ルックバックのレビュー・感想・評価
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星はいつも三つです。
押山清高監督『ルックバック』
アニメ映画は子供のころに『長靴を履いた猫』を見て以来(面白かった)、とんと見ていなかったのですが、勧められて。
やはり人様のお勧めには素直に従うものだと思いました。
文字通り寝食を忘れて一日中絵を描いている少女の姿に早くもウルウル。
積み重なるスケッチブック。
教室に並んだ机の反射。
田舎のあぜ道を雨のなか、認められた喜びのあまり踊りながら帰る少女。
知らない子の家のドアを開けたときのひんやりとした家のなか。その家のかすかな匂いまで感じられました。
とても残酷な結末なのですが、同時に深い安息感に包まれました。
映画鑑賞のおまけとして、特製のマンガ本までついています。
アニメには全く疎いのですが、押山監督のほかの作品も見たいと思いました。
マンガを共に描いた幸せな時間を振り返る。特別な関係の二人の大切な時間。
1時間では短い!!
幸せな二人の時間を、もっともっと観たかった…。
自分が漫画を描かなければ、部屋から連れ出さなければ、こんなことにはならなかったと後悔する藤野。
再び4コマ漫画が切り開く世界。
京本が部屋から出なかった別の世界が描かれる。
やがて、二人の幸せな時間が甦り、藤野は、また前に進む。
決してそんなことはない!
このような結果になっても、あの幸せな時間を経験したことは、京本にとってもとても大事なこと、かけがえのないことに変わりはない。
その後、たとえ何があったとしても。
とにかく描き続けるしかない!
人は一人で出来てるんじゃない
なんだろう?
1時間の映画なのに、何故か長編映画を観たくらいの時間感覚があった
それはきっと、映画内から醸し出される想像が膨大だったからかも
人はどこかで知らず知らず干渉し合い影響を受け合っている
人は一人で出来ているんじゃなく、沢山の人たちとの関係や繋がりという複雑さをもって出来ている
それは例え世界線や時間軸が違ったとしても、影響し合うものかもしれない。気づかないだけで繋がっているのかもしれない
主人公二人が辿る道は、どちらも正真正銘の真実なのだろう
自身が誰に影響や干渉を受け、どんな物事を取り込んで【自分自身】が形作られているのか、またその逆はどうなのかなど、観た後にじわじわと感じさせてくれる素敵な映画でした
60分の映画とは思えない内容の充実さ満足度
60分であること1700円均一であること。
値段を考えると正直ハードル高いなぁとは思っていた。
しかし、いざ鑑賞すると不安は打ち砕かれた。これまで見てきた60分の映画は短いと感じたまま終わることが多かったが、この映画には60分が無駄なく詰まっていた。内容や絵はもちろん劇中曲のクオリティも非常に高い。
EDの余韻で誰も席を立っていなかった。
映画は長さじゃないのだと改めて認識させられた。
理不尽極まりない展開も前に進む
良いところ
藤本先生の勢いのある荒さと艶やかな色気のある線をいい感じ整えた絵になってた
メインの2人がいい演技してた
悪いところ
ない、強いて言えば短いところだが、無駄がないとも言える
割引ないんだよな
ただのエッセイ漫画ではなくループした時間軸のあるファンタジーな成分はあるが、すごく現実感を残した心に残るものがあった。
タイトルの通り、背中を見てみせることで2人が成長していくのが伝わってくる。背中にサインしたことで藤野が前に進み、前に進んだ藤野によって京本が前に進む。そして追いかけることから隣りに立ちたいと袂を分つけど、お互いがお互いの背中を追いかけていた事をすべてが手遅れになった後に気づいて、前に進めなくなった藤野の足を進めるようにしたのも京本の背中だった。このクルクルと回りながら前に進む姿がもどかしくも力強い。順風満帆ではないけど躓きながらも進んでる前に理不尽な不運を運ぶあたりは作者の画風というよりもセンスだな。原作読んでなかったら三日くらいひきづってたろうな。
