ザ・ウォッチャーズ : 特集
【予告編が面白そうオブ・ザ・イヤー→実際に観てきた】
最もそそった斬新な設定…その先に更なる驚がく展開が!
全編にちりばめられた “謎”が新たな“謎”へとつながる。
“天才監督”が認めた24歳新鋭の才能もとんでもなかった
あまりにも予告編が最高すぎて、「予告編で面白そうすぎると思った映画オブ・ザ・イヤー2024」暫定No.1だった映画「ザ・ウォッチャーズ」(6月21日公開)。
ついに、ついに、観てきました!!
実際どうだったかというと……この映画が持つ“オーラ”みたいなものに惹かれて記事を読み始めた“あなた”に、なにがなんでもオススメしたい作品でした! 全然予想通りに進まなくって、謎が謎を呼ぶ展開が飽きさせなくて、その謎たちがどんどんつながっていく感覚もたまらなくて……。
この記事では、筆者が心奪われた設定の面白さや、謎を解くヒントになるかもしれない奇妙ポイント、長編監督デビューを果たしたイシャナ・ナイト・シャマラン監督(父親はあの「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン監督!)についてご紹介します。
と言いつつ、物語中盤以降は「全部ネタバレ」なため、あまり具体的なことが書けないのが本当にもどかしい……! 全編にちりばめられていた伏線が、あっと驚く結末へ――この快感、もっともっとたくさんの人に味わってほしい!
【やはり設定がズバ抜けて面白い】しかし…その先が
もっとすごかった!グングン加速する予想外の超展開!
やっぱり最初に伝えたいのは、設定の面白さ。これだけでも映画好きの心をガシッっと掴んで離さないんです。しかも、その面白いと思った設定の先にまだ“超展開”が待っていたなんて……!
[設定に心臓わしづかみ]やっぱりココが面白かった!“何か”が見ている…ルールを破ったら死…映画ファンの琴線かき鳴らすストーリー
28歳の孤独なアーティストのミナは、鳥籠に入った黄色の鳥を指定の場所へ届けに行く途中で、地図にない不気味な森に迷い込みます。森の中にこつ然と現れたガラス張りの部屋に避難したミナは、そこにいた60代のマデリンと20代のキアラ、19歳のダニエルと出会いますが、マデリンたちは、毎晩訪れる“何か”に監視されていました。
彼らには(1)監視者に背を向けてはいけない(2)決してドアを開けてはいけない(3)常に光の中にいろという、破ると殺されてしまう3つのルールが課せられていて……。
監視者=ウォッチャーズの正体、監視される理由、そして、3つのルールがあるなかミナたちはどうやってここから脱出するのか――映画好きの心を刺激するストーリーテリングがどこまでも面白く、ずんずんと映画に没入していく感覚がずっと続いていました。
[予想不能な展開に心臓わしづかみ]監視される恐怖、だけじゃない!“何か”が部屋に侵入し、殺そうとしてきて…極限状況で人間関係もドロドロに
ここまでのあらすじでも十分面白そうですよね? でも、まだその先があったんです! “ウォッチャーズ”たちはただ監視するだけじゃなく、ガラス張りの部屋に侵入しようとしたり、ミナたちを殺そうと襲ってきたりもします。いやそこまでしてくるなんて、聞いてないよ……。
さらに、ルールに縛られた極限状態のせいで、長いこと共同生活を送ることになるミナ、マデリン、キアラ、ダニエルの関係性も険悪になってきます。それでも、なんとか全員でこの部屋からの脱出を目指すことになるのですが……。
ホラー要素、脱出ゲーム的なドキドキ感以外に人間ドラマも楽しめちゃうのは、予想外で嬉しい。ユーザーの皆さんは客席という安全な場所から、ドロドロの人間ドラマもしっかり監視をお願いします!
[予告編を超える“別の面白さ”に心臓わしづかみ]最も面白そうな設定が、まだ前フリ!さらに動乱→もっと驚く展開へ加速、加速、加速!
さらにさらに、実は上記の内容もまだ“前フリ”の段階。予告編を観て「ここめっちゃ面白そう」と最大の興味を持っていたものとは別種の展開が待っていたんです!
ネタバレになるため、それが何かは詳しく言えないのですが(早くいろんな人と語り合いたいのに、本気で悔しい)、物語が進めば進むほど、どんどん驚きの展開へと加速していきます。まるで、面白さのインフレ的な盛り上がりで、中盤から結末にかけて「え、そうくるの!?」と予想外の乱れ打ち。観ていて圧倒され、息をのみながらも、心の底からワクワクしたので、ぜひ劇場での鑑賞をおすすめします!
【伏線がつながる瞬間が面白すぎ】解読せよ!
