Cloud クラウドのレビュー・感想・評価
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(解釈についての考察があるのでその限りでネタバレ扱い)/前半後半のテイスト違いが厳しいか…
今年348本目(合計1,440本目/今月(2024年9月度)34本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
東京テアトルさん配給の映画ですが、他の映画館でみました(明日は行く予定←テアトル梅田)。
さて、こちらの作品ですが、一言でいうと「前半と後半とで監督が違うの?レベルにテイストが違う」というところになろうかと思います。
前半はいわゆる転売屋の成功と転落を描く部分ですが、残り1時間ほどの後半が、工場かどこかでの撃ち合いシーンばかりで、さらにここに「*し屋」や「特殊清掃班」といった語が出るので、まさに「ベイビーわるきゅーれ」みたいな状態で、しかもこの映画は一般指定のため撃ち合いシーンにも限界があり(ベイビーわるきゅーれはPG12の扱い)、光の点滅がものすごく厳しいかなと思ったところです。
さて、この映画なのですが、個人的には「同音異義のダブルネーミングではないか」というのが見解です。
映画のCloudは「雲」で、映画内では「雲のように集まった集団」といった表現や、「オンラインの転売サイトの構築」といった「クラウド構築」といったIT用語の意味でも使われていてそれが一つの意味でしょう。
一方で、転売サイトに騙された人たちが(匿名掲示板で)集まって復讐していこうという後半1時間の部分は、まさに多数人の「集まり」であって、「群衆」などを意味する crowd のほうがぴったりきます(同音で別の単語です)。映画では「Cloud」のほうしかでませんが、個人的にはこの点が実は隠されたダブルネーミングで映画の趣旨なのではなかろうか、といったところはあります(映画内で(天気予報等でいう)「雲」それ自体が描かれることがない)。
採点にあたっては以下まで考慮しています。ちょっと以下で述べる点、行政書士の資格持ちはごまかせませんので…。
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(減点0.4/序盤の何かの医療器具を9万円で買い取ろうとするシーン)
売買契約はお金を払うだけでは成立せず、売買契約に双方同意する必要があるので、売主が嫌がっているのに買主がお金を置いていくだけでは成立しません。一方で勝手に持って帰っているようで、占有権自体は本人にありますが、契約が成立していない以上、所有権と占有権がずれる状況がおきます。
この状況でオンライン転売サイトで転売したところで法律上は「他人物売買」であり(民法561条)、実際に物の所有権がない以上(占有権の推定は働きます)、その所有権を得て買主に移転する義務を負います(561条)。これができないと転売における契約も成立せず(履行不能等の論点が起きる)、状況によっては不当利得(703)や不法行為ほか面倒な状況が起きてしまいます。
(減点0.3/ネット転売サイトと資格)
個人で1年に1回程度メルカリほかのサイトで行う程度では黙認扱いですが、これらを業として反復継続する以上、本人が許可を得ない限り、古物営業法の縛りを受けます。これは本人が実際に許可を取りに行くのでない限り、許可申請代行は行政書士しかできません(弁護士はオールマイティなので可能/許可申請を得ていれば、転売行為自体が褒められるかどうかは別として行政書士であろうが何であろうができる)。この点は余りにも「極端すぎる」と実際に検挙例もあるので(逆に個人が年に1回2回するレベルでは黙認扱い)、ちゃんと描いてほしかったです。
(減点0.3/転売サイトと品物の内容について)
いわゆる偽物ブランドを売るような行為は、特別法にも救済規定がありますが、民法上では単に詐欺(96)や通謀虚偽表示(94)の問題であり、実際に明らかに値段に合わないもの(要は偽物ブランド)を売る行為は不法行為や不当利得の問題であり、それらを被害者が何も言わないのも気になるところです(ただこの点を論点にすると後半の撃ち合いシーンが全部なくなるので微妙なところ)。
※ 本件は、例えば「偽物をつかまされた」被害者が、加害者(=インチキサイト)からの救済が見込めないような状況において、善意無過失を装って他の人にさらに売ってしまうというケースで救済処理が異様にややこしくなるという点にあります。
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途中で失速?
菅田将暉と窪田正孝、2人が出るんじゃ観たいよね。配信まで待てません。マブリーとどちらを先に観ようか迷い、こちらを選択。
転売屋、十万円で売るバック、確かにブランド品とは表記していないなら騙しているわけではないのか?でもなんか詐欺っぽい。仕事を辞めて転売屋を本業にして大丈夫か?どんどん不穏な雰囲気になって、なかなか面白い。バスの背後の黒い人影や、いちばん怖いのは、なんの連絡もなく突然訪ねてドアをノックし続ける上司。嫌だわ〜。
良介が拉致されて、顔から焼くよって、言われたあたりまではなかなかハラハラな展開だったが、なんか銃撃戦が始まってから興味が失速。何故だろう?
