Cloud クラウドのレビュー・感想・評価
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黒澤清監督の境地とみるかそれとも
星4をつけたのは本作は人を選ぶ点が非常に多くあると感じながらも、この作品ならではの光る部分について推したいと考えたためです。
ややニュアンス的な表現にはなってしまいますが、
「映画の"らしさ"を荒唐無稽に描き出すことによって"映画"を取り出す」
のような体感が残りました。
近年、稀有といって良いほどのコテコテの演出、台本、あらまし、20年昔で止まっているデジタルリテラシー。
そんな印象をこれでもかと受けるのが本作です。
この一方で浮上する視点が、「この映画そのものが映画本体」という見え方です。
この映画は観客に、ディズニーランドであるとも枯山水であるとも言わせることを許さない、針のような絶妙な存在に挑戦しているようにも感じられます。
個人的にはMナイトシャマランやデヴィッドリンチ監督作品などを好む方に本作をお勧めできるのではないかと感じました。
ここは地獄の入り口かぁ⁉️
人の弱みにつけ込み、人を騙し、楽をして金儲けする輩への天誅&天罰ムービー⁉️菅田将暉扮する転売屋の生態を描く前半と、被害者たちに拉致られ、殺されそうになる後半‼️ただイマイチ被害者たちの心情が響いてこない‼️冒頭で40万円の電子機器を3千円で買い叩かれた男も、それだったら売るなよと思うし、荒川良々もなんで奥さんと子供を惨殺したのか⁉️窪田正孝は同じ転売屋のくせになぜ主人公憎んでいるのか⁉️古川琴音はただ金が欲しいだけ⁉️まるでベイビーわるきゅーれなアシスタントの男のバックは⁉️多分それぞれの背景は複雑で、主人公を恨んでるんでしょうけど、劇中で何の説明もないので、ラストの銃撃戦もサバイバルゲームの域を出ていない‼️ひょっとしたら黒沢清監督は、そんな事情なんかお構いなしに犯罪や殺人が行われる現代の不条理な世の中を描きたかったのか⁉️それはそれで恐ろしい映画ですけど‼️ラスト、被害者たちを皆殺しにし、アシスタントの男ともに後戻りできない世界へ足を踏み入れた主人公のセリフ「ここは地獄の入り口かぁ」と闇に浮かぶ菅田将暉の白い眼が戦慄‼️
サバゲー
佐野くん…いったいなに?
菅田将暉が演じる平凡な青年・和也が、憎悪に満ちた集団狂気に巻き込まれていくサスペンススリラーです。劇中、和也は転売ヤーとして働いていますが、個人的にその仕事に対して「自分にはできないけど、なかなかおもしろい仕事だな」と思いながら観ていました。
物語の中で、奥平大兼が演じる佐野という謎めいた青年が登場します。彼の存在は、最後まで曖昧で、和也を助けるのか、それとも別の目的があるのかがはっきりしません。このキャラクターは、作品全体にさらなる不安感と緊張感をもたらし、観客の気持ちを掻き乱します。佐野は、和也の混乱をさらに深める要因となり、結局のところ「彼は一体何者なのか?」という問いが残ったまま物語は幕を閉じます。
『クラウド』は、終始謎が多く、特に佐野くんの正体に関しては最後まで解明されません。まさに「佐野くんは何だったんだろう?」という問いを抱えたままの映画です。
映画自体の評価は★3ですが、俳優陣の演技力に+0.5です。
すべてのショットに快楽がある。上映時間ずっと怖い楽しい痺れる、エンタメ快作
黒沢清がVシネを撮っていたころの雰囲気を持つ、エンタメ作。私は黒沢作品では哀川翔主演の「復讐 運命の訪問者」が最も好きだが、本作はそれに並ぶくらいに好き。
何気なく始まるファーストショットから、いつものクロスプロセスのラストショットまで、すべてのショットに快楽がある。上映時間ずっと怖い楽しい痺れる、エンタメ快作。
前半は転売ヤーの日常に迫るサスペンス、後半は長いガンアクションと、メリハリのついたジャンル映画のお手本のような構成がよい。
前半は得意のサスペンスショットに溢れ、否が応でも気分が盛り上がる。バイクのヘルメットをかぶった後頭部のショット、バスの中で誰か後ろいるショット、逆行で真っ黒になった人物、とにかく怖くて面白いショットの目白押し。窪田正孝のイヤな先輩の演技が素晴らしい。
後半はリアルなガンアクション。銃弾一発一発が重い。廃工場内での銃声の残響はどこまでも続く。
並んで疾走する菅田将暉と奥平大兼、撃たれてバウンドする岡山天音、猟銃を肩にかけノシノシ歩く荒川良々、Chimeに続いて突拍子もないお喋りの吉岡睦雄、最期に本性をあらわにする古川琴音、どの役者も本当に印象に残る素晴らしい演技と演出。
もう一回観に行こう。
地に足のついた小悪党が、バス内での異様なショットを経て迷い込む異界...
