ルックバックのレビュー・感想・評価
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藤本タツキの鬼才を余すこと無く体感する1時間
まず、映画に携わった全ての方に感謝を。
私はこの作品の原作を読んでいるが、正直観るまでは1時間ではまとめきれないと思っていた。
同じ感想を持ちながら、観に行った方も多いのではないだろうか。
しかしながら、この思いは開始5分にして裏切られ、少女達の人生が文字通り1時間で描かれる事になるのだ。
映画のタイトルである、ルックバックは終盤に伏線回収されるが、「有象無象に埋もれる自分と自分の世界で唯一無二の才能の持ち主が、互いの背中を見ながら成長していく。」がコンセプトになっていると感じた。
映画の終盤10分は息付く暇もなく、彼女達と同じ時を刻むことになる。
エンドロール後に忘れていたかのように、劇場のあちこちから、息を吐く音が聞こえた。
迷っているなら、見に行った方がいい。
ハイクオリティな作画と伏線回収が凄まじい
まず60分でここまでの物語を描き満足感を出せるのは凄い。
作画も圧倒的な背動、作画TUなど詰め込まれていた。
短い尺ながらの伏線のあり方やフィクション感を出しつつもそうでもないという説得感がある。
藤野先生の感情も上手く表現出来ていて分かりやすくいい作品でした。
とにかく作画が素晴らしい
現代最高峰の手描きアニメかも、という位素晴らしかったです。
原作の線がそのまま動いているようなそれでいてとても自然で細やかな動き。原作のキャラクターに命を吹き込むという、アニメ化する上で当たり前に誰もが目指すようなことを非常に高いレベルで達成していると感じました。
主演の2人の演技も素晴らしかったです。
思わずパンフレットを買いましたが、クレジットに原動画:井上俊之、協力:スタジオポノック/コントレール(魔女の宅急便の監督予定だった片渕須直の会社)と有るので「藤本タツキのキャラクターを元ジブリスタッフが動かしてる」という見方も出来るかも?
背中を見て
ルックバックの原作ファンはみんなぶっちゃけこの映画化不安だったでしょ。でも期待以上というか、間違いなく「ルックバック」で私は嬉しかった。
個人的に好きなのは教室で初めて京本の四コマを見て「自分は特別側の人間では無い、大多数側の1人」ということを知る有り得ない人数の教室のシーンと、藤野が来て咄嗟に京本が走り出すシーン。アニメーションの良さを存分に生かしていてすごくよかった。
四コマをコミカルにおこしていて見やすかった。漫画ではスっと進んだ部分も掘り下げられていて初めて見るシーンもちょこっとあった。そういう意味では初見の人もストーリーに着いていきやすいのかもしれない?
原作を初めて見た時の新鮮な気持ちと衝撃をもう一度感じることが出来た気分。朝苦手だけど公開初日の1番最初の回に来れてよかった。原作含め最高の作品だよ。
背中
ルックバックを漫画で読んだ時に受けた感銘とは別に、救いを感じた。二人にとってたった一つの救いが漫画だったし、漫画が二人を繋げてくれた。
漫画に限らず、作品にはそれぞれの視点からしか得られない感覚があって、それは上手い下手とか高い低いとか数値化では計れない絶対的な領域があると思う。
あんなに絵の上手な子に尊敬してもらえる。これほど嬉しいことはない。「なんで漫画描いてるの?」作るのってめんどくさいし大変だけど、たった一つの救いのためなら喰らって描く。
すごく良かった!あの時の余韻を延長させてくれた!
そして、フィクションは現実を生きる力になる
原作のファンです。
あのシーンはどうなるのかな?
このシーンはどんなかなぁ?と、不安と期待が入り混じった気持ちで鑑賞しましたが、
今この瞬間を大切に思える、とても素敵な映画でした。
“映画”好きな原作者も満足されたのではないでしょうか?
とにかく二人の一瞬一瞬が尊くて、かなり序盤から泣いてしまいました。
先の展開を知っているからだけではなく、ワンシーンワンシーンがとても丁寧に作られているから、なんでもない時間を愛おしく感じられました。
どんな小さな関わりでも、人と人は影響し合って生きている。
直接的であれ、間接的であれ、人との関わりのなかから「もっと上手くなりたい」「もっと喜んでもらいたい」というものづくりの原動力が生まれる。
そして、フィクションだから出来ることがある。
フィクションにしか出来ないことがある!!
河合優実さんにも期待していましたが、期待を超える素晴らしさでした。
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