ルックバックのレビュー・感想・評価
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緻密な構成がすばらしいヒリヒリする名作。
すばらしかった。
東北地方と思われる田舎が舞台。
小学四年生の藤野は学年新聞に四コマ漫画を連載している。周囲に才能を認められていたが、彼女が描いていたスペースを登校拒否をしている京本にも分けることになる。
京本は高い画力を持っており、藤野は驚愕する。そして必死に練習をしているうちに六年になった。そこでついに心が折れて描くのをやめる。
小学校の卒業式の日、担任に頼まれて京本に卒業証書を届けに行く。
そこではじめて京本に会い、ファンであることを告げられる。
そしてふたりはプロを目指して合作をはじめる。
といったもの。
「チェンソーマン」がヒットした藤本タツキということである程度のヒットは見込めたと思う。
58分という短さで、DS作品として1,700円均一料金が設定されたのも話題になった。
また、デジタル全盛の現代にあえて手描き感を出したことも評価されている。
もちろんそれだけではヒットしない。
本作はマンガを描きたい、という初期衝動と、藤野と京本の友情がエモーショナルに描かれている。
今はネットがあり、誰でも漫画を描いて発表できる時代になった。
そのハードルの低さは、本作の主人公藤野が学級新聞の漫画を描いているところにも通じている。もちろん、そこから藤野のようにプロデビューする人はほんの一握りだ。それでも自分の漫画を発表して認められたいという欲求に共感する人は多いだろう。
「ルックバック」というタイトルについて。
以下はネタバレになる。
「過去を振り返る」「背中を見ろ」といった意味。
作者の藤本タツキ自身が過去を振り返るという意味での「ルックバック」でもあるだろう。
本編の話をすると、小学校を卒業する日、はじめて会った藤野に京本はサインをねだる。色紙がなかったので自分の着ていた半纏の背中にサインをしてもらう。これが後の伏線になる。
藤野と京本は一緒に漫画を描くようになる。新人賞に応募して準入選となる。懸賞金が入り、2人は町に遊びに行く。藤野は京本の手を引いて歩く。藤野はいつも京本の後ろにいる。これも伏線になる。
2人は読み切りを7本描き、高校卒業後に連載をすることになる。しかし京本は美大にいく決意をして、コンビは解消される。
藤野はシャークキックという漫画を連載する。サメ人間が戦う話でキックが得意のようだ。これも伏線になる。
藤野はアシスタントがうまく使えないらしく、1人で描いている。
テレビでニュースが流れてくる。山形の美大で通り魔殺人があったと言うのだ。通り魔に殺されたのは京本だった。
葬式に訪れた藤野は京本の部屋を訪れる。
廊下にはデッサン帳が積み上げられており、シャークキックの掲載誌が置かれていた。そこには藤野が京本に出会った日に描いた四コマが挟まれていた。
もしその時自分が京本を部屋から出さなければこんなことにはならなかったと後悔する。
藤野が部屋から出てこなかった場合を思い浮かべる。妄想の中でも京本は美大にいく。そして通り魔に襲われそうになるのだが、藤野があらわれて飛び蹴りで助ける。
藤野は連載しているシャークキックの主人公と自分を重ねているのだった。
部屋の前でためらっていると、扉の下から4コマ漫画が描かれた紙が滑り出てくる。あたかも京本が投げてよこしたかのように差し出された。
漫画の内容は、通り魔に襲われそうになった京本を藤野がキックで助けるというという藤野の妄想を形にしたようなものだった。四コマ目で、立ち去ろうとする藤野の背中に凶器となったツルハシが刺さっている。
タイトルは「背中を見ろ」。
このタイトルは背中にツルハシが刺さっているのに気がつかないというギャグではある。英語にすると「ルックバック」だ。
「背中を見ろ」という言葉は現実の藤野にそのまま当てはまる。京本の部屋で振り返ると、あの日藤野が背中にサインした半纏がかかっていた。
京本は藤野をずっと見ていたのに、藤野は気づいていなかったのだ。
その四コマ漫画を持ち帰った藤野は自分の前にその4コマの紙を貼って漫画を描く。それがエンディングになる。
おそらくここで描いているのが「ルックバック」なのだ。
エンドロールのショットで、物語が円環を為す。
本編は作中の藤野が描いている「ルックバック」だから、京本の親が出てこないのも、京本の部屋に自分の未来を予期したような4コマ漫画があるのも辻褄が合う。ちなみに京本の家に親が全く出てこないのは、藤野の両親と姉がいる藤野の家と対照的だ。これは本当に親がいないわけではなくて、抽象的に家族の中で暮らしている藤野との対比でそのような演出にしてあるのだと思う。
この映画は、夢を叶えて成功したけれど身近なところで自分を愛してくれている人のことを理解していなかった、という後悔の物語なのだ。緻密な構成をひとつずつ読み解いていく面白さも含めて素晴らしかった。
描いて 苦しくて 描いて 食って 描いて 寝て 描いて 描いて 描いて…
藤野は、京本にとっての友だちであり、道じるべ。
京本は、藤野にとってのファンであり、道標。
互いに互いを道(標)しるべとしている。
ふたりの4コマ漫画は、絆であり北極星。
素晴らしいです!そして色々反省です。
正直ノーマークでした。朧げな記憶をたどると書かれている方もちらほらいらっしゃいますがイオンシネマの回数チケット1,000円でちゃっかり鑑賞している身としては同チケットが使えないことが第一障壁だったような気がします。あと1時間弱の上映時間も。でも激しく反省です!