伝えたいことと自分を認めること
原作も知らずに鑑賞
静かで短い物語の中に夢や挫折や虚勢や成長が詰まっていました
多くを語らないので見る側の解釈に委ねる部分が大きく、個人的には主人公が本当の意味で自分と向き合えるようになるまでの物語と感じました
子供らしい見栄や虚勢、憧れと盲信
思春期の反抗心や自立心
伝えたいことは言葉にしなきゃいけない。でも伝えたいたい事が何なのかわからない。ありのままの自分を見せずに成長することの恐怖感があります。
大作ではありませんが余韻を楽しむことができて、見て損はしないアニメです
おすすめ
58分
藤本タツキさんも存じ上げない、チェンソーマンも観たことない、なんの予備知識もなく、Instagramのストーリーズでこの作品を投稿されている方がいて気になって鑑賞した。
絵の美しさ、細かさ、日本の四季の移ろいの表現、俳優陣の声、そしてストーリー。58分間、満たされまくった。(映画館に行くとトイレが近くなって1時間半の作品だと後半30分"トイレニイキタイ"で脳内が支配されて集中できないので1時間ぐらいの映画が没入できて最高!!と実感!笑)
私が小学生、中学生のときって、確かに漫画を描いてる子って「オタク」「変わってる」扱いされていたな。でも、いつの時代もやっぱりあの時期って「みんなと一緒」じゃないと仲間はずれにされちゃう。それでも藤野は友だちに漫画描くのやめなよ、と言われても辞めなかった。外野にどう言われようと自分のやりたいことを続けられた藤野は凄い。
感じたこと書きたいことはたくさんあるけど、文才もないのでもうやめておこう。
とにかくたくさん泣いてしまった。悲しい結末ではあるけど、決してネガティブなものではない。
様々な角度から、色んな人の背中を押すのではないかな。
京都アニメーション放火事件の追悼作品という見方
前提として、漫画をアニメにするという点では本当に素晴らしかったと思う。
しかし、京本を襲った犯人の描写が京アニ放火事件と重なり、「作品をパクられた」と叫ぶ半狂乱の男に怒りと悔恨が込み上げてきた。
追悼の意が込められていることは伝わったが、単なる物語のオチとしてあの事件が使われたとも言えるため複雑だった。
ただ「感動した」で片づけてはいけない作品であることがどうか伝わってほしい。
藤野が喜んで帰るスキップからの全速力シーン!
「全俺が泣いた!」
間違いなく今年前半期の最高傑作!(7月に入っちゃったけど)
少女二人の描き方が素晴らしいし、アニメーションも素晴らしい。
藤野が喜んで帰るスキップからの全速力シーンなんて最高ですね。
そして主人公二人の声を演じた河合優実と吉田美月喜が、これまた素晴らしい。
本職の声優では演じられないような自然さがあった。
また河合優実にやられてしまったな。
違和感の正体
クリエーターの方々の「分かる」って
満点レビューを読んで
何か違和感感じてて
下書きのみだったルックバック
アマプラで見直したら
違和感の正体が少し分かる
平凡凡人の自分には
学生時代に寝食忘れる程に好きな事も見つからなかったし
大人になっても好きなことを仕事にしてる訳でもなく
なんとなく違和感感じてた
きっと描くことが好きな人だったり
好きを仕事にした人には響くんだろうな
京アニが…とか
山形の風景が…とか
全然関係なくて
藤野にしても
京本にしても
好きな事をやり続けられるのが
ただ羨ましいだけかも知れない
でも劇場で2回
アマプラで3回…
好きじゃん笑
今年一番の傑作、泣きたい人におすすめ
原作は藤本タツキ
主人公は藤野と京本、合わせて藤本
おそらく自伝的な要素が含まれているのかもしれない
ひたすら漫画を描く事に熱中する二人の物語
