ルックバックのレビュー・感想・評価
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後ろに築き上げたもの
自身も小学生の時に4コマ描いたりその後は同人活動もしていたこともあって原作未読でしたが鑑賞。
こう、色々と重なる部分も多々あり心がえぐられる映画でした。
周りにおだてられ天狗になったり虚栄癖から素直に引き留められなかったり。青春だねぇ…
自分も20代前半である日突然親友を亡くし自責の念にかられたこともあるので心が痛い痛い。
最後の4コマの刺さりっぱなしの斧は「たとえ後ろ(過去)に傷を負っても、それでも築いたもののためにそれを背負って前に進んで行かなくちゃならない」と解釈しているんですが、どうでしょう?
あと京本役の吉田氏の演技最高です。また聴くために再観に行くかも
音楽(サウンド)が惜しすぎる
映画の音楽、いわゆる劇伴は誰のものでもない、強いて言えば監督のものだと思う。 よほどのビッグネーム作曲家でも監督によっては「こんなんなっちゃうの?」なんてことはよくある。 ニーノ・ロータが「こんなのはどうだ?」とフェリーニに鍵盤を弾いて聴かせて曲を作り上げていったのは有名な話だが、ハンス・ジマーだってクリストファー・ノーランとドゥニ・ヴィルヌーヴじゃ全然違うでしょ。当方はヴィルヌーヴの方が音楽の使い方が上手いと感じている。それは同時に人使いが荒いということかもしれないが。 監督の音楽に対するイメージが薄いと「はい、感動映画ですよー」「はいここ泣くところですよー」というのが押し付けになって興醒めだ。またサウンドに対する知識がないと日本全国のスクリーンの後ろに陣取ってるスピーカーにまで意識の及ばない歪んだりうわずったりする耳に障る音になってしまう。 映画の内容については多くの人々が語るだろう。そんな皆が語りたくなる映画、と見受けはするが、安っぽい劇伴がせっかくの丁寧な作りを破壊する。 作曲家にしても演奏家にしても、スタジオの録音技師にしても、漫画を描くことに夢中になる少女たち同様、音楽に身を捧げてきた人々だろうに、そこに対する尊厳の意識がない。サウンドトラックは監督の美意識の集約でもある。自ら価値を下げているのは監督である。 よくある最初から最後まで音楽鳴りっぱなしの激安映画ならわざわざこんなことを書いたりしない。 思いがあるのなら、こんな3分で書ける感動音楽、みたいなのを発注してはいけない、作曲家を使い切ろう、スタジオマンを使い切ろう、と思うのだ。 それともプロデュース側に押し付けられましたか?
とても良いアニメ化でした
原作既読なので原作を読んだ時ほど感動はできなかったのですが、それでも文句なしの出来栄えでした。原作の骨格を少しも崩さずに、アニメだから出来る肉付けが素晴らしく、円盤不可避、また観たくなる作品でした。
原作未見
漫画を描く事でしか生きられない二人の友情物語。オチは予想ついていたけど演出が最高なのでぐいぐい引き込まれていくアニメだからと敬遠している人に是非見てもらいたい映画。割引き無しの1700円で上映時間も短いが入場者特典として漫画の単行本が貰えるので料金の元はとれました。アニメ侮れないな。
面白いアニメとは≠最新技術を駆使すること
えーっと、2時間映画を観ていたみたいな充実感。 この原作漫画の作者の藤本タツキさんの絵の独特感を監督の押本清高さんが引き出した傑作。 なんだろう?3GCGなんかで得られないキャラ独特な顔や手書きで描き込まれた漫画を観ているようなアニメが良かった。 藤野が自分の四コマ漫画のファンと京本から言われて躍りながら帰るシーンは自分の作品を見てくれる共感者がいると言う喜びを表現して素晴らしいと思った。 そして藤野の京本と繋いだ手が、先を行く藤野と追いつけない京本が手を離してしまうということで、京本が先を行く藤野に追いつく為に山形の美大へ勉強に行くという別々の道を選ぶ手が離れたことの京本の気持ちの描き方は秀逸です。 ルックバックは背景も見て!という意味も新たに込めていると原作漫画の藤本タツキさんのコメントもあり、アニメ監督の押本清高さんの力を感じさせられる傑作です。 追記。もったいないのは統一料金で、若い人に観てもらいたいと思ったのに小学生や中学生、高校生が大人と一緒の料金では避けられると感じた。
リズと青い鳥の漫画家版
