「まっすぐで、ちゃんと恋してる。追記︰光の魔術」ぼくのお日さま Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
まっすぐで、ちゃんと恋してる。追記︰光の魔術
ロケ地の白糠って何処だ?と思って北海道の地図を開いたら鵡川から襟裳までの日高本線がもう無いのに気付く。昔は日高本線に乗って静内や浦河の牧場を訪ねたのだが…。
あ、白糠は釧路のそばでした。
10月9日(水)
TOHOシネマズシャンテで「ぼくのお日さま」を。
(カレンダーが作られるほど)人気フィギュアスケーターだった荒川(池松壮亮)は、リンクの管理とフィギュアのコーチでさくら(中西希亜良)にスケートを教えている。
タクヤ(越山敬達)はあまり運動は得意ではないが、夏は野球、冬はホッケーをやっている。ホッケーの帰りにリンクを滑るさくらの姿に見惚れる。ホッケーのシューズでさくらのスピンを真似てみるが転倒ばかり。さくらを見つめるタクヤの視線に気が付いた荒川は転倒ばかりしているタクヤに家の荷物の中から自分が履いていたフィギュアのシューズを引っ張り出してタクヤに貸し、フィギュアの滑り方を教える。
滑れるようになってきたタクヤと、ちょっと頭打ちのさくらに二人で組んでアイスダンスをやる事を提案する。練習が進み二人の息が合って様になって来る。それを見ていたタクヤの友達から拍手が来る。
荒川は競技参加のための資格審査を受ける事を提案し、二人は練習を重ねる。
しかし、さくらは、荒川の別の姿をみてしまい失望し嫌悪し、資格審査の会場に来ない。タクヤのせいではないのだが。
三人はどうなるのか…。
1996年と言う舞台設定をもっとはっきりと出しても良かったのではないか。リンクの部屋のカレンダーとか荒川の使っているガラケーとかでは観客は認識出来ない。
この物語が1996年を舞台にしている事で今よりも男性がフィギュアスケートをやる事のハードルの高さ(ましてやアイスダンス)、同性愛に対する嫌悪感が高い事が強調されるのだ。
ちなみに高橋大輔がバンクーバーで銅メダルを取ったのが2010年、アイスダンスを始めるのが2019年、羽生結弦がソチで金メダルを取ったのが2014年である。
1972年札幌オリンピックのジャネット・リンが日本で大人気だった事などジジイじやないと知らないよね。フィギュアスケートといえば女子だったのだ。
この映画は暗い。タクヤの家の食事のシーンは節電中?と思う程である。家族が一緒にあんなに暗い中で食事はしないだろうと
思う。その他でも室内では暗いシーンが多い。これは明るいシーンとの対比のためでもあるのだが、暗すぎる。確かにリンクに差し込む陽光の中で滑るさくらは美しく撮れていたし、明るい抜けたシーンがラストには用意されていたけれど。
私は、「ぼく」はタクヤで「お日さま」はさくらだと思う。タクヤがさくらと一緒にいる時は陽がさしている。リンクで練習している時、荒川と3人で湖にスケートに行く時、そして、ラストでさくらと再会した時に最も明るい陽射しに包まれているのだから。
タクヤは、さくらに何と声をかけたのだろう。
タクヤの家の前の犬小屋にいる柴犬がかわいい。もっと見たかった。中西希亜良は今後注目だな。え、父親はフランス人!
追記︰光の魔術
あのリンクに差し込む陽光は自然の光だと思っていたらリンクの窓の数だけライトを用意して調光したものだった。おお、日本のサム・メンデスか。やられたな。
撮影は2年程前だったようで、舞台挨拶の写真だとタクヤの身長はさくらよりもかなり大きくなっている。二人のバランス的に映画の撮影が最高のタイミングで行なわれたと思った。
私も中学1年の時、1年で身長が10cm伸びたのを思い出した。
評価を4から4.5に変更します。
Mr.C.B.2さん、コメントありがとうございます。
確かに、スケートリンク内への光の差し込み具合が強くて
眩しい位に白く輝いているな とは思っていたのですが
>リンクの窓の数だけライトを用意して調光したもの
そうだったんですか。納得です。・_・
細かな処までこだわりを持って撮影する監督さんのようです。
次の作品も期待してしまいます。
Mr.C.B.2さん、コメントありがとうございます。
1990年代ころは、LGBTという概念も無かった気がします。
(もしくは浸透中?)
自分が周りと違っている事を、大きな声では公言しにくい世の
中だったですよね。しみじみ。
フィギュアスケートもそうですし、個性がちゃんと受け入れら
れる良い世の中になったものです。しみじみ。
>芦田愛菜がBLのコミックス読んでる映画
観ました。・_・v メタモルフォーゼ。
この作品ではむしろ、BLにハマる宮本信子さんの役の方が
インパクトあった気 が。しみじみ
(…と言うほど前の作品ではない・_・; デス)
おっしゃる通り、あっという間に訪れた男子フィギュアの全盛期で、舞台は高橋さん(大輔)より遥かに昔なんですものね。
あらためて、今の豊富な人材たちに驚きです。
映画とは、関係ないか(笑)
1996年の設定でしたか。まったく気づきませんでした。ジャネット・リン😅 女の子はフランスとのハーフでしたか。きれいな少女時代の映像としても今後価値が出そうな作品でしたね。
共感ありがとうございます。
漫画「銀のロマンティックわはは」川原泉によると、掲載時日本のスケートのペア人口はゼロに近く国際大会入賞など夢のまた夢だったそうです。思いつきの様にやらされるアイスダンスに不安や不満も有ったんでしょうが、次第に息も合ってきて「合わせてみる?」そして三人での湖と、幸福だったのに・・自ら壊してしまう、思春期って責められないし残酷ですね。