愛に乱暴 : 特集
【この主婦、何かが“おかしい”】不審火、行方不明の
愛猫、怪しい隣人、SNSの不倫アカ、床下への異常執着
丁寧な暮らしを送る主婦の日常が歪んだ…何故? 江口
のりこの怪演が誘う“異様な知的興奮”に浸れる刺激作
8月30日から公開される映画
「悪人」「怒り」など多くのベストセラーを発表してきた
描かれるのは、しあわせな“主婦”の日常……が、少しずつ、少しずつ、でも着実に“歪んでいく”様子。
【不穏濃度は1000%】一見“しあわせな夫婦”の裏側に
不穏さが充満!日常が崩壊…この映画は“心”が炙られる
一体どんな映画なのか? 一歩間違えれば“全てが崩壊”しそうな緊張感が漂っていて、その大元となっている愛のエゴや欲望の炎が、
しかも予想を遙かに超えた“異様な光景”も待ち受けていて――
主人公は、夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らす桃子(演:江口のりこ)。結婚して8年、義母から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うように、センスのある装い、手の込んだ献立などいわゆる
近隣のゴミ捨て場では不審火が相次ぎ、可愛がっていた野良猫が失踪、不気味な不倫アカウントまで目にするように……。
やがて追い詰められた桃子は
観るとどんな感情を得られるのか? 原作者・吉田修一氏は「愛に乱暴」の物語を
例えば、
ひとつの描写をとっても(例えば予告にもある桃子の絶叫など)感動や恐怖、笑い、謎、これらが驚くべきことに同時に盛り込まれており、
しかも「いくつもの伏線」が巧妙かつさりげなく配置されている。あえて「ヒントをアップで映す」なんて野暮なことはしないので、気を抜いていると“真意”に辿り着けない。いわば本作は、
【この映画、油断禁物】大量に仕掛けられた“おかしさ”
あなたはいくつ読み解ける?全身感度爆上げで鑑賞して
ここでは、本編から抽出した
[“不倫アカウント”がおかしい]
桃子は暇さえあれば見ている…アカウントの主は誰? どうやら不倫をしているようだが、その相手は…?
[“スイカ”がおかしい]
桃子が“ある人物”に無理矢理プレゼントしたのは、家庭菜園で育てたスイカ。“一瞬の描写”を見逃さないで。
[“野良猫のぴーちゃん”がおかしい]
餌をあげて可愛がったのに、家に寄り付かなくなった。鳴き声は聞こえるけど“見えない”……何処にいる?
[“義母”がおかしい]
隣に住む義母・照子は野良猫を毛嫌いしている。そこまで?と感じるほど……まさかぴーちゃんは……。
[“チェーンソー”がおかしい]
桃子が購入しようかどうかずっと迷っていた……これは“丁寧な暮らし”に必要?
[“ゴミ捨て場にいる男”がおかしい]
桃子が散らかったゴミを片付けていると、その光景をじっと眺めている。誰? なぜ声をかけない?
[“不審火”がおかしい]
昼夜を問わず、近隣地域で多発中。何者の仕業なのか? 犯人の“魔の手”は、桃子の生活圏内にまで及んで……。
[“床下”がおかしい]
居場所を失い追い詰められた桃子が執着し始める。そこに“何”がある? 消えたぴーちゃん? それとも……。
[“桃子”がおかしい…?]
「やめてください、私を変人あつかいするのは」 臨界点に達した彼女は、衝動と暴走の果てに ――。
作品全体から匂い立つ
【吹っ切れた怪演】“全力”の江口のりこが凄まじすぎた
ダークすぎる小泉孝太郎→彼だと認識できない人が続出
これだけは伝えておかないといけない。本作が、その演技力が極めて高く評価される
2024年は「江口のりこの出演映画」が立て続けに公開されている年(「あまろっく」「お母さんが一緒」「ブルーピリオド」など)。そんななかでも「愛に乱暴」は、
丁寧な暮らしを心掛ける“平凡な主婦像”を精細に体現しつつ、追い詰められた挙句に発する“感情の爆発&暴走”が圧巻。
撮影現場では、感情の流れを反映した“演技プラン”をいくつも提示していたようで、脚本に書かれたシンプルな文章から、桃子に対する“新しい見方”を創造。それが本作ならではの「映画的なラスト」へと結びついている。
江口だからこそ体現できた変容していく
●エンドロールまで“誰だかわからなかった人”も! 小泉孝太郎、パブリックイメージ“陽”&“清廉”を完全払拭したダークすぎるキャラに挑戦
小泉孝太郎といえば、明るく、清廉潔白としたパブリックイメージを持っているが、今回の役どころ“真守”は180度真逆。桃子に隠れて若い女性と不倫をしているというダークすぎるキャラクターだ。桃子への冷ややかな態度、虚空を見つめているかのような生気のない目……
内面だけでなくビジュアル(“前髪”はミリ単位で調整!)もこだわり抜いて完成させた真守像。小泉自身も手応えを感じているようで
試写会では、重たい前髪で額や眉毛が見えない外見に加え、これまでのイメージとかけ離れすぎたキャラクターだったため、
しかも、小泉自身が
ちなみに、小泉と同様に好感度の高いイメージを持つ
【まとめ】この映画、江口のりこの“代表作”となることは確実!! 作品に込められている“不穏さ”の全ては説明しきれないので、お願いだから映画館で味わって
最後に断言しよう。本作が、
そして、ここまで見どころとともに“異様なポイント”を紹介してきたが、その全てを提示しているわけではなく、
自らの“居場所”を求めて全身全霊でもがく主人公・桃子。