ルックバックのレビュー・感想・評価
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正直見る前は、漫画を書くアニメだと思ってました。
めちゃくちゃ申し訳ないことに見るまで、ただ漫画を書くだけのアニメだと思ってました。
しかし、実際は、ただ漫画を書くだけではない、数えきれないほどの感動や奇跡が詰まった映画でした。
最高の映画でした!ありがとうございました!
良すぎ
背景と背中
オープニングから、勉強机に座る藤野の背中の描写だけでクリエイターの覚悟が十二分に表現されていた。背中は自分では見えないが、本人が背負っているもの、藤野が描き続けるということを象徴しているようだった。
藤野のライダーキックで京本が助かった世界線。そこに京本は生きているのだ。それは無惨な出来事で救えなかった人への鎮魂歌。
同時に私たちは自分がどの世界線で生きるかを自分で決めることができる。
京本と漫画を描いていた走馬灯のような日々を無かったことになんてできない。愛してもらった経験さえあれば、たとえ京本がいなくても前に進める。涙
アニメに詳しくない私は、作画の動きに目が行きがちで、もちろんそれも素晴らしいんだけど、本作の背景はまるで京本が描いてるみたいに思えてしみじみと感動した。
感動はする
ネタバレは無いように書こうと思ったけど無理だな。観てから読んで欲しいです。
構造は割と王道のジュブナイルな感じ。とにかく序盤から中盤の感情の作り方がすごくリアルでいい。
子どもが創作をする時の周囲との関係がとても共感性羞恥。でもちゃんと実力が伴ってきて、あんまり恥ずかしいことを言わなくなってくるのもとてもいい感じ。
ただ、起承転結の転が、今まで積んできたリアリティを崩しちゃった感じがして、個人的にはその辺りから感情移入が弱くなった。
サブヒロインが通り魔に殺されるなんて流石に流石過ぎると思う。
ここに引っかからずに抜けられた人は満足度が高い気がする。自分はここが展開として安易なように感じてしまった。
でもまあ、その後のことを考えるとまあかな。ただ、最後も前向きな雰囲気作って何も解決せずに終わったし、解決しなくても確かに感動はしたのだけれど、サブヒロインぶっ殺して全て丸く収まったことにするのはちょっと違う感じはした。
結局エンドロール観て前向きに働こうとは思うんだけどね。
中盤以降、関係が不安定になってきてからの感動要素は背景美術によるノスタルジー演出が多分にあるように思うので、この辺は新海誠作品と同じ枠だと思う。
ただ、自分は劇場版ヴァイオレットエヴァーガーデンがどうしても嫌いなタイプだし、昨今のやす子とフワの問題でもやす子のツイートを見てフワみたいな反応する気持ちも分からんでもないくらいひねくれている。素直に見りゃ星5つなのかもしれないね。
まあ、基本は新海誠なので映画館で観るのが良い。高くてもやってるうちに見ておくべき。
アニメの本懐
京本にとっての漫画とは? 追記 原作本読んだよ
原作は未読で、評価の高さで鑑賞。藤野視点がメインだが、京本視点でも見たかった。なぜ不登校だったのか、家族はどのように関わっていたのか。京本にとって、藤野の存在は憧れだけだったのか。美大に行こうと思った心の動きが知りたかった。二人共に家族との関わりが見えないが、それは本作の原作者自身を投影しているのか?
藤野は自分が漫画を描いたために京本が死んだと思う場面があったが、そこからまた漫画を描き始める。それは表現者の性(さが)であるともに、自分の漫画で、人に生きる希望や勇気を与えることもできるという決意の現れであるとも思う。
京アニのことを想起する場面は見るのが辛かったが、漫画を描く人もアニメを作る人も、それを乗り越えて前に進んでいると思う。これからもさらに多くの人の心に残る作品やアニメ映画が作られることを願う。
(追記)原作本読みました。ストーリーは原作通りですが、映像になって、藤野の話し方(河合優実が上手い)とか雨の中を走る場面が凄く良くなっています。特別料金じゃなかったら、何度も見たい映画なのに、それだけが失敗です。スラ厶ダンクのように、少ししたら再上映にして、その時は通常料金、レイトショーや曜日割り引き、学生割、シニア割等にしたら、今回の興行収入を大きく越えるでしょうね。
主観的で情緒的
嫉妬と絶望を作品に落とし込む藤野、同じ感情を刃に込める男の違いとは何か
2024.8.19 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(58分、G)
原作は藤本タツキ『ルックバック(集英社)』
絵の上手い小学生が漫画家として成功する過程を描いた青春映画
監督&脚本は押山清高
物語の舞台は、北九州付近のどこかの町
小学4年生の藤野歩(河合優実)は、漫画が上手いことを自慢にして、学校新聞で4コマ漫画を連載していた
クラスメイトの反応に天狗になる藤野だったが、担任(斉藤陽一郎)から提案されたあることにて、彼女の日常は激変してしまった
それは、隣のクラスの不登校生徒・京本(吉田美月喜)のために連載枠を空けると言うものだった