荒川良々のしつこい上司役、銃を撃つ姿も様にはなっていたが、復讐に加わった人の背景がわからない人がいたり、佐野くんが銃を手に入れたり、掃除屋を手配できる背景がもっとわかると良かったかも。
良介、殺人までしちゃって犯罪者だけど捕まらないんだね。ラストもなんか想像の範囲内で尻すぼみ。(あくまで個人の感想です。)
シュピーゲルグランツ
薄すぎるネット文化批評
たしかに黒沢清ならではの刻印は、あちこちにあるんですよね。素早いクロスカッティングを使って、バスの中で視野の隅を一瞬だけ横切る不安な黒い影。空っぽの工場で風にはためく半透明のビニールのカーテン。逆光で真っ白に飛んだ窓ガラス。そして何よりも、菅田将暉の不思議な存在感は忘れがたい。
でもねえ、それらすべてを足し合わせても、これ要するにあんまり脚本が練れてない薄っぺらいネット文化批評の映画としか言いようがないんですよね。どこからともなく現れる反社集団とか、ネットの転売くらいでキレる一般人とかさ、あまりにもご都合主義がすぎる。黒沢清が教壇に立ってる藝大映画学科の脚本課題でこんなの提出されたら、「まあもう少し頭を冷やして伏線を整理してみたら」と講評を書かれると思うんだよね。そんなの映画として撮ってちゃいかんですよ。
朝日新聞のレビューで大久保清朗が「銃撃シーンは圧巻」と書いてるんだけど、本気ですかね? シロートが適当に乱射してるだけですって。画面を見ろ画面を。
俳優の演技も、この監督はぜんぜんコミットしてないのがありあり。ぜんぶTVドラマだねこれは。それをぶっちぎって異様な迫力を放っているのは菅田将暉で、彼の撮り方だけでぎりぎり持ちこたえている、そういう映画。
蓮實重彦なんか年寄りのくせに小ずるいから、知り合いの作品だと致命的な欠陥には触れずに「菅田将暉がすごい」とだけコメントを出すんだよね。そんなの真に受けちゃダメです。菅田さんは凄いよ、でも映画はくだらないよ、ってことです。
憎しみも好意も恐怖になる
2024年。黒沢清監督。工場で働きながらネットでほそぼそと「転売屋」として稼いでいる男は、ちょっとした儲けが出たことと会社で昇進しそうになったことを契機に工場をやめて転売で生きていこうとする。ただ、偽物か本物かに無頓着に売れそうなものを買い占めて転売するきわどい手法は反感を買い、ネットで標的とされて命さえ狙われることに。その時、たまたま雇っていた青年が裏社会に通じた人殺しも辞さない人として現れて男を救うという話。
小賢しい男にすぎない主人公が、あれよあれよという間に恨みを集め、ネットの力で憎悪の的になっていくことがまず恐ろしいが(この程度のぼくがなぜ?1)、土壇場で救世主のように現れる青年に命を救われることで、逆に後戻りのできない地獄に突き進んでいくというのも恐ろしい(人の道を外れていく2)。1では恋人を含む周囲のあらゆる人間が自分を憎んでいることを突き付けられ、それがそもそも自分の無関心から発していることを知る。2では逆にこちらの想定を超えた好意を向けられ、その底知れぬ行為の行きつく先の恐ろしさを知る。どちらにせよ、他人や世間に対して無関心な主人公(訪ねて来た工場主に対する居留守、先輩に携帯番号を訪ねられたときの能面など。積極的に関係を切断し続けている)が、過剰な関心を寄せられることで恐怖を抱く姿を描いている。
黒沢監督の恐怖映画が常にそうであるようにぞわぞわする。主演の菅田将暉がどこかのインタビューで話していたが、後半で男が手にする拳銃には常にライトが当たるように計算して撮影していたとか。きらりと光る拳銃が「ぞわぞわ」に貢献しているのは間違いない。
黒沢清は進むことを恐れない。あの頼もしき奥平大兼のように
リメイク版『蛇の道』を観るのは辛かった。
黒沢清が面白くないという現実は受け入れ難かった。
これぞというショットを撮らず、悪戯に間延びした格闘で尺を伸ばす、これを撮ったのは本当に黒沢清なのか。
黒沢清に明らかな変化が起きている、しかしその変化が良いものだとは到底思えない。
ただつまらない映画を観ることより遥かに、それは辛い体験だった。