そんなこんなで観落としていたことぼんやり思い出しながらふと「早くもprime videoで配信開始」の謳い文句につられ週末金曜日の定時後、疲れた目を擦りながら観た時の衝撃は今でも忘れません!(まだ一昨日のことですし!)日にちが変わって土曜日深夜(明け方?)に2回目の鑑賞。素晴らしいです!今後時間単価で考えるのはバイトを雇う時だけにします。
全編通して何故だか涙が出てたまりませんでした。確かに京アニのことをイメージしてやるせない気持ちになりましたが鎮魂歌(レクイエム)としてもの凄く胸に刺さりました。
自信過剰、井の中の蛙、負けず嫌いの藤野が京本のおかげでそのことに気づいて奮闘努力する姿はこの歳になっても見習うべきと痛感しました。京本から憧れの藤野先生って呼ばれ雨の中スキップ、さらにはガッツポーズまでする姿、大好きなシーンです。お返しじゃないけれど京本も同じく雪景色の中嬉しそうに歩く姿も印象的でした。
長編作品を読んだ雑誌社の編集者(?)から中学生の作品としては面白いんだけど‥みたいなダメ出しされるんじゃないかとうがった見方をしてしまった自分にも反省です。
小学生から中学、高校を経て大人になる成長の流れをなんの違和感なく吹替えたた河合優実さん、吉田美月喜さん、天晴れでした。ここのところ出すぎとも思える河合さんの活躍ぶりには目を見張ります。個人的には思わず「いいこと言っちゃった」ユニクロの彼女が輝いています♪
とにかくみなさん、老若男女觀てください。いい映画です。私の生涯ランキング上位に入る作品になりました。
最近見たアニメでは一番絵が美しい
映画.comの評価が高かったので見る前にかなり期待していた。
そのせいでもあるのかもうちょっとって感想。
絵に関して言えばクオリティは相当なものだったと思う。
最近のアニメの中では群を抜いて美しいと思った。
とはいえアニメはほとんど見てないからもしかしたらもっとすごいのあるのかもしれんが。
ストーリーが1時間と短く集中しやすいしまとまっていたとは思うのだけど、
前半の青春ストーリーと後半のツルハシによる惨殺、それに続き並行世界とのリンクはちょっと唐突過ぎて違和感この上なかった。
前半の藤野の漫画への思いや周りからの反応、思い上がりや落ち込み、京本の友情の構築は少ない時間にも関わらず美しい映像ですごい説得力があった、そして京本の自立なんかは、でも誰も責められないよね、、と二人の別れに涙していたのに、後半はあまりにも日常から逸脱し過ぎて前半からの流れを無視し過ぎていると思った。
まあ、現実として京アニの事件みたいなこともあるのでありえないとは思わないけど、
あくまでも青春ストーリーの中に出すものではないと感じる。
そのため藤野が漫画を辞めてしまった後の立ち直り、タイトルにもあるシーンが
自然というよりは強引に感動に持っていく感があって多少興醒めしてしまった。
ルックバックの意味に込められたものがあのワンシーンにだけに込められたものがあるのならちょっと弱いかなと思う。藤野が立ち直るシーンに使われるのならば、後ろを見て、私はいつもあなたを応援しているよ的な意味がもっと含まれていて欲しい。いや、もちろんあのはんてんにその意味もあるとは思うのだけど、ルックバックという言葉はあんまり前向きな言葉じゃないからね。。ドントルックバックアップならまだわかるけど。