まず主人公二人のキャラクターがそれぞれ立っていて魅力的、この時点で勝ちだと思う、一気に物語に惹きつけられる
ストーリーがいいのはもちろんだけど特に音楽が素晴らしい、涙腺がもっていかれる
女の子二人主人公はデッドデッドデーモンズも素晴らしかったが今年は当たり年かもしれない
泣ける映画を探してる方は是非ご覧ください
背中を見て
誇張なしで58分のうち30分くらいはずっと泣いてた。てか京本が出てきたとこで耐えられなかった。漫画には無い優しい音楽と2人の何て名付けたらいいのか分からない絆が本当に愛おしいし、藤野キョウというペンネームを抱えて生きていくんだろうな…と感じるのがまた苦しくて、でも忘れられない記憶なんだろうなと思った。いちばん価値のある1700円の使い方したかも
より原始的な衝動だからこそ響く
正直なところ、2021年にWebで公開された『ルックバック』の原作漫画を読んだときはそれほどピンと来なかったのを覚えているのだが、今回のアニメ版は、原作に忠実ながらも、より原作の「味」を際立たせて見せてくれた気がする。
58分という上映時間は決して短くはなく、ちゃんとお腹いっぱいにしてくれる。
奇しくも、昨日観た『数分間のエールを』が、テーマとしては対になる感じもあった。
この2本は、同じく「若い創作者たち」を描いた作品なんだけど、『数分間のエールを』が、色彩も鮮やかなフルCGアニメで、MVを高校生が自宅のPCで作るという現代的なモチーフを通して「表現」というものを描いたのに対して、『ルックバック』では昔ながらの鉛筆画やペン画の味わいを使って、漫画家が机に向かってシコシコと書き上げる作業を通して、主人公の心の機微を描いている。
『数分間のエールを』で主人公は、「自分の作った作品で、観てくれた人の心を動かしたい』というのを、創作の動機だと明言していた。
『ルックバック』でも、創作の動機について「漫画なんてめんどくさいものをなぜ描き続けるのか」という問いかけがあって、直接答えはしないものの、主人公の藤野は単純に「描くことが楽しいから」であると思い返していた。
その楽しさをあらためて教えてくれたのが、最初はその画力に嫉妬した京本だった。
「描くことが楽しい」
「褒めてもらえることが嬉しい」
より根元的な衝動ではあるが、誰もが子供の頃に(絵を描く以外でも)何かしらの分野でそんな経験があるのではないだろうか。
それが根元的であるからこそ、観ている我々のどこかにあった記憶を呼び起こし、心を打つのかも知れない。
京本に追われながら共に走り、笑い合って漫画を描くことの楽しさを感じ、認められた喜びを一緒に経験しながら大人になっていく二人だったが、京本には目指すものができ、道を分かつことになる。
しかし、頼りの京本を失ったからと言って、藤野も小学生の頃の様に「やーめた」とはもういかない。描くしかない。
そして事件が起きる。
妄想の世界線で藤野がいくら活躍しても、京本とのあの日々はもう二度と帰らない。でも、漫画家という道を選んだ彼女には、やはり「描くこと」しか道はないんだ。
楽しかったことが、いつの間にか自分を縛り付けていく。
そこを離れることのできないジレンマ。
でも、京本が教えてくれた。
これからあなたはあなたを追って走ればいい。
デスクのペンタブに向かうその姿は、前に進んでいるのか、立ち止まっているのか。
そんなことを思いながら、エンドロールの彼女の後ろ姿を劇場内の全員が見守っていた。
誰もが身近に感じ、でも苦くて、しかしとても美しい映画、そんな感じでした。
河合優美の声優ぶりも素晴らしい。
この子、すごいね。
極上の作品
アニメには詳しくないので、監督が脚本から作画?までの全てをひとりで書き上げたというのがどれほど大変で凄いことなのかは分かりませんが、
そんなことは分からなくても、細部まで丁寧にこだわりこだわりこだわり抜いた極上の作品であることは痛いほど伝わってきました。
