「言葉を呑み込んでいる人たちの物語」ぼくのお日さま Pocarisさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉を呑み込んでいる人たちの物語
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三者三様に、言葉を世界に向けて発することのできない人たちのお話でした。
タクヤは吃音で、実際に言葉が出にくい。
さくらは親にもコーチにも自分の気持ちを伝えられない。
ヒサシはおそらくあの町では口にできないセクシャリティと、それを直感によって悟られたことがもたらした誤解(彼は小児性愛者ではないので完全に誤解)を解けないまま街を出ていく。
吃音や同性愛が「取ってつけたような設定」であるというコメントがありましたけど、テーマを上記のように捉えればむしろ必然性のある設定ですね。
前半はむしろさくらが不憫に見えたのですが、呑み込んでいた言葉をようやく発する時が来たと思ったら、まるで異なる形で出てしまうという悲劇。
それも、何が原因で誰が悪いとも言えないような形で……
タクヤや友人があまりにかわいいのでそれだけで泣きそうになりますけど、しかし表面的にはそこまで悪意に満ちた人が出てこないのは、悪意は発する本人も予期せぬところで現れて人間関係を壊してしまうという世界の不穏さの対比のように思いました。
ラスト、二人の出合い直しになるといいなと思いつつ。
私、この映画は好きですが、かなりしっかりとミソジニーの匂いもすることを付記しておきます。
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