おそらく山形県と思われる田舎の小学四年生藤野は学級新聞の四コマ漫画を描いてる中々の自信家でクラスの人気者。そんな時隣のクラスの不登校児童の京本と並べて四コマ漫画を連載することとなる。 そこで藤野の伸びきった鼻がポキリと折られることに。しかし負けず嫌いの藤野はこれをきっかけに真摯に絵に取組むようにになっていく、藤野と京本のバクマンストーリー。これはマンガという物で話が作られてますが、おそらく全てのクリエイターの人達が大なり小なり経験した事ある話じゃないかと思いますね。 キャラのほとんどが藤野と京本だけど2人の小中高の成長がとてもいい。若いながらも漫画家デビューを果たし、読切りを得て連載にまで進む姿はトントン拍子すぎる面もあるが、この作品の魅せたい所はそんなバクマンストーリーじゃない。「日本引きこもり大会決勝」というシュールな四コマ漫画から出会った2人の依存と決別という「リズと青い鳥」のような深い作品です。物語の後半はセリフが少なくなる一方で見せ方と間のとり方で見てるこちらも色々考えさせてくれます。見れば見るほど味のでてくる映画と感じます。 タイトルの「ルックバック」というのは過去を振り返る、思い返すといった意味でそういう想いもあると同時に最後の四コマ漫画そのものでもあるところが秀逸すぎる。そしてそこから繋がるラストは色々な想いがあるまさに「空気を読む」映画でした。 この話のターニングポイントとなる事件は、ホントにあった「あの事件」のオマージュですよね。 「あの事件」は本当に悲しく許せない事件だったので見てて涙が出てきました。
良い物語です
レビュータイトルにあえて「物語」と入れたのは、ともすればテーマ性優先で押し付けがましくなりかねないお話を、しっかり主人公二人の物語として描かれていたところが良かったから。 映画としては短い作品ですが、アニメーションとして、きれいな映像と日常系としてはメリハリのある動きで観ていて満足度も高く、音楽、キャラ、ストーリーとオススメできる良作です。 タイトルはルックバックですが、内容は前を向いて歩いて行くお話に感じられたが解釈ちがいか?この後、原作を読んで確かめたいと思う。 なお、今回思った。自分にとって星5の最後の一つは、たいてい「好き」ポイントなんだな、と。
何故、漫画を描くのか
その答えは作者様の中にあり、って感じですかね…。 主人公は陽気で人当たりも良さそうだから漫画を描かなくても要領よく生きていけそう。 なのに小学生にして、友達と遊ばず毎日毎日絵を描くことに明け暮れる日々。 周りが感じる幸せと、自分の中の幸せの形は全然違いますよね。 主人公の部屋に貼られてるポスターが何回か変わったのですが、すべて共通項がありましたね… このストーリーにも関わってくるところだと思うんですけど、映画好きさんにはたまらないかなと思いました! 途中、泣きすぎて嗚咽が出そうになりましたが、全体的に静かな映画だったので 苦しかったです。
秀逸! ただ少々人を選ぶ。
秀逸な映画でした。
まず、タイトルが秀逸。
ルックバックという短いタイトルに、「私の背中を見てついてこい!」「行き詰まった時は過去を振り返って初心を思い出せ!」「背景にも刮目せよ!」と、いくつものメッセージが込められている。
映像に関しても秀逸。
綺麗な映像であるがそれだけでは無い。
ただ背中を見せて漫画を描いているだけの単調な場面を、背景の方を徐々に変化させることで時間の経過を示す。
努力という目に見えないものをスケッチブックの量という目に見えるものに変換する。
敢えて似たような画面を使い、差異でメッセージを伝える。
単調なのに単調では無いという矛盾。
音楽も秀逸。
昨今、歌詞でストレートにメッセージを伝える映画が多い中、楽曲で勝負。無音すらメッセージとしている。
シナリオもなかなか。
まあ、どっちかが死ぬんだろうな〜とは予想付きましたが、if展開がなかなかグッときました。
様々なオマージュも散りばめられており、中でも京アニ事件への追悼とアンサーにもなっていると思います。
そして何より、全編を通じて全力で伝えてくる「創作の苦しみと喜び」が胸に来ました。
「テクニック云々より取り敢えずひたすら描け!」「どんなものであれ完成させることが大前提であり、それが出来ない人がほとんど」「創作は苦しくて単調でつまらない作業がほとんどだけど、とにかく続けろ!」「評価されない冬の時代があっても、とにかく続けろ!」「続けられなくなったら、自分がなぜ創作を始めたのか、初心を思い出せ!」「その先に喜びがあるから創作はやめられない」「さあまた、産みの苦しみを続けよう!」
これは、個人的にはどストレートに突き刺さりましたが、
どんな些細な作品でもいいから、一度でも何らか創作を作り上げて、他人の目に晒したことのある人にしか分からないメッセージかもしれません。
その点では人を選ぶ映画かもしれません。
1時間にも満たない短編映画ですが、3時間ダラダラ見せられる映画より、グッと中身の濃い、良い映画でした。
全体としては、非常に秀逸なのですが、少々見る人を選び、万人には勧められないと思うので、星4にしておきます。
絵に命が懸けられる人たち