ひたすら机に向かって描き続ける藤野の背中が、
1年かけて猛烈に描き続けたという押山監督の背中と重なるような気がして、
そして(私も創作業界の片隅に身を置いているのですが)ひたすら創作に向き合い続けてきた過去の自分も思い起こされて、
なぜか冒頭5分から泣いてしまっていました。こんな感覚は初めてでした。
創作を始めたころから仕事になるまで、
好きで始まり、褒められて天狗になり、他人と比べて挫折して、悔しくて上手くなりたくて努力して、それなのに遥か雲の上にいる人たちが眩しすぎて絶望して筆を折り、それでもやっぱり創ることが好きでやめられなくて再び筆をとり、そこからはひたすら書き続けて…
そんな過去を追体験するようでした。
Xなどで各界隈の方々がおっしゃっている通り、クリエイティブにおけるすべてが詰まっていました。
創作を愛する者としてやはりそういう目線でレビューをしてしまいますが、創作に限らず、
何かに夢中になったことがある人なら、勉強でも研究でもスポーツでも、とにかく上を睨みつけながらあがきながら何かをやり続けた経験のある人なら、きっと痛いくらいに心を揺さぶられることでしょう。
また、今まさに挫折しかけている人にもきっと、苦しいくらいに訴えかけてくるものがあると思います。
そして、ある日突然降ってくる理不尽。
悲しみと苦しみを飲み込んで、一歩踏み出すこと。
何かを語ってネタバレになってしまうのは嫌なので、これくらいにしておきます。
特別興行とのことで一ヶ月ほどしか劇場では拝めないでしょう。気になっている方はぜひとも時間をひねり出して映画館に足をお運びになることをおすすめします。
ルックバック ブラボー
鑑賞している周りは ほとんど若めの人でしたが ソコソコ年齢のいってるオッサンが…… ずっと涙腺濡らしながら鑑賞してました!
映画の日鑑賞で割引でみられる日でしたが
特別料金体系の作品なので割引なし
でも でも でも でも
そんなの関係ねぇー
そんなの関係ねぇー
ハイ 大満足の作品でした!
実験作
藤本タツキにとって原作漫画がおそらく実験作であったのと同様に、本作はスタッフ陣にとっての実験作であったのではないかと、門外漢ながらそう感じた。
エンドロール、キャストよりも先にスタッフが出されるところなど、それを物語っている。
原作は漫画と漫画を描く動機についての漫画であったと思う。同様に本作もアニメーションとアニメーションを創ることについてのアニメーションだった。
例えば、劇中で京本が興味を持ち藤野と袂を分かつ原因になる「背景美術」。本作はアニメーションの作画もさることながら、背景美術が凄まじいレベルの高さ。大学の雪が溶けたアスファルト道路や田舎の風景、窓の向こうの景色など、いずれも素晴らしいものだった。
京本に褒められた藤野が帰る道すがらの動きの変化など、動きによって感情を表現することに対して意識的であることは明らか。端々までそうした意図を感じた。
プロの声優でなく女優2人を主役にキャスティングしたのもその現れかと思われる。2人ともとても初めてとは思えないレベルで凄いのひと言。
作品の短さを感じさせない素晴らしい出来でした。
それでも続けるしかない
原作も面白かったですが丁寧にアニメ化され情感もキッチリ乗っかってて
文句なしの一作です。
自己の承認欲求というモチベの主人公と自己の為に創作を続けてきた京本という
相反してる様で実は本質的には遠く無く互いに憧れ惹かれ合う二人の物語
何で作品を作るのだろうか明確な答えはこの物語では提示されませんが
何かを作ると言う事はそういう明確でないモノを探す旅みたいなものなんだと思います。
初見でも原作読者でも見て損のない一本かと。
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