ぼくのお日さまのレビュー・感想・評価
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リンク上の師弟三人が織りなす透明な世界
全くノーマークだったけど、小品ながらとても心が浮き立つような作品でした。吃音の小6の男の子が、フィギュアのコーチと出会い、中学生の女の子とアイスダンス大会を目指すストーリーです。二人がコーチとじゃれ合うようにしながらスケートの表現がグングン上達していくのが微笑ましく、主役の男の子と女の子への作り手の暖かい視線が感じられるようでした。二人がリンクを滑るのをカメラマンが一緒に滑りながら撮影しているため、見ていて何か保護者みたいに応援したくなってきます。ところが、後半になってコーチの性的指向が3人の関係に影を落とす展開となり、今までのふんわりとした流れから変わってしまうのが痛し痒し、この展開必要だったのかな?役者では、池松壮亮が淡々とした台詞回しが上手くハマって、コーチと言うより子供達のちょっと歳が離れたお兄さん的な感じがよかったです。子役二人もよかったけど、中西希亜良ちゃんが正統派美少女で笑顔が魅力的でした。
なんと、まさかの。
少年&少女のフィギュアを通した成長物語かと思ったら、まさかの展開。中々こーいうシナリオは思いつかないよね。
ダブルベッドを観た時になんか怪しいとは思ったがやっぱり。。。
少女は中学生だったんだね。
気難しいねー。なんか腹立った。
そして最後まで謝らなかったね。
ま、いつか20歳過ぎた頃に悟るんだろうけど。
少年は無邪気で可愛いかったね。
いい意味で単細胞な男の子はいいなって思った。
最後の2人
どんな会話をしたんだろ?
ここで終わるなって思ったらやはり終わった(笑)
凄く気になる。
ドビュッシーの月の光
最高。切ない。
最近は映画で度々使われるけど飽きないなー。
エンドロールがMVみたい
切なさと哀しみ
ラストシーン、ダブダブの中学の制服を着たタクヤが遠くの方から、こちらに向かってやって来る さくら を認める。少し躊躇気味に歩を緩めるが、すぐに何か決心したかのように速足になる。
そして立ち止まりお互い見詰め合う。
タクヤは何事かを言いたくて、言葉を発しようとするも吃音のためなかなか出来ない。かすかに何かくぐもった音が聞こえるか聞こえないか、その瞬間画面は唐突に暗くなる。
タクヤは何を言いたかったのだろう?
「ア、ありがとう」か 「アイスダンス楽しかった」か 「フィギュア頑張ってる?」か
でも結局、どんな言葉もその時のタクヤの気持ちを適確に表現する言葉はないのでは。
映画はすでに私たちにタクヤの経験した、愛おしくも哀しい日々、さくらも同様に切なくも哀しい過去、そして一瞬だったけど楽しく幸せな日々を共有出来たことを表現していた。
スケート場の周りの窓ガラスから射し込む溢れかえる光芒の中、さくらは生き生きと滑り舞い、タクヤの視線はその光の中からさくらを発見し、まるでフラッシュを浴びたかのような経験をする。
でもやはりタクヤはさくらとの再会で、何を伝えたかったのだろう
映画芸術が爆発している
北の国での点と点が一瞬線になってまた点と点に帰っていくが、確実に苦さを背負って次のステージにいく。つまりみんな大人になっていく。
意識してしまったがゆえに始まった幸せと、不幸せを、めちゃくちゃかわいくチャーミングな世界観の中で、しかも言葉でなく身体で、しかも北国の唯一の娯楽のようにみもみえるスポーツ施設の中での教え、教わるという設定の中に封じ込めて90分で描き切る。
徹底的な説話と台詞の引き算と身体描写と風景描写。映画的感性を持った人間がこの競技をやっているとこのような映画が生まれるのだな、と思いながら、これを20代で、かつ、脚本や編集だけでなく撮影までこなして、さらに滑りながらのオペレーションまでこなして成立させるなんてまたなんという才能だ。この映画は宝物のような輝きを放っているけれど、奥山大史という監督そのものもまた日本映画の宝物だろう。そしてやっぱり20代だからこその鮮度を持った題材だとも思う。
