「煮え切らない」デッドプール&ウルヴァリン だむさんの映画レビュー(感想・評価)
煮え切らない
まず、この映画ではなく最近マーベル映画の感想として「迷走している」があると思う。デッドプールがどうとかではなく、「エンドゲーム」の後に続く映画を楽しめるハードルが高くなり過ぎた。異色作が出まくってマーベルじゃなかったら面白かったかもな、と思うものもある(個人的にはドクターストレンジ マルチバースオブマッドネスはそれ)。
そんな混沌としたマーベル映画にデッドプールが混じってウルヴァリンも巻き添えになったらどうなるの? っていう映画がコレ。迷走している様子の象徴であり、迷走を打破するための一作、なのかも知れない。
デッドプールの活躍は良かった。序盤では落ち込んでたけど(落ち込んでる理由がアヴェンジャーズに入れなかったから、という理由も含めて)1と2からブレる事なくファンサービスのオンパレードだった。というかファンサービスしかしてない。
ウルヴァリンも良かった。映画「ローガン」が好きだったので、その結末をデッドプールなりに尊重した形がアレなんだと思うし、デッドプールとのやり取りも良かった。互いに超再生持ちの不死だから殺し合うと永遠に決着しない、というのも。
他のキャラも良い、特にガンビットは良いキャラだった。カッコいいキャラとコメディリリーフのバランスがすごく良かった。
ストーリーはデッドプールがマルチバースに混じろうとしたらこんな感じになるよね、という感想だ。展開はほぼ全てデッドプールが引っ張ってウルヴァリンはその騒動に巻き込まれてしまい、二人の関係が転がりながら血まみれになりながら構築されていくバディ物。
この点はいい。とにかく、この映画はオタク向けに作られ過ぎている。
2~3分に一回元ネタ(マーベルシリーズに関わるネタ)が出て来てそれに笑えるかどうか、で評価が分かれるだろう。司会者はデッドプールで、オタクカルトクイズを連発されまくった。個人的な印象はヒーロー映画の皮を被ったクイズ番組で、形式はコントだ。
アクションシーンは平凡だったし、キャラの心情を掘り下げるシーンも内容はありきたりだったし演出も抜けたものが無い。
観客側のリアクションとしては
①意味わからん
②デッドプールだからいいんだけどさ・・・
③流石デッドプール! 最高!
の三つパターンくらいか。私は②だった。ネタは見逃した細かいネタもあると思うが、半分以上は理解したと思う。その上で②だ。
この映画一本、もしくはデッドプール3本だけならば良かったけど、マーベルシリーズの一部になった以上は他作品との絡みも踏まえた評価をしないといけない。その上の感想で「やっぱ迷走してるな」である。良かった所は沢山あるし、デッドプールはデッドプールの役割を果たした。けど、煮え切らない。
迷走していない時にこの映画を観たらもっと良い感想になったと思う。「エンドゲーム」の直後にこれを観たらアヴェンジャーズとX-MENが一緒になってさらに世界が広がっていくのか? とワクワクしたかも知れない。しかもその仲介役がデッドプールなんて最高じゃないか。・・・・・・妄想だ。そうはならなかった。