黒沢清は、進むことを恐れなかった。
銃を手に変貌した奥平大兼が「進みましょう」と繰り返すように、変化することにいささかの躊躇いもなかった。
映画『Cloud クラウド』で黒沢清は、ペキンパーへの憧憬を抱きつつ、イーストウッド的な軽さで撮りつつ、スピルバーグへの対抗心を燃やしつつ、『回路』の頃の黒沢清でありつつ、しかしそのいずれでもない。
菅田将暉と古川琴音が互いを見つめ合う時、異様に速いバスの中で寄り添う二人の後ろに黒い影が出現する時、かつてない長さにも拘らず一切の緊張を失わない銃撃戦の最中、倉庫の外に雪が降るのを目撃する時、「進みましょう」と促す奥平大兼に導かれ、映画の世界に生きることを決意した菅田将暉が走り出す時、そんな矛盾した感覚を覚えつつ、自身の変化の全てを肯定する黒沢清の強さに涙を堪えきれなかった。
進み続けたい、スクリーンプロセスを背に光る眼を前に向ける菅田将暉のように。
最初から最後まで面白かった
超面白い。前半も良かったし、後半なんかゾクゾクした。
一言でいうと、恐怖と興奮、そして爽快。
・転売は成功だけを見たかったから、最後まで良かった。
・彼女はやっぱりポンコツだった。あいつなんか要らない(笑) そのくせ殺ろうなんて図々しい。
・佐野くん無敵。結局、彼は何者なんだ?
スゲーじゃん。いい奴を雇ったね。
・キャストが完璧にハマりまくり。だけど、元のキャラのまんま過ぎて、逆にキャストを見て脚本したようにさえ感じる。中々こんなの無い。
・最後の車のシーンだけ、外の景色がなんかSFっぽく映った。普通に夜のネオンにドライブみたいに渋く終わったら格好良く締まったのに。松田優作みたく。
最高に面白かった。
黒沢清イズム溢れる怪作で菅田将暉が化ける!
ババ抜きから命を賭したゲームへ…不気味な空気、何か出てきそうな余白スペースのある構図に否が応でも緊張が走る。それらを実現する撮影カメラワークに照明ライティングも絶品。転売ヤー業界もしのぎを削っていて厳しい。東京から離れて、地方からでも(どこでも)ビジネスが成り立つ現代性含め、あらゆることがメタファー。
キャラ立ちした冒頭から、追い込まれ鬼気迫る迫真の演技は圧巻!何を感じ・考えているのか心の奥底が見えず分からないような淡々飄々とした表情や話し方。その振る舞い・壁の立て方みたいなのも現代人的。けど、決して単に"無"で薄っぺらいその場しのぎの受け答えというわけでもない奥行きがしっかりとある。窪田正孝も荒川良々もどのキャラクターも変に含みがあって、けどやっぱりあのキャラクターが出たときは最初から自分の中で変に安心感があったから、強さや後半の展開もある意味で納得。
実体すら怪しい今の世の中で何も手につくことなく素早く手放すババ抜き、それに対して、対照的な命にしがみつくという人間の本質的行動原理・欲求。背筋が伸びるような人の振り見て我が振りなおせで、やっぱり後ろ暗いことはできないなと地に足のついた前半がすごく怖かったから、途中のあるキャラが少し時間を開けてまた出てきたときに「まさか…」とは思ったけど、その"まさか"な舵切りの飛躍が許される現代の寓話。クラウドサービスのCloudで、文字通り雲で、crowdともかかっているような。まさしく煙に巻かれる…。
"知り合い"最強!まさかの助っ人登場?! ネット社会の暴力性や残酷性も体現するように、得体のしれないものの救いで逃げおおせるのか?関係が希薄になっていく中で、誰も解決策を知らず持て余している現代の闇をまさかの手法で取り上げる。後半、芳ばしい意味であっけらかんと面白くなる辺り、流石は黒沢清監督だな〜と思った。そして、そこに込められた意味を自分なりに考え咀嚼しながらエンドロールを迎える…キョトンとする人がいても楽しい。昭和のヤクザ映画・任侠モノなどの銀幕スターみたいな顔になっていく菅田将暉、殺傷度が上がっていく"最恐"から"最強"へ。本作にそれっぽさを期待していた『CURE』から『復讐 THE REVENGE』『蛇の道』みたいな哀川翔よろしくVシネ!
