Cloud クラウドのレビュー・感想・評価
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「思ってたのと100倍違った」
と見終わった後に近くの観客が話してましたが、まさに同感…
前半はこれよこれ!というスリラー展開だったのに、後半はただのレザボアドッグズ。
序盤の犯人がわからない不気味さがたまらなかったのに、途中からどんどん姿を見せてしまって興醒め…
犯人達が分かったとしても、どれだけの被害や不幸を背負ったのかの描写が無いので全然感情移入できず、ただの逆ギレとしか思えない。
しかし俳優陣の演技は素晴らしく、特に奥平君はリアリティのある演技で菅田さんを食う位でした!
待望の黒沢清の新作なのに大変残念でしたが、俳優陣の熱演により星1つ追加とします
最高でした!
最初から最後まで日常と少し違うような違和感・・・だけどそれは今の現代人を写してる違和感であり、ネット社会であるからこそ起きる恐怖。周りとのコミュニケーションも取れなくなり、誹謗中傷などの書き込みは痛みを伴わずに済むため日常に。いざ集まって行動してみると現実に戻され後戻り出来ない状況に。よく分からず銃を持って戦ってみると、ゲームのように人が死んでいく。ゲームが終わっても現実か夢の中か分からない状態。ふと我にかえると出品していたオークションの様子が気になりチェックする。
この違和感はいつ誰のもとに起こってもおかしくない現実だと思う。面と向かって人と向き合えない社会になってしまった現代に向けたメッセージ的な映画だと思うが、もう遅いか・・・
人間の闇が雲のように広がっていく。 ITは無感情だが、受け止める人間の感情が無くなることはない。
登場人物が全員何考えてるかわからない。
とりわけ主人公はまるで心が無いように淡々と振る舞う。
商品を二束三文で買い叩くときも、職場を辞めるときも、先輩と居るときも。
恋人の前ですら感情の起伏が少ない。
本人にとっては煩わしいだけで無感情に接していても、相手には感情があり傷つけられたことは決して忘れない。
そのことが、本人が感知しないところで徐々に広がっていく。
まるで暗雲が立ち込めていくように。
あるとき気が付く自分が追い詰められているという恐怖。
後半、廃工場での銃撃戦という展開が前作「蛇の道」と同じ。
「ベイビーわるきゅーれ」じゃないけれど、「掃除係」と言う万能の存在が、映画での壮大な殺し合いを可能にしたと思う。
古川琴音のわかりにくい得体のしれない感じ、吉岡睦雄の独特の感じがイイ。
最後、この先に広がる闇の世界へと進んでいく二人、主人公が地獄の入り口に着てしまったという感覚が印象に残る。
黒沢ファン必見
鑑賞動機:黒沢清と菅田将暉で何が起きるか9割。東京テアトルさん1割。
9/27公開作が結構面白く観ることができた。
前半の不穏な感覚や登場人物たちのちょっとした違和感が積み重なっていくところとかゾワゾワする。一人本気出しちゃってる人が混じっていたら集団心理でエスカレートしていってもおかしくないと思っている。
そして佐野くんが有能すぎてむしろコワイ。
エンディングの車外シーンを観て連想したのは『リング』(小説)。地獄の釜の蓋が開いちゃった、というか「一切の希望を捨てよ」とどこかに書いてありそうな。
映し方はとっても良い
悪気がないのが一番の悪
■あらすじ
町工場で働きながら、転売ヤーとして金を稼ぐ、主人公の吉井。
ある日、工場の社長から管理職への昇進を打診されるも、断る。
そして、まとまったお金ができたことをきっかけに退職。
郊外の湖畔の建物を借り、自宅兼職場とし、恋人と暮らし始める。
地元の佐野という若者を雇い、転売業は軌道を乗り始めたが、
周辺で不審な出来事が相次ぐ。
さらには悪気もなく転売によりばらまいた憎悪の種が
次第に狂気へと変化、吉井は狩りゲームの標的となる。
■感想
前半は転売ヤーの仕事っぷり?を実際に目の当たりにしていてわけだが、
まあ、そりゃ手間暇かかりますよね。
そして、売れるかどうかもわからない、不良在庫を抱える可能性、
リスクがたっぷり。
後半は狩りゲーム、そしてドンパチ・・・
人殺しをゲーム感覚でやるところが、恐ろしいところ。
それにしても、そんなに簡単に銃が手に入るのか、おそろしや。
謎が謎のまま、残った点もいくつか。
なぜアパートの電気、消えた?そして、タイミングよく?点いた?
あと、地元のアシスタント佐野、そちらの世界の人ということ?
なぜアシスタント?それになぜ戻ってきた??
工場の社長も意味不明。居留守が理由??
前半はいろいろとミステリアスで面白かったけど、
後半はグダグダ、そして伏線回収しきれずのドンパチ。
がっかりでした。
ラストシーンの雲=Cloudは、何を意味していたのか。
地獄の入り口?転売屋としての?