子どもたちも池松壮亮も若葉竜也とみんな素晴らしく、途中もうどうしようもなく美しく、また、思わず拝みたくもなる(笑)尊いカットが連続するが、もちろんさらっと撮れてるものであるはずがなく、単にかわいくみえるそれを狙いに狙って撮りにいく狂気を感じる。この映画はそんな一瞬で過ぎ去ってしまう輝きをテーマにしたものでもあり、確実にその輝きを捉え、残酷に突き放しもし、次の輝きに向かう「光」や「輝き」をテーマにしてるのだと思った。
子役たちの快演
役者は素晴らしい。たぶん、カチッとした台本がない作品なんだろうが、特に小6男子役の演技が自然で、ほんとに可愛らしい。
コーチ役の若葉竜也は「市子」の人ですね。ベテランだけあっての安定感。一番、演技は初心者っぽかったJC女子は、クールな超絶美少女なので、これで良い。全くの新人らしいですが、透明感半端ない。
展開としては、残念なのはコーチのゲイカップ設定、必要でした?JC女子を嫉妬させるショタコン設定のために必要なのかな〜。どうも、最近は変なLGBTっぽさが流行っているのですが、結局ネガティブな扱いするなら、無理に出さなくても、、、
ただ、ゲイ設定のおかげで、JC女子からの「男に女のかっこさせて、気持ち悪い」って、最高のセリフを引き出すため、なら結果オーライかもね。
あれで、JC女子が三人の美しい努力の結晶を台無しのして、あれだけの美少女を残念ヒロインにしてしまうってのが、本作最大の推しポイントでしょ〜。
あのJC女子のおかげで、コーチは街に入れなくなり、小6男子の淡い初恋も霧散。なので、最後の小6男子(ラストは中1かな)が道で出会ったJC女子に向けたセリフ(本編では聞こえない)は、絶対に「くたばっちまえ」だと思います。
優しい光と切ない光
北海道、冬の綺麗な斜光を上手に組み合わせた
映像美。スケートリンクの光の撮り方は神がかってた。
タクヤ君やさくらちゃん、知人のコウセイ君
は優しいし可愛いらしい。
あの深々と降り積もる雪の時期には
沢山の想いと心情が詰まっていて、切なさと
儚さもあった。
そして春になり雪解けして、3人の気持ちも其々
飛びだった感じ。春は別れと再会の時でもある。
『月の光』も優しくもあり、切ない所が絶妙な
コントラストになってし、ハンバートハンバート
のEDの『ぼくのお日さま』も良かった。
エンドロールも優しさがたっぷりと滲んでたなぁ。
自然音の繊細な音も丁寧に組み込んで、劇中の
曲も心地好い。
あの一瞬、そこに居そうな空気感だけど
居なくて聞いてたり、観てたりする演出も
素晴らしかったと思う。
雪解けした気持ちが沁みる作品でした。
淡々と美しい映画
映画の前半は、固定カメラのロング・ショットを多用し客観性と同時にタクヤの感情の平坦さを表しています。タクヤが荒川からフィギュアを習い始めるとカメラは雄弁に動き回り、タクヤが味わう喜びの感情を躍動的に見せていきます。ほぼ正方形のスクリーンと練られた構図、日に褪せたフィルムの色調、スケートリンクに差し込む日光の表現。美しい映画だと思いました。楽しく充実していたかに見えた日々。タクヤにとってのお日さま。荒川にとってのお日さま。残念ながらさくらにとってそこにお日さまはありませんでした。だから「ぼくの」なんですね。
観終えるとタイトルはダブルミーニングだったことが分かります。視聴時は前提知識がなくタクヤが主演だと思っていたのですが、荒川が主演なのですね。なるほどこれは荒川のロードムービーなのだと思いました。カメラワークの躍動は荒川の感情の発露でもあったのです。荒川はタクヤに自分の成し得なかった可能性を重ねていたように思います。さくらは女子ゆえのカンの良さで違和感を感じ結果として荒川を誤解し離れてしまいます。
エンドロールはコケティッシュな感じで良かったです。
エンディングロールまで最高"Even the ending credits were outstanding."
