Cloud クラウドのレビュー・感想・評価
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全部、黒沢清のせいにしよう
友人2人と観終わった後、通夜が始まった。正確に言えば、映画館をそそくさと後にして、コンビニで缶ビールを買い、広場で何を観させられたかを話し始めた。もちろんその話し合いが、何かひとつの解決をもたらしたわけではない。映画で起こったことを話せば話すほど、物語が綻んでくる。一貫性が崩壊する。枝葉のように別の出来事が浮かんでくる。全くもってすっきりしない。
友達や恋人、家族など誰かと一緒に観に行った人は最悪の映画体験だと思う。
菅田将輝や古川琴音、岡山天音、窪田正孝など役者陣は遜色ない。シネコンで上映されるわけだから、変なアート映画ではなく楽しめる(はず)。ヴェネチア国際映画祭に正式出品されたり、アカデミー賞の日本代表にもなっているのだから評価も高い。さらにあの黒沢清(?)である。誰かとみるには最高の好条件である。
なのに、なんで…?私の隣にいたカップルよ。映画に誘ったパートナーを責めないでほしい。パートナーは何も悪くない。悪いのは全部、黒沢清だ。どうか吉井と秋子の顛末にはならないでくれよ…
そう思いたいし、現に思ってもいるのだが、ふと気づく。このように最悪な映画体験を全て黒沢清のせいにしようとする他責化と暴力は、本作で吉井を殺そうとした彼らと全く同じであると。それなら本作は私たちとは別世界に生きる狂人の物語では決してない。どこまでいっても私たちの話である。
今回、私は友人に本を貸していて、その本が返されるタイミングでもあった。タイトルは『眼がスクリーンになるときゼロから読むドゥルーズ『シネマ』』。その時、岡山天音演じる三宅のようなテンションで、「これはドゥルーズ」と思った。資本主義と分裂症。それが重要概念に違いない。
転売ヤーの実態は現代の資本主義経済の様相。彼らの破綻しているかにみえるキャラクターは分裂症。そして分裂症を患っている私達が結合される/できるバディ制度/世界。その世界と私たち、可能性を描いたと思うと、私は本作が最高に思えてくる。何よりその世界がバウマンが提唱した「リキッド・モダニティ」から、「クラウド・ポスト・ポスト・モダニティ」ー仮の名付けであるがーだと思うと感動さえ覚える。その先を描いてくれた!と。
本稿ではこれ以上、ドゥルーズには立ち入らない。代わりになぜ本作が最悪の映画体験になってしまうのか、そしてその要因をまず「娯楽で観に行ったのに労働を強いられる点」だとして考えていきたい。だって映画体験を最悪のままで終わらせたくはないでしょ。
以下、ネタバレを含みます。
私たちは本作を鑑賞する上で、「労働」をしなければならない。より正確に言えば強度な労働を強いられる場面が多い。
冒頭では、吉井が町工場の夫妻に健康器具の転売を持ちかけている。そして平井は破格の買値を提示して、9万円を台に置く。次のショットは何かと言えば、平井が車に健康器具の入った段ボールを積んでいるショットである。この二つのショットの連なりをみて、私たちは夫妻がその買値を受け入れて、取引が成立し、平井が買った商品を運んでいることが分かる。
だがそれが分かるのは私たちが二つのショットを想像力でつなぐ労働を行っているからだ。本来であれば、夫妻が受け入れるかどうかの葛藤のショットやお札を手に持つショット、平井に取引成立を伝えるショットがあってもいいはずである。けれど本作ではそれらの中間がカットされている。だから、私たちの想像力で代わりに補わなければならない。
私たちはどんな映画に関わらずこの労働を強いられてはいる。1カットで撮られていない限り、登場人物が会話をしていたり、動作が一連になるように想像力で繋がないといけないからだ。ただし鑑賞者の労働の強度が高ければ、素朴な娯楽としては受け入れられないし、だからこそ分かりやすい描写やカットの配置がされている。
けれど本作は容赦がない。大胆な省略・圧縮・欠如があるから、労働の負荷が高い。常に想像を駆り立てなければならない。だから労働を放棄していると物語からすぐにこぼれ落ちるし、寝てなんかいたら問答無用で訳が分からなくなる。そんな重労働を強いられるから、デートで本作をみたら最悪なのである。もちろん映画で高度な労働を強いることの良し悪しをここでは評価しない。けれど本作はそのような映画ではある。
そう考えるとキャラクターの荒唐無稽さと物語の崩壊具合も理解はできる。
