ほなまた明日のレビュー・感想・評価
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容赦ないなぁ
MVの印象は強いが、台詞付きの演技をほぼ見たことがなかった田中真琴を目当てに鑑賞。
街を歩きながらシャッターを切るナオから始まる本作。
後半は多少改善されるものの、“風”でなくそのまんまナレーション無しドキュメンタリーぽくて眠くなる。
キャラが掴めた中盤ならまだしも、最初からいきなり出来るほど上手くはない。
前だけ見て突っ走る感覚的天才のナオと、それを鏡としてしまい足元を見てしまう3人の話。
恐らく、普通に食べていく程度の力はあるのだろう。
それでも、本気で取り組んでいたからこそ“絶対的な壁”に対してカメラを置く選択すらしてしまう。
芸術に限らず、スポーツや学問の世界でも同じようなことは多いのだろう。
しかし打ちのめされる具体的なエピソードはほぼなく、表情と感覚的な描写だけなので掴みづらい。
ナオが他人の批判すらしないフラットな人間だから余計に残酷、というのは伝わるが。
また、恋愛の話も付き合ってるようなシーンが無いまま別れ話になるので薄く感じてしまう。
それでも山田の感情はバシバシ飛んでくるし、そこで言葉でもハグでもなく写真を撮るナオはやはりナオ。
山田がシャッターを切りながら小夜と話すところと、土手で先生と小夜がビールを飲むところは好き。
意外と先生がいいキャラしてたし、「先生大好き」みたいな絡みもなんだか懐かしいあるある感。
粗筋にあった山田の失踪の理由はあまりに普通で、しかも失踪してすらいなかったというオチ。
そこも含めてリアルではあるんだけど、その割にアートっぽい撮り方との食い合わせが悪かった。
すぐまた半年飛ばすなら、「4年後」は丸々要らなかったなぁ。
フレア
見慣れた景色が多く登場する作品というのを聞いたので遅れながら鑑賞。
たまーに通る道だったりがスクリーンに映っているのでいつもの景色がなんだか新鮮に観えたのは良かったです。
物語的には…才能がある女性が周りを振り回しつつも、その才能に周りも感化されていくといった感じのお話で大きな展開はないけれど小さな変化は多く起こるみたいな感じの作品でした。
映画の人物に最低限の常識という気遣いを求めるのはもう酷だよなとずっと思ってはいるんですが、ナオのカメラへの熱意が一般人を惑わせているのはちょっとなぁってなりました。
アイスを食べてるおじさんを撮る時に溶けそうなのに長いこと撮ってはサッと立ち去ってしまったのは無性に腹が立ちましたし、関東から来た女性2人組を困らせるくらいの間を取りながらの撮影はそりゃ怒らせるだろとなりましたし、それでなんかショックを受けてる描写は身勝手すぎない?となってしまいこれは好きになれないなとなってしまいました。
山田に好きとか分からんけど愛おしいと言ってキスしたり抱きしめたりと男の情緒を振り回すんじゃないよーとモヤっともさせられました。
学校でもなんだかユルユルだなーと思うシーンが多かったですし、突然険悪なムードになったりと学生ってこんなもんだったなと思うのと同時に、関係性が不明瞭なのもあって、そんなに近い距離感だったんだと思うところもあってうまいことのめり込めなかったのは残念でした。
東京で山田と連絡が取れないからといって自宅に不法侵入するのはどうかと思いましたし、それを追いかけるパートも魅力的に見せたかったと思うんですが、逃げた方向にナオがいるのに突っ走って行ったのはなんでやねんとズッコケてしまいました。
夕焼けの河川敷ってやっぱ良いよなってなりましたし、浸りたくなる時になぜか行きたくなる場所が東京にもあるって良いなと嬉しくなりました。
気持ち長めに感じた上映時間とキャラ描写が引っかかってしまい楽しむまではいけなかったです。
ただ、いつかは辿り着く東京への道。
なんとか足掻いて何者になりたいなと今作を観て思えました。
鑑賞日 10/30
鑑賞時間 15:15〜17:00
座席 D-3
被写体の心的防御を取り払うには、言葉だけでは言い表せない何かがあるのだと思う
2024.10.29 アップリンク京都
2024年の日本映画(99分、G)
写真学科の学生4人の行く末を描く青春映画
監督は道本咲希
