Cloud クラウドのレビュー・感想・評価
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Boy Fearless
転売ヤーを懲らしめる話かと思いきや、大小の恨み嫉みが積み重なってやがて最悪の事態に…といったテイストの作品で大ベテランが描くずっしりとした重みがクセになり面白かったです。
前半は転売ヤーの事情を垣間見るシーンが多く、早い段階で狩りゲームに進むと思っていたからか物足りなさがそこにはありました。
誰かを常に疑っている感じで進んでいくので不穏な雰囲気はありましたし、それに反して転売の模様が雑かつコミカルに描かれているのでそこは面白さに繋がっていました。
フィギュアを全部買い占めた後に店主が売り切れました〜って店の前に出した時は笑いました。
実際に拷問を行うシーンがあるわけではないのにセリフだけでヤベェ事するじゃんと思わず笑ってしまいました。
ゆっくり痛ぶって殺すならまだしも、中世の火炙りのようにじっくり足元から焼こうとするし、めんどくせぇから顔面から焼いていこうぜというジャンキーさも復讐サイドは見せてくれるしでキャッキャしていました。
銃撃アクションは割と単調なので、ここ最近の銃撃アクション作品が充実しているのもあって絵面に新鮮味は感じられなかったです。
銃を初めて撃った時の衝撃だったりが表現されているのは珍しくそりゃアワアワするよなってなりました。
底知れなさを醸し出していた佐野くんがしっかりと無双していくんですが強すぎるがためにこの人いれば楽勝じゃんってなってしまい、割と強そうな敵方も一掃されていくのでもっとそこら辺観たかったなぁと思いました。
車窓からの景色がどんよりしながら明後日の方向へ進んでいく終わり方は余韻があって良いと思いました。
吉井全く反省の色が無くて純粋悪だ〜ってなりました。
荒川さんの不気味さ全開で近づいてくる感じだったり、奥平くんの表情変えずに圧倒していく様子だったりと黒澤監督の世界にどっぷり浸かった演者がとんでもない演技合戦を繰り広げていたので大満足です。
松重さんあれだけの出番のために…贅沢だぁ。
前半と後半で見事に作風が変わりますし、チートキャラが出てきてしまって緊張感こそ薄れてしまうのは残念でしたが、邦画らしからぬつくりには舌を巻きました。
転売ヤーは無くなれば無くなるほどいいですからね。
鑑賞日 10/3
鑑賞時間 18:30〜20:40
座席 D-12
転売屋の横流しにはお気をつけて…
『クリーピー』や『リアル』、最近では『散歩する侵略者』等、独特の世界観で楽しませてくれている黒沢清監督が、菅田将暉を主演に迎えて描いたサスペンス・スリラー。今や生活の一部となったネット・ビジネスを背景に、それを悪用し、不正な転売によって一攫千金を企む一人の男・吉井。吉井によって騙された者達が、憎悪と怒りを渦巻いて、吉井を吊るし上げようとする恐怖を描いている。
黒沢作品らしく、相変わらず何処で仕入れたのかライフルや拳銃でのドンパチ合戦。次々と銃弾の餌食となっていき、最後も救われないイヤミスの内容。ネット・ビジネスによる転売に着目したのは面白いし、前半の吉井の仕事振りによる掴みも流石だと思った。決してグロさは感じないが、後半は、日本には馴染まない派手な撃ち合いを繰り広げる。しかし、ここまでカモられた男に執着する、被害者たちによる集団心理といのも、動機としてはやや弱さを感じた。
クリーニング工場で働く吉井は、先輩から転売屋の極意を教えられ、犯罪ギリギリのグレーゾーンでの転売を日々繰り返していた。ある日、医療機器の転売で大儲けをした吉井は、クリーニング工場を退社し、恋人の秋子と共に、人里離れた湖畔の家に移り住んだ。そこで、地元の青年・佐野を雇って、転売業を広く手掛けて成功を収め、新生活をスタートさせた。
そんな矢先に、吉井の周りで、夜中にガラスが割られたり、自分の仕事が警察にも知られていたり、不穏な出来事が起き始める、そしてネットでは、吉井の父性転売のによって地獄を見た者達による吉井への誹謗中傷が炎上し、その果てに、『吉井狩り』という猟奇的な集団心理を煽動していった。ターゲットとなった吉井の新生活は、根底から崩れ落ちていく…。
主役の吉井を演じた菅田将暉は、次第に追い詰められて、引き金を引くまでに堕ちていく役柄を、存在感ある演技で魅了している。また吉井の先輩役の窪田正孝の狂気に満ちた表情も、不気味さと怖さを湛えていた。その他にも、恋人役の古川琴音、吉井を狙う役の荒川良々、岡山天音等も、泥臭い演技で個性ある役を演じていた。そして、本作のキーパーソンとなる、佐野を演じた奥平大兼は、表情を崩さない淡々とした演技が却って不気味さを煽る。何を考えてるのか、最後までその存在も目的も謎につつまれままエンドロールを迎えてしまったのが消化不良だった。
意味のわからなさ含めて最高!