楽か?
商品がそれより心配だ!
登場人物に何も感じない
思いのほかエンターテイメント
黒沢清イヤーを楽しむ
予告やポスターのイメージとはだいぶ違う
この作品は疲れている時に見てはいけません、つまらない訳じゃないがマジで緩急がないから、少し退屈に感じるかもしれません。
個人的なイメージしていたのは、転売ヤーがヘイトを集めた結果襲われてどう終わるのかを期待していたのですが、本編は前半、夢見るリアリティある小金稼ぎ転売ヤー、中盤の家襲撃からの追いかけっこ、後半工場でのガンアクションです
前半の丁寧な底辺生活を描写するのはすごく好きです、謎の繋がりや冒頭から溢れ出るゴミ主人公とクソ女も魅力的です
引っ越してからのホラー映画さながらのイタズラ、襲撃、ここまではすごく良かったです
なぜか湖の近くにある別荘みたいな家で変わらない転売ヤーとバカ女が際立ちます
その後の襲撃も丁寧ですごく面白いです
マスクを被ったアホはよくいる一人だとして、素顔さらしたおっさんたちがガチで襲ってくるのはとても怖かったです、あそこで死闘を繰り広げてたらまだ良かったかもしれません
問題は後半の工場に主人公を拉致って、死に様を配信するという陳腐な展開で、なおかつ急に現れてクビになった謎のアルバイトが助けにくる展開です。
恐らく裏社会の子どもか何かですが、謎の主人公を助ける展開も謎です
一般人が銃を持って戦った場合のリアリティはすごく良かったです、アルバイトくんがほぼ無双してましたが、戦闘描写は邦画や邦ドラマみたいな変な構えや音ではなくめっちゃリアリティのある銃撃戦でした、ここは評価したいです
ただ、この映画はガンアクション映画ではなかったはずです…主人公の中の腕が当たりまくって無双してるのも気持ち悪い、主人公が実はヤクザの元エリートとか設定あるならまだ面白いです
人を殺すときちゃんと数発入れるところや、死に方?倒れ方はバリエーションあって気合が入ってたと思います
正直に主人公の気持ちがよくわからなかったです、転売という小銭稼ぎをして、金にしか目がないクソ女に依存して結婚とかアホな事言ってるし、幸せになりたかったのか、何を目指してたんだろう?
ラスト泣いてるのや抱きしめてる所みるととにかく可哀想な主人公だと思いました、彼女に依存していたのは主人公、哀れという言葉以外見つかりません
あと一つ正直言えば、冒頭の定価40万が3000円で購入して20万という医療機器、後半の定価1万が20万で売れるフィギュア
医療機器の売却を素人にするわけないやろ…どゆこと
20万のフィギュアを見てみたい…等身大フィギュアかな?プレミアついて定価2-3万のフィギュアが10倍になる世界線教えて
転売ヤーを題材にするためならこうでもしないといけないからしょうがないですね
総評はすごく微妙でした、2回目見ることはないでしょうねぇ
銃撃戦だけガチなのでもう一度見てみたいかも
タイトルなし(ネタバレ)
若者に受けの良さそうな豪華俳優と、現代リアリティとしての悪としての物語で、黒沢清らしい、
袋小路へのベールをバンバンめくっていく目眩く物語。最新版、広く観やすい黒沢清映画としてめちゃくちゃに面白く気持ち悪い映画になっていて楽しめた。
あの状態で、商品売れてるか気になってたんだよーってゆう吉井の気持ち悪さとか、妙にリアリティあるし
改めて黒沢監督は俳優の顔撮るの上手いなぁっと思うほど近年で1番、菅田将暉が良い写り方してるし良かった。
佐野君の役者さんは初めて観たけど、底が見えない不気味さが良かった。死神の様な不気味さ。
あと、端役を固めるベテラン勢はさすがだし楽しいし、荒川良々怖すぎて笑った。
岡山天音さんは、小物然とした声の演技とかすごく目をひいた。
どこで人に恨まれてるかわからない
今週はいろいろ見たい作品が公開する中とりあえず先ずはこの作品ってことで鑑賞!
「死に際がなんか良い」
まず三宅を演じる岡山天音さんの頭を撃たれた時の頭の反動感がなんかすごかった…!