脚本は郷田流生&道本咲希
物語の舞台は、大阪の心斎橋付近
写真学科に通っている草馬ナオ(田中真琴)は、アシスタント向きではないと考えていて、写真作家になることを考えていた
母親(福地千香子)とはほぼ絶縁状態の彼女は、同じ学科の友人・山田勝(山田崚汰)の家に入り浸っていた
ある日のこと、ナオは冗談半分で「付き合ってみよっか」と勝に言ってしまう
勝は「俺のことが好きなんか?」と聞き返すものの、ナオは「なんか愛おしいねん」というに留まってしまった
彼らには、小夜(重松りさ)と慎太郎(秋田卓郎)という学科の仲良しがいて、いつも4人でくだらないことを駄弁っていた
彼らを指導する北野先生(大古知遣)は、そんな彼らを優しく見守りながら、時には辛辣なアドバイスを与えていく
勝は東京に出てアシスタントをすることを決めていて、それを家族に言っても何も言われなかった
ナオはドイツへの留学を考えていたが、母親との折り合いが悪く、そのことを言えていない
小夜は写真家の道を諦めてはいないが、ナオとの間に絶望的な何かを感じている
慎太郎は実家の写真館を継ごうと考えていたが、父親から断られ、新しい道を模索する必要があった
4人はそれぞれに漠然とした何かを抱えていたが、その多くは「ナオの才能との比較」によって生まれていた
映画は、青春と進路という主軸があるものの、その根底にあるのは他者比較であると思う
それぞれが内に秘めているものがありながら、他人の感情には無頓着な部分がある
勝は小夜にナオと付き合っていることをいうが、小夜はその理由を聞いて激怒する
だが、小夜はナオのところに行っても、そこで言葉をぶつけることはしない
それは、ナオの行動が自分を知るきっかけを作っていることに気づいていて、そこで感情をぶつけることで、さらに自分が惨めになると感じたのではないだろうか
ナオの撮る写真は内面を抉るというよりは、被写体を素直にさせる距離感を保てる特徴があった
それは本人が見たいものかどうかはわからないが、正視するのにも時間が必要になってくる
勝が撮る写真は、言葉で感情を引き出すのだが、そこには心的防御というものが備わっているので、全てがフィルムに映るわけではない
この心的防御を取り払うことができる者だけが人を感動させる写真が撮れるのだと思うが、これは北野先生のナオと小夜へのアドバイスの違いにも現れているように思えた
小夜には「枚数が足りない」と言い、ナオには「もっと歩け」と言う
この言葉を表面的に取れば「経験値が足りない」となるのだが、裏を返せば「小夜は撮るのを怖がっている」と言えるし、ナオには「狭い世界にいるべきではない」と暗に留学を後押ししているように聞こえる
その違いを当人がどう受け止めたかはわからないが、彼らは向かうべきところに向かっていったのかな、と感じた
いずれにせよ、写真が効果的に使われている作品で、随所に登場するスチールとか、撮影風景などに深みがあったと思う
一人の天才に振り回された凡人たちの物語であるものの、ナオは自分を特別だとは思っていない
ただし、彼女の写真を見た人にはその違いというものがわかっていて、何気ないシーンに登場するたこ焼き屋さん(越山深喜)なども意味深な発言をする
彼女は写真を撮っているナオを見て言葉を紡いでいて、写真家というのは写真を撮っている姿からも、その天才性というものが見え隠れするのかもしれない
そう言った視点でナオの行動を見て行くと、また違った物語が見えるのかな、と感じた
繊細な心を表現
写真専門学校の男女4人の恋愛や仕事を若者らしい感性で表現した作品。監督もメインの役者も20代。自分とはかけ離れた世代の繊細な心の動きがとてもさりげなく表現されていた。
1人の天才カメラマンの女の子と彼女の引力に引き寄せられた今風のナイーブな男の子。この2人の恋愛のようなその手前のような関係がとても良い。この相手役の男の子の,容赦ないなぁというセリフにグッときた。
彼女がカメラを構える姿、フィルムを巻いてシャッターを押す音がとても印象的だった。
主役の女の子とその友達は2人ともとても可愛いかった。そして、写真学校の先生も結構いい味出てましたね(笑)
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