「「好き」のベクトルがズレまくっている人間関係が楽しめる」ババンババンバンバンパイア tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
「好き」のベクトルがズレまくっている人間関係が楽しめる
狙いを定めた男子高校生の童貞喪失を阻止しようと奮闘するバンパイアの姿もさることながら、「ボタンを掛け違い」まくっている登場人物たちの人間関係が面白い。
バンパイアと男子高校生と女子高校生の三角関係だけでなく、女子高校生の兄やバンパイアハンターの高校教師も含めて、それぞれが思いを寄せる相手の方向性がズレていて、しかも、お互いの気持ちを誤解し合っているというややこしい関係なのだが、途中で、高校教師による、黒板に描いた図式風の解説もあるので、あまり頭を使うこともなく、そのすれ違いぶりを楽しむことができた。
バンパイアの映画なのに、このまま、勘違いや思い込みをネタにしたコメディで終わるのかと思っていたら、終盤で、バンパイアの兄弟が対決するという展開になって、アクションとして盛り上がるのも嬉しくなる。
兄だけが十字架に弱いという理由が、「ウィキペディアを読んだから」というのは笑えるのだが、その情けない姿には、ネットの情報を鵜呑みにする現代人の愚かしさが投影されているのだろう。
弟に対する恨みだけで生きてきた兄の存在によって、「愛する人がいるからこそ強くなれる」だとか、「好きなもの(推し)が人生を豊かにする」だとかが、分かりやすく示されるだけでなく、それまで描かれてきた「恋愛」を巡るドタバタ劇が、サラリと肯定されるところも心憎い。
その一方で、兄弟がバンパイアになった経緯や、バンパイアが「伝染」するメカニズムなどは分からないままだし、登場人物たちが、ミュージカル風に自己紹介をするのは良いのだが、どうせなら、板垣理光人や原菜乃華の歌声も聴いてみたかったという物足りなさも残った。
いずれにしても、吉沢亮をはじめとする出演者全員が、それぞれの役柄にハマっているし、主役のバンパイアが、明らかに「恋愛感情」を抱いている男子高校生を、本当に殺すことができるのかどうかも大いに気になるところなので、是非とも続編が観たくなってしまった。
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