愛に乱暴のレビュー・感想・評価
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ありがとう
姑と夫、母屋と離れの暮らし、桃子は完全アウェイ。
料理は上手だし、インテリアの趣味はいいし、石鹸教室の講師もやっている。
なのに、姑も夫からの評価はないい。
彼女も、姑と夫になにも見返りも求めてはいない。
彼女が持っている、丁寧で几帳面な性格がなせる業といってもよい。
孤立無援の中での夫の浮気。
彼女は暴走する。切れまくる。自分の気持ちがちっとも伝わらないことに。
いろいろ原因があるけれど、この家族に足りなかったのは、ほんのひとことなのかもしれない。
それは、「ありがとう」。
おはよう、と同じくらい、大切なひとこと。
「ありがとう。ありがとうと言ってくれて、本当にありがとう」
暴走の果てに、近所の若者の「ありがとう」に応えた彼女のひとこと。突然陽ざしが差し込む。
主人公を演じた江口のりこに送りたかったのは、エールだと初めて気づいた。
🌀江口のりこワールド全開🌀
夫婦生活の「なにか」を授けてもらえるような、もらえないような
何年振りかで夫としょーもない痴話げんかを繰り広げた翌日。
「既婚。子供なしの主婦」と、私と同じカテゴリと知り、なにかの知恵を授けてもらえるかしらなんて動機で、鑑賞。
いや、よくよく見ていたら、略奪婚がベースになっているあたりで、自分とは立場が違い過ぎるしそういうものではないらしい、と気づいたのですが。
終盤近くに真守が桃子に発するセリフ
「ナオは関係ない。もう桃子と一緒にいたくないんだ。一緒にいても楽しくないんだ。」
は、なんというか、目から鱗でした。
そうかぁ。こんなセリフを面と向かって言えちゃうあたり、この種の夫にとって楽しくないというのは妻をチェンジする正当な理由になるんだな。
ずっとずっと楽しませ続けなきゃ用済みなのね。
こんなセリフを聞くくらいなら
「ナオの方を好きになった」
と言われた方がまだマシかな、自分なら。
いや、やっぱりそれも嫌だな(笑)
個人的に夫婦喧嘩の後に見たから、感想が偏ってるかも。
何かしら知恵を授けてもらえるんじゃないかという冒頭の動機に関しては、おぼろげながら授けてもらえた気はします。
こういった波乱万丈人生は映画や小説で見るだけでおなかいっぱい。
自分は平凡でも夫と仲良く添い遂げるべく頑張ろう、と。
若いナオと対峙した時のセリフ
「あなたは選択肢がたくさんあっていいわね」
は、やるせなかったです。
昔はたくさん開いていたはずの未来への扉が、気づけば一つ一つ閉じられていた。
丁寧に生きてきたはずなのに、どこにも行き場がなくなってしまった。
それとの対比でしょうか、ラストでの風吹ジュンのセリフ
「やりなおせるわよ」が、救いに感じました。
メインテーマからは離れるんですが、真守ってちゃんとした会社勤めの人ですよね。
バツ2の揚げ句愛人が妊娠したから再々婚というのは一般社会ではかなり目立つし、男の人ってそういった社会的立場から自分を律していく面があると思う。
実際、不倫がモチーフの作品は古今東西山ほどあるけれど、愛人は愛人のままで終わることが多い。
子供が欲しいなら、愛人と不倫しつつも妻と妊活するというパターン。
この作品はある意味「江口のりこ物語」だから、彼女の心の襞にフォーカスしていて、それはとても見ごたえあったけれど、クズはクズなりに真守の人となりももうちょっと知りたかったです。
不倫するたびにいちいち律儀に(という言い方も語弊があるが)妻を取り換える心の動きは原作には描かれているのかしら。
あと、放火犯って誰だったの??