撃たれて…バタリ…とかって感じじゃない感じ。
窪田正孝演じる村岡も隙を突かれて銃を奪われてからの情けない慌て感も良かった。
「彼女の秋子が1番嫌」
古川琴音さん演じる彼女の秋子。
どの行動もなんか全部嫌だったわ…
新しい家来て窓ガラス割られてからの「もうこんな生活いや!」みたいなまだ数日しか経ってなさそうだし、そのセリフを言うには早すぎるだろ。
吉井が監禁されてからも「結構ピンチ感じ?」
みたいな確認いらないだろ!
なんかホント全部嫌だった。
そしてそう思えてるってことは、あの人物像の演技としては満点だったんだろうな。素晴らしい演技でした。
「佐野くんが有能すぎる」
人のパソコン勝手に覗いちゃう以外は、有能なアルバイト(一応社員扱い?)の佐野くん。
有能っぷりを発揮し過ぎそうになったところクビになるわけだけど…
結果、命の恩人となる有能な人物。
ただ堅気じゃねぇんだよなぁ…
クビにされてるし、吉井の事恨んでても良さそうなのに…めっちゃ良いやつ。
いや、良いやつではないのかもしれないけど、本作で一番何考えてるのかわからない怖さを持っていた存在だと思う。
きっと吉井は今後の人生で佐野くんを裏切るような事はしないだろう…でも何がきっかけで彼に恨まれるかもわからない怖さはずっと付きまとうんだろうなぁ…
「総括」
強いて言えば、いや強いて言わなくても全員何考えてんねん!って感じの怖さ。
はじめの工場?超音波健康機みたいなところのおっちゃんは恨むのわかるけど、それ以外は大体なんでそうなんのよ!って感じ故に怖い。
窪田正孝演じる村岡もちょっと一瞬だけ上下関係逆転して少し小馬鹿にする態度取られただけなのに…
何より転売で失敗してる奴の恨みとかホント知ったこっちゃないし…
どんなタイミングでどのくらい人に恨まれてるかなんてわからない怖さ、そしてそう言うの含め何を考えているかわからない人の怖さがズンズン積もるような作品でした。
佐野くんだって今は味方だけど、そもそもなんで味方なのかわからないのに有能過ぎて一番怖い。
アングルとかホラーのような恐怖感のある緊張感から、後半は気がつけば銃撃戦でやるかやられるかのハラハラの緊張感になってる作品でした。
ラストは嫌ぁな雲空でしたね。
見たい作品は多いけど見れてなかった黒澤清作品だけど、本作が初めて鑑賞した作品になりました。他の作品も益々見たくなりました!
もしかして「ベイビーわるきゅーれ」をやりたかったのか?
転売ヤーが報復を受けるという話だが、どうしても「自業自得」に思えてしまい、主人公には、共感することも、同情することもできなかった。
自宅の前にネズミの死骸が捨てられていたり、バイクの通り道にワイヤーが張られていたり、バスの後ろの席に不審な男が座っていたりと、前半は、不穏な空気が高まっていく様子を、それなりに楽しむことができる。
一方で、自分の正体がネット上で暴かれそうになっていることを知りながら、何の対策も取らないまま漫然と暮らしていたり、謎の集団に追われている状況下で、仕入れた商品を運び出そうとしたりと、主人公の能天気さにはイライラさせられる。
ネット社会の闇というリアルな社会情勢を描いておきながら、クライマックスが死屍累々の銃撃戦になるという、非現実的な展開にも違和感を抱かざるを得ない。
しかも、ろくな防御姿勢も取らずに無闇やたらと銃を撃ちまくるだけの、ド素人による間の抜けたドンパチが延々と続くだけで、そのお粗末さには唖然としてしまった。
転売で被害を受けた訳でもなさそうなのに、元の職場の上司が、どうして主人公を殺そうとしているのかが謎だし、闇の組織に通じているらしい助手の若者が、どうして主人公を助けるのかもよく分からない。
上司は、妻子を殺したので、警察に捕まる際に主人公を巻き添えにしたかったのかもしれないが、それだと、転売ヤーに恨みを持つネット仲間との繋がりが説明できない。
助手は、ラストで、将来的な「金づる」として主人公を助けたように見えるのだが、単なる転売ヤーがそれほど稼げるものなのかという疑問も残る。
せっかく個性的な俳優を揃えたのに、それぞれの持ち味を活かせていないのも、残念としか言いようがない。
何よりも、悪質な転売ヤーが、ほとんど痛い目にあうこともなく、のうのうと生き残ってしまうという結末には、釈然としないものを感じてしまった。
利口に立ち回っているつもりが不義理や怨みを積み重ねた挙句、群衆的...
