「相変わらずミニオンたちは可愛いけど……」怪盗グルーのミニオン超変身 オニオンスープさんの映画レビュー(感想・評価)
相変わらずミニオンたちは可愛いけど……
7年ぶりとなる「怪盗グルー」シリーズの新作、ミニオンと共に育ってきたと言っても過言ではない自分は大変胸を躍らせて劇場に足を運んだ。
結果、ミニオンは今まで通り圧倒的に可愛く、馬鹿騒ぎや悪戯も面白く、笑いに次ぐ笑いで大変楽しめた。
三姉妹をはじめグルー家の絆も相変わらず尊く、そして今回はそこにグルーJr.というまたもや可愛らしい家族も増えて良かった。
また1作目はグルーに割と従順なミニオン、2作目は怪物になってしまうミニオン、3作目はグルーに反旗を翻すミニオン、というミニオンの変化も楽しみにしており、今回は「超変身」という(恐らくアベンジャーズをオマージュしている)これまた面白い変化で、そしてパワーを得て調子に乗って張り切りすぎた結果、大失敗を引き起こしてしまうという、ミニオン達のいつもの流れまで見せてくれて、まさに「見たかったものを見れた!」という感覚であった。
さらに、地味に楽しみにしていたグルーや敵の洗練されていて、どこか近未来的なかっこいい武器や乗り物の数々は今作でもふんだんに盛り込まれており、大変見応えがあった。
上記のように今までの「怪盗グルー」シリーズを踏襲し、観客のニーズにしっかりと応えてくれた映画であった。
以下、ネタバレを含みます。
このような、割とストーリーというよりビジュアル重視の映画にこういう事を言うのは野暮かもしれないが、目新しさや内容という点では物足りなく感じてしまった。
「怪盗グルー」シリーズは(ミニオンの可愛さという完璧な強度を誇る土台の上ではあるが)常に敵と家族の2本の軸をセットで描いてきていた。
1作目はグルーvsベクターという敵の軸と、グルー&三姉妹という家族の軸。2作目はグルーvsエルマッチョ、グルー&ルーシー。3作目はグルーvsブラット、グルー&ドルー。
それぞれが家族となるまでの交流を描き、敵に立ち向かうというのが「怪盗グルー」シリーズの醍醐味の1つでもあったように思う。
ただ今作は少しズレていた様に感じた。
今作に置いての家族としての軸は、グルーJr.に好かれる父親になるまでのグルーという話だと思うのだが、実際には、グルーJr.と関わるシーンは少なかったように感じた。(しかもグルーJr.の世話はもっぱらミニオン達がしていた印象、ピットインの格好をしてオムツを隣家に吹き飛ばしていたり、ふざけていたのは大変面白かったが)逆にポピーとかいう女の子とグルーのやり取りは多く感じてしまった。
あれでは物語終盤のグルーJr.がマキシムによって虫に変えられてしまい、グルーのピンチに自我を取り戻すというシーンでやや説得力が欠けるのではないかと感じてしまった。
また、隣人との付き合いだったり、ポピーとのやり取りだったり、正直あまり必要ないかなと思ってしまうシーンが多々見受けられ、個人的にはグルーとグルーJr.の交流もしくは超変身したミニオン達や、グルー家から反悪党同盟まで運ばれるバス内でのミニオン達の馬鹿騒ぎをもっともっと見せて欲しかった。
もちろんこれはわがままである事は承知の上だが、もう少し内容を詰めるか、ミニオンという最強の武器を全面的に見せることに振り切るか、どちらかにして欲しかった。
感覚的には、ミニオンたちの悪ふざけや失敗、ドタバタ劇など絶対に見たかったシーンなどの必要条件は満たしてくれたが、物語にもう少し展開や深掘りがあって欲しかったなどの十分条件は満たしてくれなかった映画であった。
ただ、イルミネーション社は「ミニオンズ」はじめ「ザ•スーパーマリオブラザーズ•ムービー」、最近で言うと「FLY!」などの素晴らしすぎる映画を撮ってきているので、また次回作も大いに期待したい。
追記、推しであるスチュワートやネファリオ博士がもう少し出て欲しかった。
追記、ラストシーンのこれまでの敵が再集合する様子は懐かしさも相まって大変満足出来た。
追記、他の方々のレビューでも見られるが、確かに虫が大の大の苦手であるなら、見るのを控えた方が良いかもです。ただ少し苦手ぐらいの人なら大丈夫だと思うので是非見ることをオススメします!