ろくでなしな世界
皆さんおっしゃるように何のカタルシスもない作品で見終わってげんなりします。
モラルも倫理も捨て去った人間ばかりです。
でもモラルって、人間社会がなるべくみんな幸せに回るために必要なもので、
その中で幸せなんか自分には巡ってこないと見切りをつけた者は、
守る気なんかさらさらなくなるのでしょう。
そんな人間が増えつつある現状をそのままさらけ出しているような作品です。
強い動機があるのは手塩をかけて開発した機械をかすめ取られた倒産工場主くらいで、
あとはすべて後先考えもせず暴力をふるうようになった奴らばかりです。
唯一動機が分からないのは、菅田将暉が雇ったアルバイトの青年の奥平大兼で、
彼がなぜ助けに来るのかさっぱりわかりません。
推測するに、地方のやくざの御曹司で東京の組に修行に行って帰ってきていた、
というような存在かと思いますが、彼にも身勝手な理屈を語らせたら、
もっと情けない世界が徹底してよかったのではと思います。
彼が作品の肝だったのに、と思いました。
奥平君の演技はなかなかの存在感でした。
しかし井の頭五郎さんは拳銃まで扱うんですね。
あの後、駅前で腹が減ったことに気づいて、店を探したとか。
メジャーになれない理由がよく分かる
転売屋が色々なところで嫌われ、恨みを買って・・・という前半の設定は面白いが、それだけ。
後半、脈絡なく延々とドンパチが始まり、派手に血が流れてバタバタ人が死んで、それでドラマが成立すると考えてるなら、あまりにも稚拙。
この監督がメジャーになれない理由がよく分かる作品でした。
Vシネ
黒沢清監督最新作。転売ヤーの菅田将暉が自業自得とは言えとんでもない目に遭うサスペンス・ホラー。日常に潜み口を開ける非日常。前半と後半でガラリと雰囲気が変わり後半はVシネ時代の黒沢清を観ているかの様な寂寥感と虚無感。まさかあの人がカメオ出演するとは!
不安と恐怖がすさまじい
・主人公の吉井が冒頭から3000円で買って20万で転売っていう、あくどい転売をしているところから猛烈にひきこまれた。そして終始、不安と恐怖が続くすさまじい映画だった。ただ冒頭の会社にはどういうコネで買いに行ったのかが気になった。ほぼネットで買って売ってを繰り返しているようだったし。
・吉井の最初のアパートの暮らしが転売ができて静かに安心している様子が妙にリアルに感じられた。当人も真っ当じゃない、こんなこと未来がないけど、これしかないという虚しさが凄かった。
・キャラクター全員が心に闇を抱えている感じが隠しきれてない雰囲気が凄く良かった。誰とも友達になりたくないと思った。
・クリーニング店から帰宅途中に道路上にはられたピアノ線?は滝本の仕業だったのだろうか。
・吉井の転売の卑劣だけど在庫があるだけまだ真面目なような気がした。無在庫転売よりもっていう意味で。とはいえ、フィギュアの様子とか見ると許しがたい。
・望まない管理職への打診?から退職して転売一本っていう吉井の希望を見出した世界が救いのない感じがとても良かった。運送会社も警察とつながってる感じとか、リズムよく閉塞感が増していって凄いなぁと思った。
・卑劣な吉井、転売屋をぶっ殺そうっていう事で集まった烏合の衆のリアリティが凄かった。全然、統率が取れてないけど何となくやっちゃおう感というか。
・移住先で雇った佐野君があんなに活躍をして驚いた。
・最後、どうなるんだろうと思ったら助かった先も曇天の未来っていう予感に満ちたシーンが強く印象に残って、ラストまでずっと不安と恐怖が続いていて凄かった。
現代の世相を鋭く抉る
衝撃のゲージツ作品か!?w
残念ながら私にはさっぱり理解できなかったが。
そもそも菅田演じる吉井は命を狙われるほどの悪なのか?