黒沢清監督といえばスイートホームが有名ですが自分は世代的には生まれたくらいで後にファミコンでそんなのあったなーくらいの認識です。唯一、黒沢作品で見たことあるのは地獄の警備員で、だいぶ前にAスタジオで松重豊さんが「地獄の警備員」について話していて何その作品?ってとても気になりその時すぐさまレンタルで借りて見てあの独特の世界観にハマりました。今回たまたま映画館で予告を見て黒沢清と菅田将暉の組み合わせ!?めっちゃ気になるー!と思い見に行きました。
少し前置きが長くなりましたが私としてはなかなか楽しめました。情報や登場人物の心情なんかは見る側での憶測が求められるため、みる人によっては意味がわからないって感じになると思います。自分はその意味のわからなさも含めて作品全体を通して漂う不気味な雰囲気も含めとても楽しめました。SABU監督や北野武作品のように死体を黙ってジッと眺めるシーンなんかも今回古川琴音さんがやってて「あーこれこれ!」ってなりました(笑)
あと、菅田将暉がネットに商品を出品して売れるまでジッとPC画面を眺めるシーンも何度か出てきて独特で良かった。
脇を固める役者さんも窪田さんや天音さんなどめちゃくちゃいい感じの演技で役にハマってました。医療機器工場のおじさんもよかった。
あとは最初、菅田将暉が演じるからきっとかっこいい役なんだなと思ってて、たしかに見た目やぱっと見の会話や佇まいはとても頭の切れるできるやつに見えますが実は結構、転売屋としてはバカな役でした。なんで600万儲けてあの変な田舎のでかい施設を借りるのもわからないし簡単に他人に転売屋ですと言っちゃうあたりやなぜか偽ブランドはさっさと売り切れば勝ちみたいな考えも結構頭の悪い転売屋だなと思いました。
結果、その頭の悪いやり方が恨みを買い殺されるターゲットにされます。
ただ、なぜに荒川良々さんが家族を殺して、ただ仕事を飛んだだけの菅田将暉も殺そうとするのか意味がわかりませんがその意味のわからなさもこれまたこの作品の良いところです。
奥平大兼さんもめちゃくちゃ怪しいと思いながら実は最強の味方で、でもなぜに彼が菅田将暉に力を貸すのか、なぜあのガラス割った若者があんなに怯えてたのかその辺の答えは作中で教えてくれません。ま、それも含めて謎すぎてこの作品の面白さです(笑)
そして何よりレビュー冒頭に私が書いた地獄の警備員の主演の松重豊さんが一瞬だけ現れます。私はこのシーンが一番テンションあがりました。
これも彼に関する説明はなしですがセリフから組織などと言っていたのでマフィア、裏社会の幹部、奥平さんはそこの坊ちゃんなのかなというのはわかりました。では、なぜに菅田将暉に力を貸すのか、これは全くわかりません。
とにかくこんなめちゃくちゃな映画作っててずっと長いこと映画監督やれる人ってある意味すごいなーと思いました。
ハマる人にはハマるけど、嫌いな人はめっちゃ嫌いな作品かと思います。
すでに世界はそうなっている
まぁ なんかね
見やすさ○
ストーリー△
キャラクター◎
没入感○
個人的好み○
楽しみだったけどがっかり
ストーリーがイマイチで、なんで?の連続
最後に集まった人達が浅すぎて?
多少理解できるのが先輩ぐらいか
すべてフリがイマイチだね
ラストの銃撃戦は何?
まさかの展開にツッコミどころも多いけど…
てっきり、慈悲の無い嫌われ者の転売ヤーが謎の集団に追い詰めれれていく…そんなサスペンスストーリーかと勝手に思っていましたが、銃撃戦に突入していったのには驚いた。
凄く期待してたり何かのテーマを求めて見に行ってたら悪い意味で衝撃を受けたかもしれないです。
あまり深く考えないで観てたせいか、これはこれで面白かった。
物語ではなく〝行為‘’でシーンをつないでいって映画を成立させている...
