「映画館にいるのに空気が美味しいなって」ぼくのお日さま ねはんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館にいるのに空気が美味しいなって
映画館にいるのに空気が美味しいなって感じました.こんな愉快な経験初めてです.
タクヤ,さくら,荒川の3人が凍った池で踊っている場面,純粋に楽しむことを思い出させてくれました.
タクヤの友達のコウセイは良い子です.そしてタクヤとさくらのアイスダンスを通しで見ることができたラッキーボーイです.荒川がタクヤとさくらのアイスダンスを通しで見た場面がなかったのが気がかりです.見れたのでしょうか.
おそらくタクヤは面白い子なんだろうなっていうのが荒川とのレッスンでのやりとりで回見えました.だからコウセイはそんなタクヤの本質を見抜いて友達になっているのかもしれないな.
私はさくらが報われてほしいって思いました.荒川があの地に居られなくなった原因を作った張本人ですが,さくらは色々と我慢してきていたと思います.荒川の前でダブルアクセルの練習をしているのに,荒川の目線の先はタクヤだったし,なんならタクヤにシューズを貸して,無料でレッスンしてあげて,挙句の果てにはタクヤとアイスダンスのペアを組まされて.私がさくらだったらかなり堪えるな.そしてとどめの荒川と五十嵐のツーショットを見てしまったらそう考えるし,そういう行動を取ってしまうのも頷けます.これは,別に荒川が同性愛者だったから,その嫌悪感でさくらは行動したのではないと思います.タクヤが女子で,荒川が同性愛者だったとしても,はたまた,タクヤが男子で荒川が異性愛者だったとしても,さくらが感じた荒川が他の子に興味を持つことに対する嫉妬は同じだったと思います.
荒川はタクヤを恋愛対象で見ていないと思います.ただ,真っ直ぐに恋愛していて羨ましいなと思っただけなのではないでしょうか.もちろん,綺麗な顔した男の子だから目に留まったのかもしれませんが,それはきっかけに過ぎないのではないでしょうか.タクヤはさくらしか見ていなかったし,さくらのためにフィギュアスケートをしていたのですから.それを助けてあげたいと思ったのではないでしょうか.さくらからしてみればタクヤからの一方的な恋愛感情なんてほんと迷惑だっただろうなと思います.アイスダンスの練習で周りからの冷やかしとか,やめてほしかっただろうな,とか考えてしまいます.
この話は淡い三角関係が描かれていますが,他者からの一方的な好意は一種の暴力になり得ること,これは大人も子供も関係ないことなんだと思います.
最後,タクヤの口からは「久しぶり」みたいな言葉が出れば良いなと思います.タクヤはさくらに裏切られたけれど,さくらはタクヤ以上に犠牲にしてきたものが多いと思う.だからあれはお互い様だったんだよって.