「アニメ作品の素晴らしさ。食わず嫌いは後悔する」ルックバック ぐうけんさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメ作品の素晴らしさ。食わず嫌いは後悔する
「アニメってこんなに良いものなんだ」、そう思わせてくれた素晴らしい作品といえる。
元来、アニメ作品には馴染みがなく興味の対象外であった。劇場に足を運びだして多種多様な作品を鑑賞していくうちに、本『ルックバック』にも出会った。
前提情報皆無、原作も未読であったが、いつまでも食わず嫌いをしているのもどうかと思い、思い切って飛び入り鑑賞。
小学生時代の主人公。学年新聞に自作マンガを連載していて、「将来は漫画家だな」と周囲に評判があるほどの画力を持ち、鼻高々であった。しかしある時から学年新聞に並びで掲載された京本という不登校の同級生の絵を見て、その画力に圧倒されてしまう。
負けまいと藤野は、絵の本格的な勉強を始めるが、いつまで経っても京本の圧倒的な画力には敵わず、ついには嫌気が差して漫画の道を諦めてしまう。
卒業当日、先生の頼みで「卒業証書」を京本宅に送り届けてほしいと頼まれた。嫌々ながらも自宅を訪れた藤野。そこで山積みのスケッチブックと出会う。
呼びかけても部屋から出てこない京本。藤野は、ふと思い立ち、白紙原稿に即席でマンガを描き上げた。風の便りで、ドアの向こうに流されてしまった「即席のマンガ」。
慌てて藤野は、家を後にする。京本はこの「即席マンガ」を見て、藤野を追いかけ部屋を飛び出す。なんと京本は、昔から「藤野先生」の大ファンだったのである。
紆余曲折ある藤野と京本の出会いは、ここから始まる。
マンガ・アニメに全く興味がない人間でも、この1時間は、多くの感動を覚えた至福の時間であった。紆余曲折ある人生のストーリーを、この1時間という短い作品にギュッと詰め込んだ。
ただ、手抜きはしていないし、各所の起承転結が明瞭でドラマ性に富んだ秀逸な作品。
「アニメって素晴らしいな」なんて、初見に思わせる、没入させて虜にさせてるって、すごいよこの作品は。
絶対に劇場に足を運ぶべき特別な作品だと思うし、食わず嫌いは後悔するものだと感じた。