老若男女が楽しめるエンタメ映画になっているが…
Cloud、そのタイトル通り最初から最後まで不穏な暗雲が垂れ込めているような映画だ(屋外のシーンはすべて晴れのシーンであるにもかかわらず…)。室内・小道具のマットなブルーの配色がそれをさらに助長させている。その不穏さを際立たせるための効果音はやや安直な感じもするが…
以下、ネタバレあり。
ラストのシーンで女性が主人公に対峙する場面は、ボリス・バルネットの『諜報員』のラストシーンを思い起こさせたが、そのシーン手前の倒れた男のそばに落ちているピストルのクローズアップのショットはなくても良かったのではないか…
「転売の被害に遭っているサイド」VS「転売しているサイド」の構図になっているが、どちらの“反社度”が高いかと言えば当然「転売しているサイド」だ。大量に安く仕入れるためには(そして相手にNOと言わせないためには)それ相応の“力”が必要だ。怪しい組織とつながりのあるアシスタントが主人公に車その他を手配したりするのも、単なる親切心からではないだろう。
その“反社度”の高い側にイケメン俳優をキャスティングして美しいクールなイメージを付加し、犯罪の被害者側に対しては「不気味」かつ「気持ち悪い」演出を施していることには若干のモヤモヤ感が残る(かつてのヤクザ映画のように善悪がはっきりしている場合は誰が見ても分るので良いが、元締が雲(Cloud)の上にいるかのような現代の犯罪では、善悪のボーダー、犯罪者と一般人のボーダーが見えにくく (Cloudyに)なっているので、意図せずして犯罪を美化していることにもなりかねない)。ただ、その鑑賞後のモヤモヤ感(Cloud感?)も、初めからあらかじめ製作サイドが企図していたことなのかもしれないが…
いずれにしても、2時間飽きさせない面白い映画になっていることは間違いない。
高濃度の黒沢清ワールド
怒りすら湧いてくる
集団狂気のリアルゲーム
転売屋が生み出す利益のカラクリ。
心の奥底からおかしいと思うけど、そのような
システムが成り立っている。
その仕事って、人間として仕事として
どう思ってるのだろうか?
そして、個人が悪いのか社会のせいなのか……。
出てくる登場人物が、歪んでイカれていてまともな人物が見当たらない。
視聴していて誰が何が正しいのか、誰が悪いのか
善悪の境界線が揺らぐ。工場のおじさんの気持ちだけ理解するけど。
菅田将暉さんの無気力でその価値も分からず
転売する表情と姿は上手。
素人集団のリアルゲームの集団狂気。
誰もが陥るかもしれない、不思議な転売とネット
の地獄の入り口を見せられた気がした。
黒沢ワールドではなかった
黒沢清監督のサスペンス作品といえば、
独特の雰囲気とサスペンス要素が特徴的な【黒沢サスペンスワールド】が想起される。
しかし、本作においては、
その概念を覆すような異質(一般的にはノーマル)な世界観が展開されている。
どこが変わったのか?
従来の黒沢作品では、観客を不気味な空間に引き込み、
予測不能な展開で翻弄することが特徴であった。
しかし本作では、舞台となる主人公のアパート、
工場や警察署など、極めて現実的な空間が丁寧に描かれている。
エキストラの多さや、セット、ロケセットの緻密さなど、
リアリティを追求した作り込みは、
これまでの黒沢作品とは一線を画すものと言える。
このリアリティの追求は、
一見すると黒沢作品らしからぬアプローチのように思える。
しかし、よく考えてみると、このリアリティこそが、
本作における新たなエンターテインメント的な恐怖を生み出す要因となっているのではないだろうか。
黒沢監督のスタイルとは?
