劇場公開日 2025年3月7日

「鶴瓶師匠であるワケ」35年目のラブレター えんげいさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鶴瓶師匠であるワケ

2025年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

 実話を基にした映画。主人公「保」を演じるのは笑福亭鶴瓶師匠。プロの俳優ではないけど、噺家は仕事柄、演技もうまい。ただ、なんでプロの俳優を選ばなかったのだろうと思って観ながら、他の役者さんだったら、、、、と考えても結局、思いつかなかった。
 若き頃を演じる重岡君もそうなんだけど、この役の大きなポイントの1つは、「染み付いた関西弁」が喋れること。アクセントやイントネーションが合っているだけではだめで、ベタベタの関西人にしか出せない「間」や「空気間」が必要。
 また、もう一人の主人公である「皎子」を演じる原田知世さんとその若き頃の上白石萌音ちゃんは、一見おとなしそうで、実は芯がしっかりしている妻をしっかり演じていた。重岡君や鶴瓶師匠はかなり感情を出した芝居をしていたけど、萌音ちゃんや知世さんは抑制したお芝居が光っていた。いや、実際の「人間の生活」にそんなに感情のジェットコースターみたいなのはないでしょう。
 夜間学校のシーンでは、どこか、夜間高校を舞台にしたNHKの「宙わたる教室」を彷彿させた。いろいろな事情で学べなかった人が、学び直す。人目が気になる病気の男の子が一番に打ち解けるのが、鶴瓶師匠演じる保なのは、いくらなんでも都合良すぎる(心の病はそんなに簡単じゃない)とも思ったけど、鶴瓶師匠ならそんなファンタジーもアリかと思った。
 笑福亭鶴瓶師匠は舞台挨拶で仰っていたとおり、本格的に落語を始めたのは50を超えてから。落語家に入門したのは若い頃だったけど、関西のバラエティー番組や深夜放送ばかり。その深夜放送でも、いきなり深夜の街に出て、ぶらぶら歩きながら若者に話しかけるなど、某国営放送のテレビ番組のハシリのような事をやっていた。また、その某国営放送の番組に知り合いが出たので聞いたら、「ホントに突然来る」、「後で鶴瓶本人からお礼の電話がかかってきた」と言う。マネージャーが礼状を打って、本人がサインするくらいの対応でも感激するのに、本人が直接電話かけてくるのはなかなか。
 そんなにじみ出るものを持っているので、監督もほぼアテ書きだったんだろうな。と想像しながら劇場を後にしました。

えんげい
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