利口に立ち回っているつもりが不義理や怨みを積み重ねた挙句、群衆的悪意の対象となってしまう、どこか決定的に欠落した若者を菅田将暉が好演している。だがどうにも、転売屋という現代的なネタが、黒沢清のリアリティ無視の作風とが水と油。転売屋業の解像度が粗すぎて、一種の寓話だと解釈しようにも気が散って、イマイチ話に集中できなかった。ネットの描写も20年前くらいの古めかしさ。古川琴音を使っておいて、あんなステロタイプな色気だけの無能ヒロインにする必要がどこに?サプライズゲスト的な松重豊の登場は嬉しかった。後半の銃撃戦(@いつもの廃工場…特撮の石切り場くらいのノリで舞台になる)は意外に長丁場で見応えあるが、おかしな助っ人に引き回されるのも含め、「蛇の道」セルフリメイク的だ。
観たあと、一人反省会
残念だなぁ、色々と。
一本調子の薄っぺらい脚本。
不安や恐怖の高まりを、無言の主人公の顔のアップの長回しで表現するのは陳腐です。
良々さんが出てきた時点で、”ヤバいヤツ”に豹変する予想が出来るのはミスキャスト(まさかこの人が!と思える俳優にしてほしかった。)
しかも天音くんに説明させてるし。
アシスタントの佐野くんが実は、、って(そんな偶然無いだろうし、命懸けで吉井を助ける義理もない。)
秋子の心理の飛躍も??
15m位の距離から、ガンマンのような早撃ち一発で、秋子の脳天を撃ち抜く佐野くん。なのに、秋子の頭部はきれいなまま。
久しぶりに「観たあと一人反省会」
これで又、日本映画から遠のくかな。
集団心理と依存者
吉井(菅田将暉)は、真面目に働くことに嫌気がさし、副業だった転売にのめり込んでいきます。
転売そのものが悪か、というとそうでもありません。しかし、彼はいつの間にか一線を越えて、偽ブランド販売などに手を染めていってしまいます。
売れていく商品を無表情で眺める吉井に、少なからず異常性を感じました。そこに依存に近いものを感じたからです。
パソコンに向かっている吉井に秋子が声をかける場面が何度かありました。初めは手を止めて彼女に向き合っていましたが、後半は「後にしてくれ!」と怒鳴っていることから、のめり込んでいることが分かりました。
終盤、襲われて殺されそうになっているのに、まだ普通に転売のことを考えているのも異常でしたね。
元の人間、元の日常から少しずつ足を踏み外し、やがて原形を留めない狂気の存在へと変化していく怖さ、またそこに面白さも感じました。
各々の恨みがネット上で集団心理となって急加速、暴走し、いつの間にか吉井を殺害するところまで突き進んでしまったのですが、距離があるように見えて、実は誰でもアクセスできるネット上の話。日常と地続きであるという怖さがあります。
吉井に味方する佐野(奥平大兼)の、吉井に執着する異常性や、秋子(古川琴音)の付かず離れず一貫しない不安定なところも不気味です。
こういう時は、こう考えて、こう動くだろう。がどこにも通用しないのです。
元々は善悪の判断ができたであろう人々が、狂気に駆られ我を忘れていく姿は本当に恐ろしいですね。
職場の滝本(荒川良々)がアパートの前に現れた時は、特にぞっとしました。
そして、毎回思うのですが、今回もやはり菅田将暉さんは天才でした。
表情や表現が吉井という人物にしか見えないのは、演じる役のつかみ方、解釈に天性の勘がはたらくからなのでしょうね。
本当に素晴らしい才能です。
また、奥平大兼くんもすごく良かった。途中から吉井と形勢逆転し、殺しの指南をするほどの力を発揮していくところや、初めの「ちょっと変な子」から「謎の組織のスナイパー」までの振り切り方が素晴らしかったです。
『Chime』でも完全に踏み外した狂気の人物を演じていた吉岡睦雄さん。「せいぜい楽しみましょ〜!!」は異常さ満載で一服の清涼剤といった趣でした。
「あーもう絶対変な人だ!」という逆の安心感(笑)
キャストの皆さん、どの方も不気味で本当に良かったです。何よりも楽しそうに演じておられるようにお見受けしました。
私も俳優だったらこんなおかしくなる役やってみたいですもんね。楽しいでしょうね!
最後に「ここは地獄の入口か?」というセリフがありましたが、「とっくに地獄やぞ…」とお答えしたくなりました。
いや〜面白かったです。
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