私は、黒沢監督の作品に二作品で携わる機会を得たが、
監督の最も特徴的な点は、
観客の予測を裏切る巧妙な手法にあると感じる。
シナリオ、演出、撮影、美術など、あらゆる要素を駆使して、
【論理的な世界観の中にわずかなズレ】を生み出す。
このズレは、観客の意識下で徐々に大きくなり、
最終的には強烈な恐怖感へと繋がっていく。
例えば、ある場面では、論理的に説明がつくはずの出来事が、
わずかに不自然な形で描かれる。
このわずかな違和感こそが、観客の不安を煽り、不気味な雰囲気を作り出す。
リアリティを追求した舞台設定の中に、
わずかな非現実的な要素を散りばめることで、
観客を困惑させ、不安感をあおる。
観客は何かがおかしいと気づいたときには、黒沢沼にはまっている証拠だ。
この作品における恐怖は、
単に怖い映像を見せることによって生み出されているのではない。
それは、【観客の論理的な思考と、映像によって提示される非論理的な要素との間のギャップ】から生まれる。
このギャップが、観客の不安を煽り、恐怖感を増幅させる。
まとめると、
本作は、黒沢清監督が新たな境地を開拓した作品と言えなくもない。
今までの作品のような異質な空間の設定ではなく、
リアリティを追求した舞台設定と、
わずかな非現実的な要素を組み合わせることで、
観客に異様な恐怖感を与える。
この作品は、従来の黒沢作品とは異なる魅力を持っている、
新たな黒沢エンタメワールドの始まりなのかもしれない。
クラウド
どんよりとした世界観
転売屋の青年が集団狂気に狙われる恐怖を描いたサスペンススリラー。菅田将暉主演ということで楽しみに鑑賞したがどうやら期待外れ。ハラハラドキドキするような展開やシーンが一切なくて面白みに欠ける印象。どんよりとした世界観も苦手でした。
2024-162
映画ではなく演劇
これは映画というより演劇なので、リアリティというものは無いに等しい。なので肌に合わない人には全く合わないだろうし、私もその一人である。
それでもタイトルから意味を自分なりに考えてみるとまず、心にモヤモヤと雲がかかって生きている人たちの話なのは間違いない。
人と距離を取って生きている主人公(菅田将暉)とその彼女。未だにSSDにもなりきれないHDDようなスタンドアローンな2人。それでもネットオークションを使い転売ヤーとしてお金持ちになる事を夢見ている。
一方で同じく曇りがかって生きているが、主人公や世の中への不満をインターネット(クラウド)上で共有していた人達が、徒党を組んで主人公とバトルを展開する。
ってことなのではないかと想像できた。でないと「HDDさえあればばやり直せる」的な描写が度々出てくる意味が説明できない。リアルなら、今時HDDのデータが無くなったら一巻の終わりなんてことには基本的にならないわけだし。監督がITの知識がかなり古いのならば説明はつくけれど‥‥
主人公側に仲間が現れるが、スタンドアローンの象徴的な集団であるのが、ヤクザということなのだろうか。
主人公の彼女が一度出て行き、クレジットカードを奪う為に帰って来るのだが、なぜか外用の棚を漁っている。他にも急に知らない登場人物やライフルが出てきたり、オークションサイトを立ち上げるとか、めちゃくちゃな事を挙げたらキリがない。
一番残念だったのは、窓ガラスが割れるところ。私が映画で一番嫌いなのは音で観客を脅かすこと。
演劇好きなら楽しめるのかもしれないが、長いダラダラとした銃撃戦の何が面白いのか、改めて考えてみてもやっぱり分からない。
喰らうど
前半★★★後半★
やっぱりなあ・・・
菅田将暉主演の割には,宣伝等地味な公開。
黒沢清作品という点で不安を感じたが,菅田将暉に期待して観賞。
【物語】
町工場に勤める吉井良介(菅田将暉)は真面目な勤務態度で、社長・滝本(荒川良々)にも認められていた。恋人・秋子(古川琴音)とも安定した関係を築いていたが,吉井はネット転売屋というもう1つの顔を持っていた。ハンドルネーム「ラーテル」としてネットで商品を売りさばいているのだが、ときに相手の弱みに付け込んで、非情な価格で買い叩いたり、如何わしい商品を買い付けたり、 手段を選ばず人気商品を買い占める等、かなり危ない手段で商品の仕入れては高値で売りさばいていた。うまく行くときは数時間で数百万円の利益を稼いでいた。
あるとき勤務先のから管理職への昇進を打診されるも断り、工場を辞める。郊外に事務所兼自宅を借り、転売1本で食っていくことを決意して秋子と共に転居。なんとか転売業が軌道に乗ってきたとき、ネット上でラーテル襲撃メンバーが公募されていた。
【感想】
黒沢清監督,俺にはどうしてもこの監督は合わないようだ。一般にはこの監督を評価する向きもあるようだが,過去作において俺はどうにも許せないほど,嫌いな作品から,「ちょっとなあ」いう作品まで。個人評価としては★1から最良で★3しかこれまで無い。今作は菅田将暉主演ということで,今度こそ良いと思える作品に出合えるかと少しだけ期待したけれど・・・
黒沢作品としてはマシな方ではあったが。
冒頭から入りこめこめなかったし,最後まで何と言うか,何を描きたいか伝わって来ない。前半と後半では空気が全く違う意外性のある展開とは言えるけれど,面白いとは思えなかった。
恋人秋子の位置づけも良く分からなかった。
強いて良い点を上げれば,菅田将暉,窪田正孝,荒川良良はさすがの演技を見せてくれたくらい。
全288件中、121~140件目を表示