最後の最後まで、何が言いたい映画だったのか、わからなかった。
不条理ハードボイルド
びっっくりした
【今作はある青年が楽して稼ごうと行った事が、SNSにより繋がったお互いの名も知らぬ人達の心を揺さぶり惹き起こす凶事を描いた作品である。黒沢清監督ならではの乾いた世界観に戦慄する作品でもある。】
■楽して稼ごうと、人の道を外れ転売を繰り返す吉井(菅田将暉)が開いた転売サイト”ラーテル:最強の哺乳類)は着実に利益を上げるが、彼の似非製品を買ったが故に、全てを失った転売屋達や、元勤務先の会社経営者(荒川良々)は吉井を殺すために、お互い素性も知らないのに結託し、壮絶な殺し合いに発展していく。
◆感想<Caution!やや内容に触れています。>
・黒沢清監督の前作「蛇の道」のレビューにも書いたが、黒沢清監督は邦画には稀なる乾性に満ちた作品をオリジナル脚本で製作する極北の作家性を持った監督だと思っている。
海外で言えば、人の道を外れるような作品を作り続けながらも評価が高い、ランス・フォー・トリアー監督や、ミヒャエル・ハネケ監督の風合に近いと思う。
・故に、黒沢清監督作の多くは不穏な雰囲気が漂い、展開は不条理極まりなく、人はモノのように扱われ、何の容赦もなく殺される。
・今作でもそれは同様で、謎多き恋人(古川琴音)だけが吉井の味方と思っていたら簡単に裏切られ、逆に彼が雇ったアルバイト佐野(奥平大兼)が、殺しのプロ組織と繋がっていて吉井を助けるという展開なども実にアイロニックである。
・そこには、日本的な情緒溢れる湿性感は皆無であり、只管に乾き切った殺し合いが展開されるのである。
アイロニックなのは、一番乾いた心を持っていると思われた吉井が、悪意溢れるSNSで繋がった人達に襲撃される時の表情である。
”ラーテル:最強の哺乳類”という転売サイトを立ち上げながら、恐れおののき逃げまわり、自身の身に起きた理由も分からない姿からは、”楽して、人の痛みを感じる事無く、金を稼ぐ。”ことに対して全く無自覚な吉井の人間性に対しての、強烈なる揶揄が感じられるのである。
それは、彼によって全てを失い自暴自棄になった彼を殺そうと襲って来た人たちにも言える事であるが・・。
<今作は、”最強の哺乳類”が楽して稼ごうと行った事が、SNSにより繋がったお互いの名も知らない人達の心を揺さぶり惹き起こす凶事をアイロニックに描いた作品である。
そして、黒沢清監督ならではの乾いた世界観に戦慄する作品でもあるのである。>
どちらが主役かはっきりしない作品
アカデミー賞外国語映画賞日本代表に選ばれた
作品で菅田将暉、黒沢清監督なら見逃せない作品と思い鑑賞。
ハラハラドキドキ感は満載だし、テーマが転売も興味深い作品。
ただ、菅田将暉演じた吉井と奥平大輝が演じた佐野はどちらが主役かはっきりしなかった作品。それだけ奥平大輝の演技が見事。
ちょっと期待外れだった作品でもある。
アカデミー賞外国語映画賞のノミネートは残念ながら厳しいと見る。
最近の日本人は皆んな銃を持ってるの?
菅田将暉演じる吉井良介は、町工場で働きながら、転売屋をやっていた。ちょっとちょっと!転売ってそんなに儲かるの?しかもあっという間に。そこそこ儲かると判断している吉井は会社を辞めて古川琴音演じる彼女の秋子と田舎の賃貸一軒家に引っ越す。安っ!あら、アシスタントを雇うって、どんだけ儲かってんのよ。吉井は商品を安く買って、サイトで売っている。えっ!そんなに高くしても売れるの?オークションなら、まだ分かるけどね。吉井のハンドルネームはラーテル、何で哺乳類の名前なんだろね。ん?販売中のバッグが偽ブランド品だとサイトで指摘される。本人は知らないと言う。それ、怪しすぎ。でも値下げしたら売れるてか。
怪しいと思っていたら、寝室に事件発生。それから始まる、殺し合い。何で皆んな銃を持ってんのよ。持ってるだけで犯罪だぞ。中盤までは吉井と秋子の行動が楽しかったんだけど、後半は大嫌いな殺し合い。殺しに来るなんて納得できず、逆に正当防衛なら相手を殺してもいいの?信じられない。
何より楽しかったのは、秋子が吉井を、りょうちゃんと呼んでたこと。自分は普段から自宅でりょうちゃんと呼ばれているので、ずっと琴音ちゃんに呼ばれてる気がしたのよ。最後はまさかの展開だったね。秋子の気持ちずっと分からなかったわ。中盤までソコソコ楽しめました。
一流の役者と三流の脚本
悪いことしちゃいけません
低評価もチラホラ。どんな感じかなと思いながら映画館へ。まあ面白かったけどモヤモヤ。
途中まで、転売ヤーへの警告ムービーか…なんて思いながら見てた。
20万を30個売ると…て見ながら頭の中が算数モードに。笑。
荒川良々が普通の上司のままなわけないよね。
でも何故に吉井(菅田君)にあんなに執着するのか。
みんな銃はどこから調達したのか。
ポンコツな人たち、殺しにまで発展、そんなん想像してなくて巻き込まれた感じ?だからか怖くない銃撃戦だった。
菅田将暉が後半から弱めだったし、秋子はよくわからなかった。
理不尽な世界の話ともちょっと違うけど?