これによって、藤野と京本の漫画が並んで掲載されることになるのだが、京本の漫画は風景画でセリフがない中でも物語を感じさせるものだった
京本の漫画が評価され、画力も明らかに劣っていたことで劣等感を感じる藤本は、努力を重ねて画力をアップさせようと奮闘し始めた
だが、その差は埋まることはなかった
6年になっても漫画を描き続け、とうとう卒業までその生活を貫き通した
だが、卒業式の日、藤野は担任から「京本の家に卒業証書を届けてほしい」と頼まれてしまう
渋々承諾した藤野は彼女の自宅に赴くものの、呼びかけても反応はない
ドアが開いていたために中に入ってみると、そこにはおびただしい数のスケッチブックが積み上がっていて、彼女の努力は藤野の数十倍にも及ぶものだった
藤野はそこで4コマ漫画の原稿用紙を見つけ、「漫画を描くの、やめた」と呟いて、京本への嫌がらせを書き殴った
だが、その4コマは風の悪戯で飛んでいき、京本の部屋へと吸い込まれてしまった
藤野は慌てて逃げ出すものの、京本がそれを読んで追いかけてくる
そこから奇妙な関係が始まり、二人は「藤野キョウ」として、漫画賞に向けての長編漫画を描き始めることになったのである
映画と言うカテゴリーに入るのかはわからないが、映画館では特別上映の作品で、各種サービスが適用されない作品になっていた
58分で1700円と言う値段で、少々割高に感じるのだが、口コミで高評価が広まり、拡大上映が続いている
当初は近隣の映画館での上映がなく、遠方に行く必要があって躊躇していたのだが、近くで上映されることもあって鑑賞に至った
『チェーンソーマン』などで人気を博する作家だが、基本的に映画しか観ないのでほぼ知らないまま鑑賞したが、漫画家を含む創作者のモチベーション維持のストーリーだったので、すっと入ってくる内容だった
藤野の承認欲求拗らせみたいなところがベースにあり、反骨心が彼女を奮い立たせるのだが、その持続と停止の切り替えがリアルに感じる
また、現実に起こった事件をモチーフにして、「もしもの世界を夢想する」という現実逃避の末に現実を受け入れると言う過程も秀逸であると思う
加害者は創作者の端くれだが、二人の間にあった違いとは何だったのか
他人の創作に気を取られ、そこに嫉妬心を抱いたりするところまでは同じなのに、その後の行動がまるで違う
その違いを生んだのは、切磋琢磨できる存在であり、孤独ではなかったと言うことになるのだが、藤野自身もプロになってからはどことなく孤独を感じている
その孤独を生み出したものが自分の行動だと責め立てても、それを否定する京本が心の中にいて、それゆえに藤野は救われているのかな、と感じた
いずれにせよ、58分と言う短い作品だが、ものすごく濃密な時間になっていたと思う
現実がモチーフになっていて、そこに至らなかった理由というのが明確に描かれているので清々しいと思う
創作者の苦悩は誰にでもあるものだが、嫉妬を作品に変えた藤野と、ペンを刃に落ち変えた男との差は埋まらない
現実では悲劇を救うヒーローは現れないのだが、せめてもの抵抗というものがそこにあって、それはとても切ないものであるように感じた
鑑賞後も続く思い
賞賛の言葉は山ほどあるが、それはさておき
この作品ほど、観賞後の観客の心に余韻を残す映画、というのもなかなか無いのでは。
58分間。
観客は藤野と京本の物語に瞬く間に引き込まれ、
大いに共感し、喜び、いきなりの急展開にとてつもないショックを受け、どん底に突き落とされる。
パラレルワールドはあるらしい。しかし元の世界の現実は変えられない。
気持ちはかき乱され、一種の放心状態である。
それでも日々は続く。また机に向かっていく藤野の背中を見つめる。
美しい音楽がレクイエムの如く藤野と観客を包みこむ。
下から上に向かうエンドロールにさえ、なにか天に昇っていくような感覚を覚える。
観終わった後も、映画の余韻からなかなか抜けられない。
誰かとずっと語りあいたい。
そんな映画だった。
全てのクリエイターの皆様に感謝。
漫画を読んでから見に行きました。原作もそこそこ面白かったのですが、...
漫画を読んでから見に行きました。原作もそこそこ面白かったのですが、予告が良かったですね。音楽とか動きが素敵だった。期待大で見に行きました。感想としては、良くも悪くも短編読み切り漫画に集約されていて、アニメにすると粗が目立つという所です。スケッチブックじゃなくてクロッキー帳に描けばそんなにかさばらないよとか、ツルハシで13人殺せないだろとかいう細かいツッコミはどうでも良いですが、最初の2人の出会いが物語のクライマックスで、終盤の事件は取ってつけた様な展開なのが気になりました。小学生から大人になるまで描いているのに小学生の出会いや嫉妬や努力が物語の中心になっているあたりがちょっとバランスが悪いというか。人生のクライマックス小学生で終わってるんかいとツッコミたくなります。売れっ子作家になった藤本と美大に行った京本のその後の物語も見てみたい。
美しい…。
家の近場の映画館では上映しておらず、サブスク待ちかと思っていたと...