同じ死ぬにしても藤野が人気が出て自分のスタジオに招待した時に自動車事故に遭って死ぬとかの方が自然かなと思うし。立ち直るのにも京本の部屋を訪れて自分の漫画が揃っているのを見て私を見ていてくれたんだという思いと過去の友情から、京本が前を向けと言っていることを感じ取る方が自然じゃないかと思うけどね。まあ素人の安直な案ですけど。
ちょっと批判的なことも多くかいちゃったけど、良かった分ちょっと不満も大きかったかなという意味合いで。つまんない映画だと批判も何も出ないからね。
喜怒哀楽、心をいっぱい揺さぶられました。
アマプラから新作のお知らせで上がってきて調べてみたら、アニメを観てファンになった『チェンソーマン』の作者藤本タツキ先生原作で、1時間に満たない作品だったので夕食までの時間潰しに観てみようと軽い気持ちで観始めました。
小学校卒業文集の「将来の夢」に「漫画家」と書いたことを思い出しました。
あの頃は得意分野で自分以上の才能と出会ったらなんかイラついてたなぁ~、でも認めてもらったらとんでもなくうれしかったなぁ~、それが会話の中の何気ない一言だったとしても。
すげぇ気持ちわかる…とドンドン引き込まれていきました。
声優初挑戦という主人公2人の演技の素晴らしさに心揺さぶられます。
その反動で、事件が起こった後のBGMだけでセリフ無しの2人の思い出がスライドショーみたいに流れるシーンが余計に際立ち、涙が溢れて溢れて止まりませんでした。
とにかく2人のキャラがそれぞれ引き立ち、愛おしくてたまらなくなります。
最初から最後までシチュエーションや時間軸、背景が変わっても全編を通して描かれる執筆中のずっと変わらないひたむきさが伝わる右肩下がりの後ろ姿、タイトルと相まって印象に残ります。
作画、音楽、演技、短い時間内に全てがうまくシンクロして、軽く観るつもりがだいぶ心を持っていかれ、いいモノみせてもらったという気持ちになれる満足感の高い作品です。
感情、表情の細部まで表現されてる...!凄い!
アニメでこんなに泣いたのは久しぶりです。
細かいモーションや表情から登場人物の感情がリアルに伝わってきて、心を動かされました。
2人の何気ない会話の中で京本さんが「もっと絵が上手くなりたい」と話していたことを
思いますシーンがめちゃくちゃ泣けました。
芸大にいきたかった理由がそこにあったんだって、
京本さんの想いに気付いた瞬間の描画が素晴らしかったです。
こういうことは現実にもあって、表現しづらい部分や忘れてしまいがちな感情をこのアニメではリアルに表現していて、これはアニメを超えて芸術のような感じすらしました。
京本さんが通り魔に襲われているシーン、犯人は「パーフェクトブルー」に出てきたストーカーを連想させられました。またトラウマになりそうな位怖かったですw
とにかく素晴らしかったー!!
なんか悲しくて現実を変えられないという現実に非力さや儚さを感じて凄く泣いてしまいました。
チェンソーマンも大好きだから、タツキさんのこれからの作品が楽しみだし、応援したいです...!