この程度でもネットで煽動されるとこうなる?
今世間を賑わせているネット強盗団の親玉とかなら制裁されてやむなしだが、
偽物をつかまされた程度では過剰報復の観は否めない。
胸がすく思いもない。
吉井の近しい人間関係も唐突でわからない。
そもそもアシスタント佐田って何者?
彼と比べると吉井の小物感半端ないんだけど?
吉井の下に付く論理性が全く理解できない。
さらに古川演じる彼女の行動も同様。
何か伏線があって私が見逃した?
と今回のレビューは???だらけ。
途中ホラータッチで良さげなところもあったが、
結局はゲージツお決まりの投げっぱなしのラスト。
モヤモヤしか残っていない。
一度やったら、二度も三度も...。
すっごい好き。黒沢清ナンバーワン。
変な映画ではあるけど、これまでの黒沢映画と比べるとアクが少なく、癖も控えめ。若手俳優を筆頭に、日本映画を支えるバイプレイヤーが勢揃いしており、いい意味でも悪い意味でも黒沢清らしさが薄めの、大衆向け映画になっている。
ただ、これまで見てきた「クリーピー」「スパイの妻」「蛇の道」の3本全てハマらなかった自分からしたら、大満足の作品だった。一方で、これまでの黒沢映画が好きなファンからしたら物足りないのかも。結構ポップでエンタメに振り切った作品になっているから、特有の闇はあまり感じられなかった。でも、これがいい。
恐怖が淡々と迫ってくる、緊張で心臓が小さくなるような演出は今回も健在。この演出だけは黒沢映画で変わらず好きなところだし、いつも変えずにやってくれるところ。実はここが好き嫌いわかれる原因でもあって、いつまで自主制作みたいな映画撮ってんだ!と言われるのはここにあると思っている。
黒沢監督はほとんど音楽を使わないし、そこにカメラがあっただけみたいな、突拍子もないリアリティを求める人。でも、これこそ映画だと思うし、私生活に支障をきたしてしまうような気迫こそがこの人の最大の良さだと思っている。それが今回は更に濃く現れていて、おかげでこれまでに無いくらいハマることが出来た。
アウトレイジ的に言えば「全員、狂人」。
豪華キャストのアンサンブル。とにかくみんな狂っていて、シュールな恐怖になんだか笑っちゃう。何やってんだ全くと少し呆れながらも、みんな全力で演技を楽しんでいてずっと見守りたくなる。しかも時間が経過する度に、頭のネジが緩まっていくようにして狂気じみてくるから、2時間ちょっと常に上り坂でとにかく楽しい。「キングスマン」の教会のシーンを想像してもらったら分かりやすい。だけど、そんな中にも人間臭がしっかり残っているから、なんだかんだで全員愛おしく感じちゃうんだよね笑
かなり銃撃戦。後半ずっと銃撃戦。
結構こだわりがあるんだろうけど、舞台が日本となるとリアリティは激減するし、銃を扱うことを納得させるような要素もなく、長すぎることもあって若干退屈した。本作はここで評価が分かれるだろうな。
ただ、奥平大兼が黒澤監督の雰囲気とめちゃくちゃマッチしていたのは意外だった。この映画で一番のハマり役は彼。他のキャストと比較するとセリフ量は少なく、大々的に画面に映るわけでもないんだけど、菅田将暉以上のインパクトですっごい爪痕を残していた。特に後半からはヤバい。あまりにイケてる。
主人公の吉井は銃を手にした時にあたかも初めて罪を犯したような顔をするけど、二度三度と回数を重ねる度に感覚が麻痺していき、罪の意識は徐々に薄くなっていく。まさに、転売ヤーという職業そのものを暗示させる表現。慣れって怖い。当たり前って怖い。一番狂っているのは自分自身だと、まだ彼は気づかない。
周りの評判通り、変な作品だったけど、監督の意図しているようなメッセージは珍しく受け取ることが出来たし、満足度がかなり高かった。ただ、流石に高額買取してくれるからって客のことを見限っては信頼も地の底ですぞ、おもちゃ屋のおっさん...。
こんなに面白い黒沢清映画が!
