劇場公開日 2024年5月3日

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「あえて庶民的でベタな脚本が素晴らしい!」マイ・スイート・ハニー Moiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あえて庶民的でベタな脚本が素晴らしい!

2024年5月13日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

『エクストリームジョブ』がとても面白かった
という記憶があり、その映画の監督さんが脚本を
書いているというので興味があり、時間があった
ので鑑賞。

感想

家庭の事情で20年前にシングルマザーになった女。
大学に通う娘が一人いる。
経済的に困窮しているが、持ち前の前向きな性格
とバイタリティで人生を切り拓いて生きている。

一方、製菓会社で新製品を開発する部署に勤める、
実直すぎるほどの真面目な男。単純な毎日を過ごし
ている。
男には腹違いの兄が一人いて、定職につく事なく、
瘋癲の毎日を過ごしている。時折、男のところへ
金の無心にくるが、何も言わずに施しを行う男。

ある日、男女共に返済に関わっていたローン会社
で、と出会ったのをきっかけに、お互いの家族も
巻き込みながら、次第に心を通わせていくー。

実直過ぎる男チホを韓国映画界の名優ユ・ヘジン
が実に上手く、情熱的かつユーモラスに演じて
いる。ユ本人、初の恋愛映画出演であるとのこと。

持ち前の前向きな性格とバイタリティで人生を
切り拓いている女イルヨンをキム・ヒソンが好演。

映画が始まり最初のうちは、新手の結婚詐欺女の
話かと思った。純粋無心なチホは騙されてしまう
のかと。
そんなことは無く、孤独感を持ちながら、娘を
大学まで行かせ、育ててきたイルヨンは子育てが、
一段落ついたところで、自分のこれからの人生を
見据え、チホとの、付き合いを真剣に考えていく
という、本当に前向きな話であった。
男女の各家庭の事情もある程度上手く纏められ、
エピソードとして盛り込まれており、
お笑いの中に義理人情が含まれる話になっている。

わざとらしい、ドリフのコントのような笑い話が
展開していくが、あえてわざわざ大袈裟で雑な展開
と思わせる脚本を作り、そこに人間の性癖やありの
ままの登場人物の性格を表現しようとしている
ところが逆に評価できる。あえて庶民的でベタな
脚本が素晴らしいのだ。

映画のなかで、全く本筋から離れたエピソード
で、イルヨンのアパートに住む女性に結婚して
欲しいと思う男が家の外から求婚の想いを歌で
伝えるシーンがあるが、その場でふたたび
めぐり逢ったチホとイルヨンが歌が流れる中で
お互いの気持ちを通じあわせる、逆フラッシュ
モブなシチューエーションが完成していくシーン
の構成が秀逸であり、感動するシーンである。

演出◎
脚本◎
配役
ユ・ヘジンが実に上手い。悲哀と無心な表現が◎

⭐️4

Moi