「室町っぽくないしミスキャスト」室町無頼 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
室町っぽくないしミスキャスト
監督曰く『マッド・マックス』とマカロニ・ウエスタンを意識したとのことで、さらに全体的には黒澤明の時代劇を意識したようなところもあり、そこに昔の香港カンフー映画の修行シーンとか、『グリーン・デスティニー』的ワイヤーアクションをぶち込んだ、つぎはぎのパッチワーク感が強い映画。室町時代を舞台とした珍しい映画というところに惹かれて観たんだが、正直言って室町感はあまり感じられなかった。たぶん監督がそういうところにあまり興味がないんだろう。
俳優たちも演技は悪くないが、なんだか設定通りのキャラクターを必死でなぞってるように見えて、役がその俳優のものになりきってないというかなんというか。そもそも主演の大泉洋がワイルドで強くてカッコいい主人公に合わない。演技は相変わらず達者で違和感はないが、キャラクターが大泉に合ってない。大泉は演技は上手いが、どんな役でもできるカメレオン俳優ではない。三船敏郎や渥美清なんかといっしょで役を選ぶ人だ。そしてこの作品の主人公はまさに黒澤映画の三船が演じそうな役で大泉のキャラクターには合わないのだ。
少年マンガ的ベタなシーンがちらほらあるのも少々鼻白む。クライマックスの一揆のシーンでも、若い棒術の達人が幕府軍をバタバタなぎ倒していくが、なんで幕府軍は弓矢使わねーのかなと思ったり。
うーん、期待したほどではなかったかなぁ。決してつまらなくはないんだけど、まあまあ面白いという程度の映画でした。
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