家の近場の映画館では上映しておらず、サブスク待ちかと思っていたところで上映館追加のお知らせ。人気上昇の証でしょうか。原作知らず、映画となった経緯も知らずの状態でようやく行ってきました。
冒頭、二人が出会う小学生時代、自分より画力があると思っていた京本が、自分のファンであることを知る場面、また、その帰り道の喜んでいるシーンは、今も心に残る素晴らしい演出。中学時代からはお互いの才能を認めあい、身を寄せ合って漫画に一途に取り組み、大舞台への足掛かりを掴む姿には「やったね」と心の中で一緒に喜びました。ただ、このままでは終わらない空気は満ち満ちて、繋いだ手が徐々に離れ、互いの道を歩み始めた「別れ」の時が来たかと思ったら、誰もが知る”あの事件”を連想させる話へと向かっていきます。
鑑賞直後、京本は、”あの事件”で犠牲になったどなたかがモチーフになっているのではと思いました。が、そうではなく、京本は事件で亡くなった「全ての人々」であり、藤野もまた「京本」の才能を信じ、関わってきた「全ての人々」であったと。
誤解を恐れずに言えば、そうした「藤野たち」が、「京本たち」それぞれにそれまでの人生があって、夢があって、未来があったことを具象化させ、我々に改めて伝える(加えて鎮魂歌(映画)であることも)作品にしたかったのだと。
劇中の京本の嬉しそうな顔、恥ずかしそうな顔、頑張っている顔を振り返れば、亡くなった方、残された方の無念を改めて感じ、後からしみじみと泣けてきた。そんな映画でした。
求めてた青春映画に出逢えました
藤野と京本、最高の2人
高評価とネットでの宣伝のシーンが心に残って鑑賞しました。
面白くなりそうな出だしに期待が膨らみ嫉妬・独占欲など人間味溢れる中盤
同性の友情以上にお互いに必要な存在へ
一体どうなるのか終盤への期待が溢れて…
からの突然の・・・大事件
わかります、わかりますよ。人生には不条理な事が降り掛かる事がある事も
でもこの短い作品でそれは不合理な気がします、消化する時間がとても、余りにも足りません、倍の上映時間は必要かと
藤野と京本のその後が、結末が、見たかった。そう強く、強く、感じた作品でした。
映画のボリュームとしてはどうなのか…
元々前後編の読み切りの短編だからか、話のボリュームとしては、いまいち物足りさなを感じた。
漫画仲間の友人が殺された後、パラレルワールド的展開を見せてはいるが、それが現代に生きる主人公にどのように作用し、どのように乗り越えていくのか、もっと葛藤を見せてもいい気がした。
一緒に漫画を描き、二人でデビューしたからこそ、藤野は京本のことを縛っていくようになってしまう。
だからこそ、自分が京本を殺してしまったと思い込む藤野は、もっと苦しみながら漫画を描いていくことになるだろうに、葬儀のあとのシーンで全てを解決させてしまうのは、違うような気がした。
もっとその後の苦しみながらも、贖罪のように漫画を描いていく藤野を見たかった。
ほぉ。
だいぶ前にSNSで作品が素晴らしいと話題になっていて、たしか無料公開もしていてそのときに読んだ記憶があった。ただその内容はほとんど覚えていない。
ちなみに同じ作者の作品で大ヒットしたチェーンソーマンの存在は知っているし、地上波の深夜アニメは一応全話録画しているものの、なんだかんだ未だに見ていない。
本作の予告編が公開されたときも何やら感動するだの話題になっていたことや、作品自体が短くサクッと鑑賞できそうなことに加え、一般料金が1,700円と多少リーズナブルだったことなどから観に行くことに。
まず全体的なBGMが良かったようにおもった。
動きも走るシーンだったり、後半でツルハシを持って学校で暴れる犯人の動きも躍動感があって良かった。
ただ、後半で世界戦が入り混じる?ようなところは素人には良くわからなかった。
Aという世界線とBという世界線があり、それぞれ二人の主人公が進んだ別々の物語があった的なことなのかなと勝手に解釈。
あと、途中から二人で漫画の共同制作をすることになるのだが、何の前触れもなく急に始まったので「どういう流れで始めたの?」とちょっと疑問におもった。とはいえ話の展開から何となく推察することはできるのだが。
それと学校の4コマ漫画で活発な方の主人公がひたすら画力を挙げようと練習して描いた方のあるときの4コマ目が「沢北」にしか見えなかったのは私だけではないはず・・・。
入場特典として非売品のこの作品のラフ画みたいな単行本をもらった。事前に知ってはいたがちょっとだけ得した気分。(もちろんパラパラとめくっただけでちゃんと読んではいない)
エンディングのスタッフロールで「方言指導」みたいなのが目に入って、あの方言本格的にやっていたんだとおもって「へぇ~」となった。
なお、作品自体の上映時間は、スタッフロール終了まで「57分」と1時間もなかった。
こういうサクッと鑑賞できる短い作品もいいものだね。
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