全てが背を向けた
原作を知らずに見ました
奪ったモノは、奪われる
題名から、園子温監督調の映画を期待して、観に行ったのだが。。。前置きが永く
思わせぶりな ハンドカメラ撮影と 構図が雑で、照明もブルーライトをたいて
ただ"青暗く魅せればよい"という安易なもの
このレベルの映画に、
名優 江口のりこ さんは無駄使い としか言いようがないので、演者により映画の質を上げるよりも、、集客伸ばしの為に
新人アイドルでも起用した方が良かったでしょう。
小泉孝太郎さんは、映画を絞めるのに"良いアジ"を出していました。
この映画は何を言いたかったのか?
最後の種証(たねあかし)だけの1発ネタ映画でした。
3者対面シーンは、予想された展開だが、あらためて切実に魅せられると、とても面白かった。
この映画を観たら、園子温監督「冷たい熱帯魚」を観て、気分を取り戻した方が良いでしょう。
個人的には今ひとつハマらなかった
江口のりこ主演ということと、吉田修一原作という理由で鑑賞することに決めた本作(原作は未読)。予告編は観ていたがどんな話なのか予備情報を入れないまま観ることになった。
中盤くらいまでは主人公・桃子の日常を淡々と描かれる。幸せそうに見えながら、何か不穏な空気を醸し出す毎日。小泉孝太郎の演じる夫が、物わかりよさそうでいながら、桃子の話を全く聞いていない。穏やかな雰囲気なのに心が通っていない夫婦の関係がよく出ていた。妻・桃子の一方通行のコミュニケーション。隣の母屋に暮らす桃子の義母との関係も微妙なものを感じる演出だった。
それがあることをきっかけに、徐々に真実が明らかになっていく流れはなかなか面白かった。なるほど、ここがミスリードになるのかなんて軽い驚きもあったりして。ここらへんはたぶん原作がそうなんだろう。吉田修一さすがだな(あくまで想像だけど)。
ただ、全体としてはよくわからない映画だった。ものすごく悪いやつがいるわけでもなく、皆が善良なわけでもなくそれぞれちょっとずつ悪いことしてる。最後も小説であればもう少し心情が描かれて理解できたかもしれないが、映像だけで見たときには観る側に委ねられすぎていて釈然としなかった。
最初から「変な主婦」でしたがそれは江口のりこなので仕方ない
見始めてまず気づくのが画角の狭さで35㎜フィルムのスタンダードサイズで撮影したというのだけれどデジタルシネマに慣れきっている身にしてみれば何故敢えていばらの道をと思うがメイキングを見ると現場の緊張感と映画愛が伝わってきて幸せ。さらにはステディカムを使っての1シーン1カット長回しが多用され被写界深度の浅いレンズで一寸先がボケボケの手元と表情を行きつ戻りつする演出はスリリング。「予算オーバーした場合のフィルム代は監督とカメラマンが自腹で払う」という条件でプロデューサーを説得したというのだから撮影の重森豊太郎には敬意を表する。役者もかなりの重圧だと思うけれど江口のりこは逆に「エンジンがかかった」そうで、意外な小泉孝太郎のキャスティングも見事はまったし、風吹ジュンにも今年度ベスト姑賞を与えよう。昨今取りざたされる「生産性が無いとされる女性」がテーマなのだが、とりたてて大きな事件が起こるでもない小さな家族の小さな世界の小さな物語。私見だけれど105分のシーン中に90分は江口のりこが出ていたと思われ彼女を愛でるための作品でもあり1映画の主人公登場時間割合はギネス認定されてしかるべし。「変人扱いしないでくれ」という一方で「おかしいフリしてあげてる」とも言う桃子は正気と狂気のはざまを演じる江口のりこそのものでどれだけ叫んでも必死に走ってもメーターを振り切ることは決して無い。クレジットで「カラス担当」という表記を初めて見た。
江口のりこ熱演だが…
新宿ピカデリーで鑑賞🎥