ラーテルは言い過ぎ。たぬきにしとき。
ひとつ言えるのは奥平大兼がめちゃくちゃ良い。佐野君が何者かなんてもはや気にならなくなるほどに。ストーリーは設定から何から中身がスカスカで、その全てをなんとかキャスティングで乗り切った感じです。
そもそも転売屋って今時やるならもっと上手くやるでしょうよ。某テーマパークの熊さんの新商品売った方がよっぽど利益出そうやん。だいたいあの社長も自分でオークションサイトにでも出せばいいのに、初っぱなからなんで??ってなった。わざわざ湖畔のポツンと一軒家みたいなとこ行くのも謎過ぎるし、後半の銃撃戦とかほんまもうただスクリーンを無で観てるだけやった。なんであんなことになったんやっけ?笑
最後の車を走らせながら多分名台詞を吐いたであろうシーンもなんか外の景色がCGで安っぽ過ぎて全然印象残らんかったな。強いて言うなら序盤のバスのシーンが一番怖かった。
空虚なゲーム
菅田将暉演じる転売ヤーが、ビジネス拡大に伴って不特定からの恨みを買い、思わぬ惨劇へ。人間関係や状況の説明を最小限に抑え、湿度と熱量も極力抑えた黒沢清ならではの娯楽作品。
登場人物がみな、出てきたときからセリフや表情が空虚で薄っぺらな感じ。ネット上の転売ビジネスや闇バイトの空虚さと重ね合わせた作者のねらいなのだろう。後半の延々続くガンファイトも、空虚なゲームをただ眺めている気分。
出演者は豪華だが、作品世界にあまりフィットしている感じはしなかった。中では、奥平大兼の飄々とした感じが、裏で何を考えているか分からない薄気味悪さもあって、良かった。殺し合いは全部彼が仕組んだようにも思われる。あと、荒川良々のライフル姿が格好良くて意外。
黒沢清としては、かつてのVシネマのように軽く撮った作品なのだろう。観る側も軽い気持ちで十分かも。
面白さはあったのですが‥
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
正直に言うと今作の映画『Cloud クラウド』は、個人的には食い足りなさがありました。
食い足らなさの1番の理由は、果たして映画の題材になっているネットのオークションサイトについて黒沢清 監督はちゃんと調べて脚本演出しているのかな?と疑問に思われた点です。
主人公・吉井良介(菅田将暉さん)は、オークションサイトの出品者で、潰れた会社から商品を買い叩いて仕入れたり、偽物をろくに確認せずに出品したりして儲けています。
しかしながら、現実のオークションサイトを利用した人のほとんどが知っているように、出品者は(サイトによっては購入者も)マイナンバーカードなどの身分証の登録が必要で、出品者や購入者にはレビューが付き、悪質な出品者はレビュー等で淘汰され、法令違反の出品者はバンされるのが通常だと思われます。
つまりそもそもこの映画で描かれたような悪質出品者が存在し続けられるかは、サイトのシステム的に疑問が出て来ます。
であるので、それが発展して今作で描かれたような、偽商品の購入者や安く買い叩かれた人達が出品者に恨みを持って襲い掛かるのは、いささかリアリティがないように感じました。
つまり、黒沢清 監督のイメージが先行して、現在の社会から遊離して映画が描かれているように私には感じられたのです。
そうなると映画の評価としては厳しくならざるを得ません。
(もちろん一般の観客がどのような評価をするのかは自由で開かれている必要はありますが)
『蛇の道』でも思われましたが、黒沢清 監督のイメージ先行で具体的な細部の現実リアリティから遊離した作品を、映画評論家の人達が持ち上げ続けるのも罪が深く、映画の世界に閉じこもり現実社会リアリティを知らないままで他作品含めて映画の評価をしているのではないかとの、(他作品の採点合わせて)専門家への疑念も湧き上がります。
今作がアメリカアカデミー賞の国際長編映画賞 日本代表作品になっているのも罪深いことだなとは僭越思われました。
菅田将暉さんを初め、秋子を演じた古川琴音さん、佐野を演じた奥平大兼さんなど、俳優の皆さんは素晴らしかったと思われます。
黒沢清 監督作品の特有の映画の雰囲気の良さは相変わらずあったので、俳優陣の皆さんの素晴らしい演技と合わせて、僭越ながら今回の点数となりました。
もうちょっとかな
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