原作を読んでいたので、早くから感情が先走りして涙があふれっぱなしでした。 アニメの再現性はすごくよかったです。 漫画の連載て、すごく過酷です。現在はタブレットで描くことで多少作業は省略化はできているでしょうが、無から1本の線を生み出して描き連ねていく作業の負担は、手書きの頃からそんなに改善されていません。活字なら口述筆記という手もありますが、漫画は漫画家さんが身を削って描かないと作品にならないのです。 手塚さんも石ノ森さんも、ほんとに寝ないで漫画を描いていたから、60歳でお亡くなりになりました。 そんな過酷な作業をどうして通づけるのか、それは根本的に絵を描いて動かすのが好きなんだ、からだと思います。そんな、漫画家の絵に対する情熱を見事に表現してくれた原作であり、さらにそれに別の命を吹き込んでくれたアニメでした。 動く絵か止まっている絵か、藤野と京本の絵に対する生き方の違いが、二人の道を分けたけれど、二人の絵に対する情熱は尽きることがなかったんでしょう。 一つ残念だったのは、藤野が京本にファンと告げられて別れた後のシーン、あそこはワンカットで動かしてほしかった。藤野の高揚していく心が弾ませる体を一連の動きで見せてほしかった。 それこそが漫画にはできないアニメならではの表現だと思うので。
無駄なく
原作の無駄のない話を、無駄に話を足したりなどせずに映像化したところは良かった。あの話で映画一本?と思ったが、この短さでやるのかと。
1700円均一という値段設定はどういう意図かわからんが、その価値はあったと思う。
評価は私が思った星の数で、漫画を読んだ時に、凄い作品を見てしまった、、という凄い衝撃だったので、勝手にそれを超えるものがあるかと期待しすぎた結果、この星になったかと。
個人的に、漫画を越えてなかった。漫画の時の衝撃はなかったということで。
何か自分も行動したくなる作品でした
漫画(絵を描くこと)をモチーフとして、二人の少女の交わりを、心の機微を丁寧に描いた良い作品でした。 原作既読ですが、原作へのリスペクトを感じ、随所で原作者の他の作品を思わせる絵を入れる遊び心?サービス?も楽しかったです。 私自身は何かをクリエイトする仕事や趣味には携わっていないのですが、絵を描く人には勿論、何かしらのクリエイターの方々には、より響く作品なのではないかと考えます。 つまるところ、とても面白く、心動かされました。
凡人には分からない世界
高評価だったので、期待して鑑賞したが、私が漫画苦手なのでイマイチ刺さらなかった。 豪華な豪華な漫画を読んでいるような感じ。主人公の声が大人っぽすぎて、子供らしさが全くないのが違和感を感じた。 背景の絵が美しく、特に田舎の街並みがうちの近所かな?と思うほどリアルに描かれていて素晴らしい。 子供の頃から絵を描くことだけに全情熱を注ぐ二人の友情物語。天才的な才能+努力と熱意のあるものだけがなれる漫画家の世界を覗くことができた。 前半は面白かったが、後半はあまり好きではなかった。
【天才と秀才。二人は似たもの同士。】
藤本タツキ先生の大ファンなので、心の底から楽しみに、そして期待していた作品です。 ファンだから★5だと思われたくないのですが、これは藤本タツキ先生を知らなくても★5に成りうる超大作です。 原作は既読だったので、序盤の『京本』が『藤野』の帰宅を止めるシーンから、ボロボロ泣いてしまいました。 『京本』の声優[吉田美月喜]さんの訛りがかった喋り方は、引っ込み思案で変わり者の京本のイメージにピッタリでしたし、『藤野』の声優[河合優実]さんの自然体の演技のお陰もあり、良い意味でアニメアニメしてませんでした。 そして言わずもがな、作画やキャラデザが素晴らしい。 序盤の四コマがアニメとなるシーンは、原作と違う味を楽しめ、思わずフフっとニヤけてワクワクしてしまいました。 ここまでタツキ先生特有の人物画を映像に落とし込める技術は、天才の所業と言っても差し支えないでしょう。 物語を無理やり延ばすことはせず、鑑賞者と良い距離間で作品の良さを出せていました。本当に感服です。 藤本タツキ先生由来の小ネタが何個か有りましたね! 『藤野』と『京本』が見ていた映画が、「さよなら絵梨」のオマージュであったり、『京本』が美大で描いていた絵が「チェンソーマン」で出てくる扉であったり…。 そういう小ネタのおかげで、“原作者愛”がヒシヒシと伝わってきました! 夢を見ている者。夢に這う者。夢を諦めた者。全ての人に影響を与える映画なのでは無いでしょうか。 自分より優れた存在が現れても、負けん気で追いつこうとする『藤野』。絵を描くことに真剣かつ、純粋な『京本』。 二人が織り成す化学反応に、1時間弱の上映とは思えない程、浸ってしまいました。 身体中の水分を吸い取られて困りましたが、 藤本先生、監督、声優の[河合優実]さん、[吉田美月喜]さん、この作品に関わった全ての方々。 本当に感謝しか御座いません。有難う御座いました。
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