「去り際に追加の大爆撃があれば、往年のアメリカおバカ映画に肩を並べられたと思う」ランド・オブ・バッド Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
去り際に追加の大爆撃があれば、往年のアメリカおバカ映画に肩を並べられたと思う
2025.8.19 字幕 MOVIX京都
2024年のアメリカ映画(113分、PG12)
特殊部隊に加わるJTACの管制官を描いたスリラー映画
監督はウィリアム・ユーバンク
脚本はデビッド・フリジェリオ&ウィリアム・ユーバンク
原題は『Land of Bad』で、「悪い国」という意味
物語の舞台は、フィリピン沖にある孤島
CIAエージェント・アセット(Francisco Sagad)がその島にいるとされる元KGBの武器職人ペドロフ(Jack Finsterer)を追って行方不明になったという情報を基にして、アメリカ海軍は特殊部隊を派遣して、その奪還を試みることになった
ネバダ州にあるネリス基地から無人戦闘機「MQ-9」をフィリピン沖に飛ばし、現地に派遣するJATC(統合末端攻撃統制官)の指示を受けて爆撃を擁護する、という作戦になっていた
特殊部隊タスクフォース3名と統制官を現地入りさせ、匿われているアセットを助け出す算段をしていたが、そこに現地の武装勢力のアブ・サヤフの一味が乱入し、現場は混沌としてしまう
作戦変更を余儀なくされ、統制官のキニー(リアム・ヘムズワース)はリーパー(ラッセル・クロウ)に攻撃の指示を出した
その攻撃によって、敵に感知されたキニーたちは、銃撃戦に巻き込まれてしまう
タスクフォースのエイブル(ルーク・ヘムズワース)が被弾し、ビショップ(リッキー・ウィトル)と隊長のシュガー(マイロ・ビンティミリア)は敵のRPGの餌食になってしまった
作戦は失敗と判断され、生き残ったキニーを生還させるためのミッションが始まるのである
映画は、アセット奪還失敗からの逃走劇を描き、紆余曲折を経て、敵と一戦を交える様子が描かれていく
基地ではパケット大佐(ダニエル・マクファーソン)をはじめとした隊員たちが大学のバスケの試合に熱中していて、ほぼ職務放棄状態となっていた
それが最後のキニー奪還に対するリスクとなっていて、ここまで質の悪い部隊もそうそう無いと思う
このあたりがほぼコメディとなっていて、最新鋭の設備があっても、管理者や使用者がバカだと使い物にならない
軍人としてあるまじき人々が何のお咎めもないのかはわからないが、あの感じだと、リーパーの不遇は変わらないのだろう
大佐がアレだから風紀が乱れているだけなのかわからないが、米軍がきちんと機能するとしたら、あの場にいた全員は懲戒免職になるのだろうなあ、と思った
物語としては、職場で浮いているリーパーがバディを組んだブランソン(Chika Ikogwe)との絆を深めるという結びになり、キニーとビショップ、アセット(劇中ではイエメンにいるとか言われていた)が助かる様子が描かれていた
リーパーの嫁さんの妊娠騒動がラストではほぼ無視されていて、悠長に食料品店でヴィーガン向けの食材を選んでいたのは不思議だった
基地の回線もあんなぞんざいに扱われるとも思えず、ミッション中に持ち場を離れてバスケで盛り上がるなんてことはないだろう
おそらくは、キニーとリーパーをいかにして窮地に立たせるかというシナリオを積み上げているので、それゆえに背景的なリアリティは感じられない
だが、そのあたりを踏まえても、緊張感の演出には貢献していたし、映画だなあと思って、ポップコーンを食べながら見るのはアリなんだと思った
いずれにせよ、ちょっとおバカ系の爆発系アクションを楽しみたいならOKで、細かいところが気になる人にはキツい展開のように思える
カタルシスに関しては、最後に大爆発があってもよかったかな、と思ったので、3人が救出された後に「証拠隠滅」も含めて、大規模爆撃があってもよかったように感じた
ラストがリーパーとブランソンのダンスというのは何とも言えないところだが、多くの仲間の信頼を得るよりも、1人の理解者がいる方が良いという感じなので、悪くはないのかな、と思った