子供の頃の夢中だった感情を思い出す作品
藤野と京本の表情や声から、感情表現がとても伝わってくる映画でした。子供のキラキラした純粋さや、好きなことに熱中する事の素晴らしさが描かれています。
特に藤野が雨の中の帰り道、感情が溢れ出してスキップするシーンが素晴らしかったです。
子供はいつだって自分を褒めて、認めて欲しいと思っています。藤野にとって漫画を褒められる事は、自己の存在意義になっていたのでしょう。一度は諦めたそれを、自分が認めたライバルだった京本に褒めてもらえた事は、天にも昇る気持ちだったと思います。
自分にも絵を褒められた経験があり、その時の嬉しかった感情が蘇るようでした。
ハッピーエンドとは言えない最後でした。ですがそれは、作者の"漫画を書く"という事に対しての無力感から、行き着かざるを得ないラストシーンだったのではないかと思います。
しかし、ラストシーンの讃美歌が、京本の死と藤野の背中に祈りを捧げるような優しい曲でした。それにより、苦しくても哀しくても、前を向く良いラストとなったと思います。
4コマのオチ
マンガと映画のいいとこ取りの素晴らしい作品。
短いながらもストーリィはお互いの青春と友情、サクセスストーリィを詰め込んだ見応え。
見どころは本当にたくさんあるので困る。
お互いがお互いの背中を見て走る
キョウモトの絵の上手さに描くことを諦めたフジノに見せるのは再びマンガへとひきも引き戻すキョウモトの背中。
引きこもりだったキョウモトを外の世界へと引っ張るのはフジノの背中。
ラスト、マンガに後悔し絶望したときに見たのはあの日のキョウモトの背中。
そこには「藤野歩」
再びマンガと向き合うフジノ
事件のテロップが入るあたり京アニの事件の鎮魂も思わせる。
キョウモトに対して描いた4コマのオチは死
フジノに対して描いた4コマのオチも死
冒頭のフジノが描いた4コマも小学4年であのネタはすごいと思ったよ。面白い。
単行本の表紙とかほぼチェンソーマンでサービスも多い。
嬉しい時には雨の中でステップを踏むのである。
その背中を見て
「ルックバック」言葉の通りその背中を見てという事になる。主人公の女の子は、小さい頃から自分の描いてる漫画が上手い上手いと周りに褒められてきて、自分自身もなんだかそれを真に受けて生きてきた。
それでもある日同じクラスの生徒で、同じく漫画を描く作品を見た時に自分の作品がどれだけ滑稽に映っていたのかを自分自身が驚愕する事になる。
この作品ですごいと感じたのは、その自分の力のなさに一度は、漫画を描くを諦めた事。
それは、自分の限界がここまでなんだとボーダーを引いて下がろとした。
でも、同じく漫画を描いてる家に踏み入れた時に自分は、【頑張っても才能のあるやつなんかに勝ってないよね?】という自分の考え方を後ろから殴りつけられる程にその子は、頑張っている事を知った。
そこでその主人公は、諦めるのではなく、さらに漫画を描き始める事になる。普通ならそこでまたも諦めそうな気もするのにそれでも続けていくのは、自分がやりたい事がこれだ!といえるくらいに自信があったからなんだろうと思う。
【自分が好きな事】と【自分が得意な事】は、似ているようで違う。それは、努力を続けるのに価値があるのかとも言えるかもしれない。得意ならそれ以上に頑張らなくてもなんとなくこなせてしまう気がするから。
でも、頑張っている人にしか見えない光景があるはずだと僕自身は、信じている。
頑張ることが正しいと言うことを言いたいのではないけど、頑張らないとダメな自分に向き合えないと考えているから。
この作品は、色んな観点から見てもものすごく示唆に飛んだ作品で見る度に自分の考え方を変えてくれるような気がする作品でした。
とても面白い作品で短いながらも濃縮な1時間でした。
辛い中にも美しさが際立つ映画
原作を読んだとき衝撃だったし、涙が止まらなかった。
映画版はテンポも良く絵が美しい中に、
漫画が恥ずかしいとか
他のことをして遊びたいとか
別の習い事をした方がいいとか
そういった周りの言葉に押し流されて
自分の夢を取るに足りない
元からそんなに真剣に目指していた訳でもないと思い込み、
ストレートに心から凄いと言って信じてくれる人の言葉で
夢に舞い戻って
褒められるとなんでもないことのように嘯いて。
苦しくなるほど本当のことがたくさん詰まっている。
結末を知らなくても、ふたりの笑顔に涙が出てくる。
藤野に助けてもらったからこそ、ひとりで頑張りたいと思う京本の気持ちも、