この部屋から脱出するための《8つの謎》
ここからは、本作にちりばめられた“奇妙ポイント”を紹介します。これらの伏線がつながっていく気持ちいい瞬間が何度もあったので、この気持ちをユーザーの皆さんにも味わってもらうべく、注目すると映画がえぐい面白くなる謎を羅列しました。脱出のヒントや、物語をより深く理解するための事前資料として役立ててください!
[謎.1]
食料や衣服…どうやって4人は生活しているのか?
[謎.2]
リーダーのマデリンが“知りすぎている” なぜなのか?
[謎.3]
そもそも“ウォッチャーズ”とは何なのか?
[謎.4]
鳥、オウムのモチーフとは何なのか?
[謎.5]
意味深… 鏡、双子の要素は何なのか?
[謎.6]
ミナが見ている恋愛リアリティーショーの意味は何なのか?
[謎.7]
恋愛リアリティーショーのパッケージに謎のイニシャルを発見… 誰?
[謎.8]
ポスターにも登場する「回帰不能点」とは何なのか?
こんなにあるのに、実はこの謎は物語の中盤辺りまでに登場するごく一部。全編には、まだまだ多くの謎がちりばめられているんです。これらの謎がつながったときにどんな結末が待っているのかは、劇場で目撃してください。
【監督がすごい】“どんでん返しの天才”が認めた構成力
これがデビュー作だと…? 覚醒した24歳の若き才能
最後に、本作で長編監督デビューを飾ったイシャナ・ナイト・シャマランについて紹介します。とてつもない 才能を持った、現在24歳のイシャナ。どうしても紹介したいすごいポイントがあるので、もうちょっとだけお付き合いください!
●伏線×構成の巧みさがヤバイ “面白い”がぎゅっと詰まった1時間42分
長編デビューとなったイシャナ・ナイト・シャマラン監督は、本作で脚本も手掛けています。
個人的には、「部屋で映し出される恋愛リアリティーショーの軽薄さと、ミナたちが何かから監視されている状況を重ね、リアリティーショーを痛烈に風刺する」というテーマ性や、「登場人物たちそれぞれが抱える“後悔”が次第に表面化し、過去を乗り越え、前に進むために行動し始める」という共感性の高いドラマなども盛り込み、単なるポップコーンムービーに終わらないどっしりとした満足感も◎。
それらを破綻させることなく、バランス良く融合させつつ、1時間42分(観ているとあっという間!)にまとめあげた手腕は、本当に見事の一言です。
●スタッフにも注目! 「LAMB ラム」の撮影監督が作り上げた、新鮮で不気味な映像世界
映像も、本作を語るうえで外せない大きな要素の一つ。「LAMB ラム」のイーライ・アレンソンが撮影を担当しており、独創的なカメラワークで、ダークで不気味な世界観を完璧に作り上げています。序盤に登場する、ミナが運転する車が森へ向かっていくシーンは、目を奪われるほど圧巻の映像美。しかし、だからこそ余計に心をざわつかせる、怖さが際立つ場面でもあります。
百聞は一見にしかずなので、参考に画像を置いておきます。新鮮で不気味な映像世界に、ぜひ浸ってください!
●監督の父=どんでん返しの天才 どうしても比べられる…でも、別種の才能が開花した!
イシャナ監督の父であり、本作の製作を務めているのが「シックス・センス」「オールド」などの“どんでん返しの天才”M・ナイト・シャマランです。彼の娘というと、どうしても同じようにどんでん返しやサプライズを期待されてしまうものですが、アメリカで開催されたイベントで、M・ナイト・シャマランはイシャナ監督について以下のように語っていました。
「ある意味、僕とはとても違っています。彼女は構成に長けているんです。(イシャナが製作として参加していた)『サーヴァント ターナー家の子守』の脚本家ルームでみんなと仕事をしていたとき、それぞれの脚本家に違う長所や傾向がありました。僕はオフィスのみんなに、『イシャナは構成力において、とても素晴らしい才能を持っている』と話したことを覚えています。構成は、映画フォーマットにおける聖杯(至高の目標)なんです。僕にとって初めてのテレビ番組で、ダファー兄弟(「ストレンジャー・シングス 未知の世界」)と仕事をしたとき彼らに対して、まったく同じことを感じたのを覚えています。『この連中はすごい! 彼らは本質的に構造を理解している』と思ったんです」(M・ナイト・シャマラン)
この言葉通り、本作を観れば、イシャナ監督が父親とは別種の才能を持っていることは一目瞭然。映画監督として次はどんな作品を生み出すのか、どんな道を歩むのか。映画ファンなら今後を追いかけて後悔はないはず。イシャナ・ナイト・シャマランという新しい才能を“監視”しに、映画館に行きましょう!