途中で考えを変え、800キロ離れた場所にいるクイーニーのもとを目指してそのまま手ぶらで歩き始める。
ハロルドには、クイーニーにどうしても会って伝えたい、ある思いがあった。
ハロルドの思わぬ行動によって自身も変化していく妻モーリーンを、「ダウントン・アビー」シリーズのペネロープ・ウィルトンが演じた。
原作者ジョイスが自ら脚本を担当。
ハロルド・フライのまさかの旅立ち
劇場公開日:2024年6月7日 108分