「主演:江口のりこ」という予告編・チラシで観に行ったのだが、江口のりこの熱演がスゴイを通り越して狂気あふれた映画になっていて、悪い事ばかりが起こる絶望的展開をスクリーンで見せられて、中盤から映画館での居心地が非常に悪くなる感覚をおぼえた😰💦
全く楽しく笑える映画ではなく、映画館という閉鎖空間で観たから江口のりこ狂気がビシバシ伝わって来たと思う😨
これはDVDや配信などで観たら印象異なると思われる。
江口のりこ演じる主婦・桃子は、夫(小泉孝太郎)の実家の「はなれ」で暮らしている。同じ敷地の実家には夫の母=姑(風吹ジュン)が住んでいる。
近所のゴミ置き場で放火らしき出火、可愛がっていた猫の失踪、姑との関係からうわべは良好だが心の中ではストレスたまる出来事、そして夫の不倫疑惑……主婦の桃子は料理を作ったり、手作り石鹸の教室で先生をしたりとストレスを解放すべく暮らしていた。
しかし、そんな桃子に次から次へと凶事が……という展開。
本作で江口のりこは本当に熱演を見せてくれて、それがコチラに伝わって来た。夫は「妻はいつも冷静…」などと思っていたようだが、桃子が家の柱をチェーンソーで切る件で夫が「何やってんだ!?」との問いに「狂ったふりをしていないと、本当に狂ってしまうから…」という名演を見せる⚡
ただ、この映画、江口のりこの狂気のみを強調している感があり、彼女が歩く場面などで彼女の前から手持ちカメラで長めのショットを撮っているが「画面が揺れ過ぎ」である。『シャイニング』的に撮れなかったのか……と思ってしまう残念シーン (^^;
期待度が高かっただけに、残念な映画に見えてしまった😭
江口のりこ熱演していただけに、よけい惜しい感が残った🥲
……彼女に少し加点↗️
<映倫No.124202>
人を人としてならしめる条件とは何か?
心に染みる作品ではあります。
とはいえ、因果応報なストーリー展開で何に感情移入すべきかわかりにくい作品でもあります。
孝太郎は身勝手なクズですが、「君といてもつまらない」という感情の発露は嘘ではなかったはずです。江口側に瑕疵がないかといえば、それは流石に嘘。
人間と人間のすれ違い、真実と建前のすれ違い。
そういった現代社会の人と人との矛盾にフォーカスを当てた作品として、その志は認められますが、最終的出力されたアウトプットとしては、残念ながら、不満が残る作品でもありました。
友だち
エンディングはモヤっと、でも演技には目を見張るものがありました
主人公が壊れてゆく予告編が気になって
予告編をみて、そして皆さんのレビューをみて、平凡な主婦が壊れてゆく内容に、嫌悪感を抱きつつも、劇場で観ようと思うのは江口さんの評価があまりに高かったからです
すべての夫婦が円満なわけはなく、事件にならなくても葛藤をかかえている夫婦は多いのでしょう
「そこまで崩れているはずがない」と周囲に思われている夫婦であっても、夫・妻各々に言い分があったり、舅姑、親戚や職場、近所などまわりの要因によって崩されていく夫婦も多いのでしょう リフォ―ムの話を妻は再三しますが、夫婦共同で喜びを共感できる「子育て」の体験がない主人公にとって、「家を造る」作業となるリフォ―ムの話題に一縷の望みをかけて夫に何度も訴える様は、何とも痛々しい クズ夫に期待することはできないと我々観客は思うのだが、女の影がみえても修復の糸口を探そうとします 帰る家も安定した仕事を持たず夫の経済力に依存している専業主婦たちはこの主人公に共感をしているのではないでしょうか
原作を読んでいないが、上下2巻からなる原作には、さぞかし彼女がこのようになっていく過程が丁寧に書かれているのでしょう
嫌な姑を演じた風吹ジュンさんはアイドル歌手でデビューした頃、歌もトークも当時まわりが心配したのに、大変身です 今回は嫌な役ではありますが、冷酷さもうまくてさすがです
(9月5日 イオンシネマ和歌山 にて鑑賞)
丁寧にえがかれる乱暴
そりゃ他人は楽しい
いたたまれない
寄り添うカメラに人間が浮き上がっていく
猫とコーヒーカップ