ひと冬の物語。
タクヤと、さくら、コーチの荒川の物語が
リンクに残るスケートの跡のように交差する。
誰にも悪気はないけれど、
色んなことが起こってしまう。
描かれる日常は、
とてもリアルで、
この世界のどこかで
起こってるかもしれないな
と感じさせてくれた。
映像が美しいのだけれど
その美しさが、演出と完全に噛み合っていて、
使われる音楽も、物語の一部になっていた。
大人と子供の交流がありつつ
その背景にそれぞれの事情があり
子供はその事情を理解しないけれど、
終わりへと流れていく。
子供は未経験ゆえ
大人の気持ちが見えない描写に
唸ってしまった。
エンディングロールまで最高で、
ハンバート ハンバートの曲は
てっきり書き下ろしかと思ってたら
パンフを見て驚いた。
この後、少し成長してからの
主人公タクヤの心情を
歌ったものにしか聞こえなかったけれど
2014年の曲だと?
とにかく驚かされっぱなしだ。
邦画の未来は明るい。
観終わった後に、
竹内結子さんがヒロインをやっていた
「サイドカーに犬」(2007)を思い出した。
これは、ひと夏の物語。
もし良ければ。
“A Winter’s Tale”
The story of Takuya, Sakura, and Coach Arakawa intersects like the trails left behind on the skating rink.
No one means any harm, yet so many things happen. The daily life depicted feels so real that it makes you think, “This could be happening somewhere in this world.”
The visuals are beautiful, but what makes it special is how perfectly the beauty meshes with the direction, and even the music used becomes a part of the story.
There is interaction between adults and children, and behind that, each has their own circumstances. The children don’t understand these circumstances, yet the story flows toward its conclusion.
I was amazed by how the children, in their inexperience, couldn’t grasp the adults’ feelings, but the portrayal was spot on.
Even the ending credits were superb, and Humbert Humbert’s song—I thought for sure it was written just for the film, but I was shocked when I saw the pamphlet.
It sounded like it was about Takuya’s feelings after he’d grown up a bit, yet it was actually a song from 2014?
I was constantly surprised. The future of Japanese cinema looks bright.
After watching this, I remembered “A Dog in the Sidecar” (2007), where Yuko Takeuchi played the heroine. That was a summer’s tale. If you’re interested.
全てが泣きそうに美しい映画
夜明けのすべてに続き、今年観てよかった映画。静謐なストーリーに合わせたように縦横比率がほぼ同じミニマムな画面サイズで、セリフも最小限、登場人物も多くなく、ひと冬という限られた期間スケートリンクでの小さな物語。
ホッケーから転向したタクヤがフィギュアを習得していく過程、アイスダンスのバッチテストへ2人が練習を重ねる過程が丁寧に納められた全てのカット・シーンがとにかく美しい。屋外の池(?)での3人のシーンは幸せすぎて涙が出てしまった。
子役2人の瑞々しい演技が良かったのはもちろん、池松壮亮が素晴らしかった。