見離されたように寂しく思う藤野の気持ちもどちらも分かってひりひりする。
連載漫画のグラフと増えていく巻数、重版される新版、
巻かれるアニメ化の帯
といった余計な言葉を足さず見せていくようなシーンを
合間に挟みつつのドラマが展開してく表現が良い。
京本が殺されて連載もストップしてしまって、
いろんな事実だけでも辛いのに、
「京本死んだのあたしのせいじゃん」
「描いても何も役に立たないのに」
からの京本パートが吐き気がするほど苦しい。
背中を見て、という四コマから、
藤野のサインが背中に描かれた半纏、
そして藤野の後ろ姿。
讃美歌のような曲で終わるのも美しかった。
クリエイターじゃなくても
ネットの評判を見て、いわゆるクリエイター的な人に刺さる映画なのかなと思っていたけど、そうじゃなくても十分楽しめた。いろんな要素があって、とても良かった。
最後にパラレルワールド的な描写になりそれが藤野を救うラストになっていくけれども、それが力技だし現実的じゃないのに雑に感じるわけでもなく納得できてびっくりした。こんなにストンと入ってきたの初めてかも。
濃密な一時間
一時間で1700円は〜なんて心配ご無用。
とても短時間な作品と思えないほど濃密な体験ができます。
まず、画が素晴らしい。手書きなのにキャラがよく動く。やはりCGには出せない味わいが手書きにはたくさんある。
背景もカット構成も飽きがこない。キャラに負けじと背景も動く動く。
声優陣も河合優実さん、吉田美月喜さんも独特の世界観を熱演。あらためてテロップみるまで誰がやっているか忘れてた。
原作既読で悲しいお話、原作の良さを演出でさらにバージョンアップさせていて悲しさが増す。
MGMの映画ということでアメリカでも人気らしいが、突然の事件で大切な人を失う悲しみや憤りは世界共通。日本でもなぜ京都であんな事件が起きてしまったのか。あらためて亡くなった皆さんのご冥福と、遺族の皆様にはお悔やみを申し上げたい。
開始10分で泣いた
いろいろと言葉にならないけど、凄く良かった。2人の描いたマンガは笑かしてくるし、笑ったけど、それ以上に主人公と一緒に驚いて、落ち込んで、笑って、泣いた。
手を引っ張る藤野と一緒に駆ける京本をこれからも思い出すと思う。
漫画家についても考えさせられた。
目をいからせて歯をくいしばって登場人物に同期して描く。
焦って、泣きそうになって登場人物と同期して描く。
沢山の絵の練習がそこにある絵の下書きとして描き捨てられて来てる。
この世の漫画家先生たちの魂込めた絵に改めて感謝。
「描くより、読むほうがいいよ」
そういいながら今日も漫画家先生たちは描いてくれてる。
藤野のせいじゃないよ
感動するけどやっぱり60分では泣けないなあと思っていたら、藤野に命を救われた後「アシスタントになってね」と言われルンルンで帰る京本のシーンで突然ぼろ泣き。そっちの世界線でも、どうしたって京本の世界には藤野がいたんだよね...だったら一瞬でも2人で活動できた京本の人生は大満足だったはず。そんなことを感じ取ってかもう一度漫画を描き始める藤野の背中も良かった。
震えました。
原作未読。
「死と和解できるのは創造の中だけだ」。
藤本タツキはインタビューで、たまたま読んだ本の中に出てきた上記のセリフに触発されて今作品を制作した、と言っている。
それを聞いて、ふと思い出した。(これはずいぶん前にテレビ番組で見た話だ)
かの有名なサグラダファミリアのロザリオの間に、爆弾魔の彫刻があるのをご存知だろうか。1893年にバルセロナの劇場で爆弾を投げ込まれる事件が実際にあり、20人程が犠牲になっている。この時アントニオガウディの血縁者?が巻き込まれて亡くなっているらしく、この爆弾魔の彫刻はガウディ自身の作と言われている。
注目すべきは、この彫刻の爆弾魔の青年の手元。
当時のオルシーニ爆弾と呼ばれる球形の爆弾を悪魔が背後から差し出しており、それを今まさに受け取ろうとしている瞬間の姿が彫られているのだが、その爆弾魔の男の手元は、爆弾を握ってはおらず、手はふんわりと、爆弾から少し浮かせて彫ってあるのだ。
外尾悦郎という日本人がサグラダファミリアの修復に携わっており、彼が言うには「自分も彫刻家だから分かるが、偶然そうなった、ということは絶対あり得ない。意図してそう彫ったとしか考えられない」とNHKのインタビューで答えていた。青年の顔は聖母マリアに向けられており、スペインの内戦と経年劣化で顔の部分がはっきりと残っていないため、どんな表情で彫られていたのか不明だったそうだ。