相変わらずの江口のりこの熱演ぶりが印象的な映画でした。夫、姑、職場、近隣住民など、あらゆる人間関係にズレが生じた主人公・桃子が、孤独感、疎外感の余りどんどん狂って行くようでいて、よくよく考えれば現代社会に生きる誰しもが陥る可能性のあるシチュエーションを描いていただけに、非常に見ごたえがありました。
基本桃子にスポットを当てた作品だけに、カメラの焦点も桃子だけに合わせることが多く、背景はぼやけた写し方をした辺りも、彼女の独りぼっち感を高めており、大変効果的だったように感じました。そのせいか、夫役の真守を演じたのが今話題のシンジロー氏の兄貴だと気付いたのは、中盤あたりに彼が風呂場から出てきたシーンでした。前髪を下したヘアースタイルだったこともありましたが、まともに妻と目を合わせて会話をしない夫役の演出が効いていて、観客も桃子の喪失感を味わうことが出来る創りになっており、監督の芸の細かさに恐れ入りました。
また、孤独に苛まれた桃子が執着した猫のピーちゃんとコーヒーカップという小道具も極めて効果的でした。特にピーちゃんは、鳴き声はすれど姿は見えず、これはきっと何かあるに違いないと思わざるを得ませんしたが、案の定そこに物語の秘密が隠されており、それを知ると100%桃子に対して同情とか共感をすることが出来なくなる辺りもかえってリアリティが高まって素晴らしいお話になっていました。
最終的には、桃子も含めた日本社会から、桃子以上の疎外感、孤独感を感じていただろう近所に住むアジア系の外国労働者からの一言や、夫の不倫相手と自分の共通項に気付いたこと、姑との不思議な和解などを経て、どこか吹っ切れた桃子の姿を見られて少しほっとして劇場を後にすることが出来ました。
そんな訳で、本作の評価は★4.5とします。
平凡な日常が破滅的な世界に変わっていく
江口のりこさん主演ということに興味を惹かれ見てきました。
(あまろっく以来私の中で江口のりこ株が上昇したので)
表面上はたいして問題もなさそうな家族なのだが、可愛がってた野良猫の失踪、体調不良、夫の浮気、石鹸作り教室の廃止、義母との微妙な関係などから徐々に壊れていく主婦桃子を江口のりこが熱演。
日常の描き方が自然でありながら不穏な空気が漂うという描写がうまく、この空気感がこの映画の魅力かもしれません。
桃子の夫役小泉孝太郎がまさかのダークキャラ。
いろいろ疑問の残る映画でもありました。
まず失踪したぴーちゃんという猫の姿が一度も登場しませんが、本当にいたのでしょうか?
そして桃子が頻繁に見るスマホのXは浮気相手の投稿かと思っていましたが、投稿写真の服の柄からすると昔の自分の投稿なのか⁉そしたらなんのために頻繁に見ているのか⁉
不審火の犯人は結局誰なのか?
夫が桃子の前にも妻がいて、前の妻と別れて桃子と一緒になっていることが終盤になって判明し、同じことが今回繰り返されていることがわかる。
今回は桃子が夫の浮気の犠牲者となる。
桃子の生きる居場所が失われようとしているとき、ついに江口のりこがホームセンターでチェーンソーを買い床下を破壊するのだが、ぎりぎりのところで一線を超えないのがこの映画のいいところ。
腹立たしい夫の浮気相手に対しても家を出てからの大きな物音に、まさか部屋で倒れたのではと慌てて走って戻る。
そういった細かな描写が妙にリアリティを感じさせると思いました。
ただ、泥だらけになった江口のりこさんがシャワーを浴びるシーンでバストトップは本当に見せる必要はあったのでしょうか。
映さないと逆に不自然に見えるからなのかなあ。
近所に住む外国人のホームセンター店員から「ありがとう」を言われ桃子が涙するシーンが桃子が少しだけ救われてよかったと思いました。
なんかいろいろ不思議な魅力のある映画だったと思います。
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