子役からのキャリア、アウトローやエキセントリックな役などを経て、原点回帰のような役を気負いなく若手に背中を見せるように演じていたのが印象的だった。
タクヤとさくらの淡い恋心と、若く眩しい2人への荒川の羨ましさ。ただ噛み合わなかっただけ。胸がギュッとなったけれど、季節が巡ることでそれぞれが一歩踏み出すラストは希望があった。
失われてしまった子供時代の繊細な感性を思い出した。
優しさと切なさの狭間
ほのかな恋
アイスホッケーが上手くないきつ音の少年タクヤは、フィギュアスケートの練習をしていた少女さくらに惹かれていた。ある日、さくらのコーチで元フィギュアスケート選手だった荒川は、タクヤがホッケー靴のままフィギュアのステップを真似してるのを見た。タクヤがさくらに恋してるのを知り、タクヤを応援しようと、荒川は彼にフィギュア用のスケート靴を貸してあげ、練習につきあうことになった。やがて荒川の提案で、タクヤとさくらはペアでアイスダンスの練習を始めることになったのだが・・・さてどうなる、という話。
さくらは荒川コーチが好きだったからタクヤの相手をしてただけなのに、荒川はBLで男と仲良くしてるからコーチをやめてもらった、という事なんだろう。
で、タクヤのほのかな恋も終わり、荒川は生徒が居ないから別の場所へ移っていった、というストーリーなんだろうけど、まぁ普通かなぁ。
特に刺さる所がなかった。
さくら役の中西希亜良のスケートは経験者らしく綺麗だった。
ふわり、ひと冬の思ひ出。雪の結晶のように儚く繋がる心は、溶けてなお何を残す。
その先の明るさを予期させる終幕に好感。
繊細で美しい撮影アートがそれと同質な物語を包み込む、ほんのりビターなコーティングショコラ。口にしたそれはクラシカルなレシピ通りの仕上がりに思えたのだが、どこか新しい感覚があって不思議。邦画らしからぬ作風、ミニマルに割り切ったストーリーのためかもしれない。
心のベクトルは三者三様で、それぞれの「→ 矢印」が向いている先が「ぼくのお日さま」ということらしい。三角矢印がスケーティングの演目のようにクルクルと輪になって気持ちを通わせる湖のシーンが、なんともホッコリとしていて微笑ましかった。
表題に書いたように、季節の変わり目と、チームが解散してしまう理由そのものは無関係だが示唆的であり、映画的だ。とても上手な描き方だとおもう。
***
本作では、言葉というコミュニケーションにスポットがあたる。
私にとって最も印象的だったシーンがある。土地を去る荒川とタクヤが交わすキャッチボールの場面、気持ちのぶれた荒川がタクヤの身長を飛び越えたボールを投げてしまったところ。荒川が言葉をかける「タクヤ、ごめん」。
物語では終始、あえて言葉足らず・主張足らずなコミュニケーションに抑えられていて、嬉しいシーンでもそうでない場面でも、その気持ちを表すセリフがあえて避けられていたように感じた。気持ちがとても通い合っていても、説明はだれもしていない感じ。
日常では当たり前のような「ごめん」だが、劇中がずっと感情をフワッと表現していたせいで、相手に自分の気持ちを表すセリフにコントラストが生まれた名シーンとおもった。
最大級の賛辞を送ることすらもどかしく優しい物語。
ミニマルで美しい本作は世界中どこにいっても評価されるに違いない。
ハンバートハンバートの同タイトル主題歌が、実は原作ということに驚き。
ハンバート・ハンバートで落涙
カップラーメンが食べたくなる
キラキラ
もやのかかったような淡い映像にピアノ主体で大きな音のない穏やかな映画。
差し込む光、雪や氷の粒、純粋なタクヤとさくらがキラキラして優しい気持ちになる。
湖のシーンはロケーションがとても美しく、楽しそうな3人の関係が眩しいくらい素晴らしかった。
中盤までは予告編で期待した通りの好きな映画ではあったけど、まさかそういう展開ですか。
なんとなくうっすらそうなんだろうなとは思ったけれど、別にさくらに思わせぶりな態度だったわけでもなく、ただスケート指導をしていただけなのに、勝手に好きになって勝手に失恋したんじゃん、とも思ってしまう。さくらのどうにもならないもどかしさや苛立ちも分かるのだけど。
しかし、アレで察してしまうさくらもなかなか。
みんな帰った後の試験会場にポツンと立つタクヤの一言がおじさんには泣けてくる、変声期前であろう声だから余計に。
アイスダンス始めてからタクヤは自信もついただろうし、成長が見えるラストの表情が良かった。
予告編にもあった、1曲終わった後に友達が拍手をするシーン。冷やかすでもなく笑顔でパチパチ、すごく好き。
タクヤ役の子、キレイな顔立ちだなぁと思ったらスタダなのか、納得。
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