ガウディは、なぜ手を浮かせて彫ったのか。
もしかすると、青年は、爆弾を投げる事を一瞬ためらったのではないか。そしてその一瞬は、まだ引き返せる一瞬だったのではないか。
…if世界。ルックバック。
ガウディもまた、創造の中で死と和解しようとしたのだろうか。
亡くなった方は二度と戻らない。その現実に納得なんて誰もが出来ないだろう。京アニ事件の犯人のした事は決して許されることではないし、この事件に限らず、現実世界には受け入れ難い苦しみや目を背けたくなるような残酷な事がたくさんある。その時、クリエイターは、やっぱり創造するのだ。創作への情熱と喜びと、怒りや悲しみ、孤独を一身に背負って。机に向かってシャークヘッドを描き続ける主人公の後ろ姿に、胸が張り裂けそうになるエンディングであった。涙が止まらなかった。
(藤本タツキは1993年秋田県の生まれ。2011年東日本大震災の時は18才、2019年京アニ事件の時26才、その後コロナ禍へ。)
ものを創るヒトたちというのは、因果な生き物だ。裏を返せば現実に起きた他人の不幸を種に飯を食っているようなものだが、身を削りながら格闘して世に作品を送り出し、それを我々が受け取った時、絡まってぐちゃぐちゃになって訳がわからない塊を一つ一つきれいに解いて見せてもらっているような、何とも言えない不思議な気持ちになる。めちゃくちゃカッコいいし、尊敬する。
アニメーションの絵が素晴らしく美しく、胸を打たれました。そしてこの短さでここまで見せるのには大変驚きました。映画製作陣に脱帽。映画館に観に行ってほんとに良かったです。
個人的に好きのは、主人公が嬉しさのあまり飛び跳ねながら帰宅するシーン。右足と右腕、左足と左腕が同時に動いてとても印象的な名場面になっています。
あと、なんていうんですかね、最初に描いた下絵?をそのまま生かすようなタッチというか、勢いを残してる感じがまた良かった。キャラクターの気持ちが線に乗って生き生きしてました。手で筆記具を使って描くというアナログな動作と作品そのものがフィットした感じがあり、一体感がありました。
後ろを振り返った時。映画タイトルを反芻した時。悲しみだけじゃなくて京本のキラキラした笑顔が鮮やかによみがえります。鑑賞後しっかりそれが残るのが素晴らしいです。自分の作品を読んだ京本の、ファン達の、あの笑顔があるから、描き続けていくんですね。
僕らは紙である
チェンソーマンじゃん、と思ったら
とんでもないヒューマンドラマ見せつけられた
藤本さんのキャラクター特有の
人間の感情がむき出しな感じ
余計なオブラートがなく
どこか社会性のブレーキが欠けたような
人物の描写
だから生々しいヒューマンドラマが一段と
迫ってくる。手書きの背景がまた
映像の凄まじさを増幅しつつ、
「あ、背景担当と脚本担当だからね」
とメタな考察を巡らせてしまうところまで
練られた設定。
本編にキーアイテムにもなっている
4コマの紙切れ。
冒頭の空から降りていく回転するカメラワークって
実は紙切れとシンクロしている、、!?
は、、ともすればありふれた話なのに
魅せ方でこんなにも凄まじくなるのか。
有り体にいってやばい映画である。
アニメ映画の最高傑作
まず映像美すぎる。藤本先生の絵がそのまま動いてるみたいだし、こんな作画いいことある?って終始驚いてたし、ほぼ全部手書きなのがおかしい。
柔らかな表情の描き方が好きです。あと藤野ちゃんが雨の中走るシーンが褒められて嬉しいの全身で表してて小学生のころを思い出して良かった。
二人が都会に買い物に行くシーンは幸せそうで思わず涙が出ました。
恐らく京アニ事件のオマージュらしいシーンは遺族や藤本先生の悲しみに訴えかけられてるようで辛かったです。
二人のすれ違い、だけど、少しだけど違う世界では生きてるんじゃないかという少しの希望があるかないかでこの作品への評価は大分違ったかなと思います。
めちゃめちゃ最高でした。
濃密な1時間、グッときた
何度もグッときた。
僕も小さいときから絵を描きつづけているから、なおさらね。
が、あんな形で京本を消すのは、ちょっと安易だなという気も。
何も殺さなくたっていいじゃないか(と思ったけど、ひょっとすると、京アニ事件に触発されてこの物語は生まれたのかな? 犠牲者への追悼でもあるのかな? どうなんでしょう)。
でも観てよかった。
余韻を残すラストシーンもよかったです。
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