松重さんはあれだけで、佐野君(奥平君)は一体何者、そっち系の大物なんだろうなという想像だけが残る。
動機の不明が最大の恐怖
主人公・吉井(菅田将暉)のハンドル名「ラーテル」は陸上生物最強と呼ばれるイタチ科の動物の名前から。あんまりストーリーと絡まない由来。
よく分からなかったのが、
①会社社長の滝本からの昇格の誘いを断り、自宅に来た滝本に対して居留守を使ったから、主人公にむかついてライフル銃で撃つ?そこまで恨むか?社長やぞ?
②主人公は転売屋の仕事に佐野っていうこま遣いを雇うんだけど、解雇。その後解雇された佐野は実はヤクザか何かの孫?で、大した理由もなく何故か主人公を助けに来て、主人公に恨みがある奴らを殺しまくる。動機が不明過ぎる。金ではないし、、、
③主人公の彼女が、主人公を殺そうとする動機が全く無い。もし金目当てなら短絡過ぎる。
とにかく佐野が謎過ぎる。佐野が一番怖いわ。
佐野くーん!
気づかずに人を傷つけ恨みをかうのは怖いですね・・・
転売屋の吉井くんは、あるあるの男性です。良いものを安く叩き購入し
10倍以上の金額でネット販売する。人の弱みに付け込んでも全く罪悪感を
感じない少し氷の心のようです。しかしネットで商品を検索したり販売
したりする時の目はある意味”行っちゃってます”その目は凶器に見えます。
レビューでは色々言ってますが、私はドンパチもやけくそな軍団も面白かったです。
佐野くんの善良そうなのですが、実はサイコっぽい演技に直ちにファンになりました。
パートナーを助ける優しい心と他人が死んだんでしょ、じゃいいじゃんと言う悪魔!
余談ですが、ハンドルネームのラーテルは私の大好きな最強の哺乳類。毒蛇に噛まれ
一瞬失神はするが直ぐに解毒しちゃうのです。体皮がゴムみたいにクネクネしていて
噛んでも歯が上手く刺さらないとの事。タヌキ位小さいのあっぱれ!
お金の無駄
あまり深く考えず、頭をからっぽにし、ドンパチの奔流に身をまかせるのが吉
『黒沢清』のフィルモグラフィーを確認すれば、
ドラマ性の強い作品が続いたのちに、
暴力に彩られた一本が突如として撮られていることに気づく。
まるで普段は理性で抑え込んでいる残虐性が
突然発露するように。
ここ十年なら
〔クリーピー 偽りの隣人(2016年)〕
〔蛇の道(2024年)〕
がそれにあたるか(後者はリメイクだが)。
そして本作は前作に続き暴力に彩られた一本。
多少のご都合主義は全て脇に置き、
無慈悲な描写を堪能すべき。
『吉井良介(菅田将暉)』は転売ヤー。
ネット上の情報に注意を払い「セドリ」をし、
利ザヤをコツコツ稼ぐよりも、
弱みに付け込んで良品を買い叩き高額で売ったり、
出所不明な商品を扱ったりと、
そのやり口はかなり怪しい。
が、本人は商品そのものには何の興味を持たず、
いかに高く売り抜けるかだけを考える。
そうした手口は当然周囲にも軋轢を生むし
買われた側、売られた側からも恨みを持たれ
それが次第に澱のように沈殿していく。
重低音のような落ち着かない感覚は全編に付き纏い、
挟み込まれる薄気味の悪いエピソードが積み重なり、
クライマックスで爆発する。
モノに対する関心は薄く、
金に強く執着する『吉井』だが
意外にも恋人の『秋子(古川琴音)』にはゾッコン。
気まぐれで我儘な彼女に寛容な態度で接し、
それが終局のシーンの慟哭に繋がる。
圧巻は全編の1/4ほどの尺を占める撃ち合いのシークエンス。
それもたった一人のプロを除き、
残り七人ほどは全て素人という驚愕の設定。
機械が多く置かれている場所でも、
跳弾など気にせずにばんばんと発砲しまくる。
その節操の無さが
独特の緊張感と迫力を生むのは逆転の発想か。
面白い。
タイトルの「クラウド」には
雲、群衆、曖昧模糊、陰鬱などと複数の意味があるが、
本作には何れもが当てはまりそう。
とりわけ、登場人物のほぼほぼが
死んだ魚のような目をしているのは象徴的。
曇った瞳には、いったい何が見えていたのだろうか。
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