「想像の翼!」ルックバック ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
想像の翼!
タツキ先生、原作ファンです。
全148ページの読み切り漫画を、押山清高監督が脚本とキャラデザまでも担当し、映画として届けてくれました。
上映時間が58分と短めですが、鑑賞後は、喜怒哀楽の感情全てを揺さぶられ、余韻から抜けられなくなる作品です!
まずあの線!!手書き感が堪らなかった!
映像・演出・演者の演技、BGM全てが、とにかく素晴らしかった!
(知らせを伝える電話の着信音。
あの音量が絶妙で!心臓がギュッとなりました( ; ; )
小4の藤野と不登校の京本。
漫画を描く2人の成長ストーリーで、小中・高〜その後、、と、2人の人生を描いた作品です。
ある日全てを打ち砕く事件が起きて。。
◯藤野の最初の挫折。
絵がもっと上手くなりたい一心で机に向かう藤野。その背中。
本棚の本が一冊ずつ増えていく。
間接的に描かれたそれで、悔しさや焦り、もっと絵が上手くなりたいという気持ちなど、彼女の心情が十二分に伝わってきます。
◯京本宅の廊下に積み上げられたスケッチブック!あの一瞬で全てが分かる。
短いながらも衝撃が走るシーンです!
◯京本の部屋のドアの隙間に吸い込まれる様にして消える4コマ漫画の描写の美しさ!
「出てこないで!!」「出てこい!!」
(これが後半のキーになるので)
このシーンも胸がギュッとなりました。
◯"漫画の賞"に応募する為に2人で黙々と描くシーン。
それまでは1人だった藤野の部屋には京本の姿がある。
春夏秋冬、季節の変化を、セリフ無しのあのコマだけで見せていく!
2人の情熱に感動するのです!
ペンネーム"藤野キョウ"だけで泣けるのです( ; ; )
◯事件後、京本の部屋を訪れた藤野。
「シャークキック」同じ巻が何冊も!
読者アンケートのハガキが意味する事。
ここも涙でした。
挙げればキリがない程に、全編に渡りコメントしたくなりますが、やはりこのシーン。
初めて2人が出会ったあのシーン。
まさかあんなに褒められるなんて!
「先生」と呼ばれサインまで求められるなんて!
不器用な藤野の喜びを表現した雨の中のスキップダンス!
原作でもとても好きなシーンなので、
グッ!と来ちゃいました( ; ; )
「私の背中を見て成長するんだな」
その言葉通り、背中を追いかけてくれた京本。
だけどもう後ろを振り返っても彼女はいない。
藤野の夢想するifの物語は、彼女が前に進む為のパートであり、タツキ先生がこの作品を発表した事も、生きている者へ向けられた、進め!ってメッセージだと思うのです。
どんな運命をたどったとしても、前に進み続ける事ができる人間の強さを信じてる!って事なんだと思うのです。
タツキ先生にぶっ飛ばされたけど、元気付けられた作品です。
ここまでのクオリティで見せてくれた事に只々感謝なのだけど、満点なのだけど、、
映画オリジナルで加えられた"2人が手を離す"シーンに違和感が。。
2人はずっと繋がっているよ( ; ; )
そして
あのセリフが発表当初のセリフになっていました。
◎藤野の声をあてた河合優実ちゃん。
藤野の雰囲気を上手く表現してくれており、とてもマッチしていました。
本当に多才ですね!
そんな彼女が今、出演している
「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」
皆さんご存知でしょうか?
楽しくて幸せで悲しくて悔しくて。。
とても素晴らしい作品です。
ぜひ見て欲しいです!
NHKで火曜日PM10:00、今2話まで終わったけれど、再放送あるのでチェックして下さい♪
コメントありがとうございます。
お褒めいただいて恐縮です。
衝撃的な物語でしたが、若い情熱も感じられる映画でした。
実際の事件・事故や災害をフィクションに取り込むのは難しいですよね。
新海誠の「すずめの戸締まり」でも、震災の扱い方扱が非難されたりもしましたからね。
原作を是非読みたいと思います。
河合優実は大活躍ですね。いい女優です。
「家族だから…」は去年のドラマですね。プライムタイムで再放送するんだからNHKも期待してるんですね。
私はあのドラマを見て大阪の人だと思ってましたが、東京出身だと知って驚きました(笑)
共感ありがとうございます。
子どもの頃は絵が上手だけでまとめられちゃいますが、あの隕石の四コマのカット割りを見ても只者じゃないですね。共作の頃はもう藤野のコンプレックスは無くなってたんですかね。
共感とコメントありがとうございます。
グレシャムさんとのやり取りまで読んで頂きありがとうございました。
タツキ氏の細かい描写から滲み出た失われた才能に対する口惜しさ。
実際にタツキ氏も表現者として今の立ち位置まで来る過程で惜しくも筆折ったり、別の道に進んだ人々と出会っていたと思います。
美大いたなら尚更です。
その想いと実際の事件で失われた才能を想い、自分の持ってる表現方法で蹴り飛ばす。
それぞれの本人の事情で失われる事も残酷なのに、他者に奪われた才能を知って、居ても立っても居られない想いで、描かずにはいられなかったタツキ氏の表現は、消費などから1番遠いところにあると感じたので、触れさせて頂きました。
丁寧にコメント頂きありがとうございました。
かぼさんともコメントのやり取りをさせていただきましたが、〝事件を消費〟などと受け取る感性の方が、言葉の選択からして見方が歪んでいるように、私は感じました。この作者、作品とも表現方法において誠実さを疑う余地はないと私は思います。もちろん、その表現方法について、納得して受け止めきれない方もいらっしゃるのは仕方のないことですが、そのことと誠実さの有無は別の話です。
今晩は。コメント有難うございます。
ゆきさん。原作も読んでおられるのですね。
私は、拙レビューにも記載しましたが、原作を書かれている方も知らず、この作品の原作も読んでいませんでしたが、フライヤー2枚の絵を見て速攻で鑑賞を決め、いつもの通り席を予約しました。
で、観たら内容が素晴しくって。で、観ている時に思ったのは、原作の方の京都アニメーションの多くの方の命を奪った男への強烈な怒りと共に、それを敢えて抑制して描いたのだろうなと言う思いで、オアシスの名曲をレビュータイトルに入れました。”怒りで過去を振り返らない。”
私は、京都に縁がある事も在りますが、あの事件は衝撃でした。今日でもう5年経つのですね。あの夏の休みに京都に行った際に細やかながら、慰霊しました。
因みに私は刑法、刑事訴訟法を学んでいた時に”疑わしきは被告の利益に”と言う考えを叩き込まれましたが、個人的な意見ですがあの男は求刑通りの刑に処すべきだと思っています。何の罪もない大勢の方の命を奪った所業は許し難いと思うので。”怒りで過去を振り返らない。”と矛盾しますが、素直な気持ちです。では。長文、お許しを。
タツキ先生に「事件を消費している」つもりなんてあるはずがないですよね。
クリエーターでない自分でさえも、あまりの悲劇に言葉を失い、呆然としてしまいました。
「時間を巻き戻して凶行を止めたい」そんな気持ちから『ルックバック』を作ったのだと思います。表現者は、作品で自分の気持ちを吐露しないと、先へ進めないんです。きっと。
先日の奈緒ちゃん作品のレビュー、例のアレについてふれた所、パトロールされている方に見つかってしまい、コメント頂いちゃいました。
Σ('◉⌓◉’) クソゥw
本作についても「事件を消費している」などの声を耳にしましたが、タツキ先生は決してその様な意図で本作を発表したのではない!と個人的には思います。