一番意味がよく分からないのはアシスタントである。彼は吉井が群馬の片田舎に引っ越したときに、在庫整理などのために雇われた青年である。東京でうだつが上がらなかったのも納得な、賢そうでも器用でもなさそうな彼。けれど実は殺し屋集団(?)の一員で素晴らしい殺しの持ち主なんて意味が分からないじゃないですか。もちろんそんな伏線が本作に準備されているわけもなくカットされている。さらにその前に、吉井に無断でパソコンを使用したことを理由に解雇されており、私怨があるのだから吉井をアシストするなんて絶対にあり得ない。
けれど本作では繋がっている。私たちも繋ぐように想像しなければならない。するとその繋ぎが、全くあり得ないことでもないと分かってくる。
だって、私たちは「JK刀」に熱狂できる。「JK刀」って何?女子高校生と刀が繋がれる正当性なんて全くない。人物が戦うに当たって制服なんて機能性に欠けている。まあ、そんなリアルさなんてものはどうでもよくて、単なる萌え可愛いで私たちは受け入れることができる。まさしく「JK」と「刀」という記号の戯れ。この戯れが実生活や資本主義体制の実体経済さえ覆い尽くしてしまったのが現代であり、それは動物化するポストモダンと地続きの世界でもある。
吉井の生活だってそうだ。彼は手に職をもって工場で働いている。しかし彼は工場の労働で得られる賃金より、本物か偽物か分からないものを転売していたほうが短時間で圧倒的に稼げる。しかも彼は商品の写真を撮って、ネットでアップロードだけすればいい。労働の度合いは全くもって低い。彼の実労働と貯金残高は乖離して、実際の生活と生計の立て方も全く違う。
それなら、私たちが分裂してしまうのも仕方がないのではないだろうか。吉井が工場にいるときと家にいるときではキャラクターが違う。秋子といるときも違う。けれどその違いを受け入れて、一人の吉井として繋げることはできる。
そして私たちが吉井の分裂している様に眼差しを向けるように、他人が本当はどんな人なのかなんて究極のところは全く分からないのだ。それはアシスタントのように極端ではないかもしれない。けれど吉井を殺そうとする彼らのバラバラさと彼ら個人としてのバラバラさのようには全くあり得る。そして彼らのように分裂した〈私〉は分裂したまま他人と繋がってしまっている。
では私たちは他人を殺すといった暴力や吉井と先輩のように転売といった犯罪に近い行為でしか繋がれないのか。否、それが吉井とアシスタントのバディ関係であろう。
アシスタントが吉井を助ける正当な根拠は欠けている。その正当さを虚偽に語っているわけでもない。けれど、その可能性は全く否定できないし、現に彼らは銃撃戦という危機を乗り越えて、生き延びている。私も明確な根拠はもってはいない。けれどそれでいいと想像できる。私たちは常に損得勘定を計算して他人と繋がっているわけではない。「アシスタントだから」という言表だけで他人を助けることはできる。
私たちは荒唐無稽に繋がれる。リキッド・モダニティがさらにインターネットで蒸発し、雲のように地上を漂うしかない社会のなかで、それでも繋がれる。本作はその雲を不穏で終わらせているが、私は思いがけない他人との繋がりを肯定的な可能性として捉えたい。
私の隣にいたカップルよ。なぜ付き合っているの?本当に相手のことを分かっているの?本当は金づるとか浮気関係とか殺し屋パートナーかなんて知る由もない。けれど本作をみた私は彼らの繋がりを想像はできる。そして「好きだから」だけで全くよいと思えるし、最高な関係だとも思う。
できればネットに漂う本稿を読んで、最悪な鑑賞経験を覆してほしいと思う。けれどそれは「ありえなそう」だし、そもそも最悪なことを二人で経験できたのは一生の思い出だろうからすでに最高なのだ。最後に、繰り返しになるがどうかパートナーに銃口だけは向けないでほしい。そして黒沢清のせいで、最高だったと思ってくれたら嬉しい。それが赤の他人である私の願いだ。
怖い😱怖い怖い😱こわ〜い映画です。でも、誰にでもありえるかもしれない日常の中の恐怖の話。
大好きな菅田くん主演の映画🎬
もちろん、前のめりで映画館へ。
2時間たっぷり菅田将暉さま💕
はい、もうそれだけで星5確定👍
としたくなるところを、グッと我慢して映画として評価いたしました。
誰にでも簡単に副業をはじめられる昨今において、とってもあるあるなお話。妖怪幽霊いらっしゃいのいわゆるホラー映画とは違う、生身の人間が巻き起こす想像しうる身近な恐怖であるため、観ている私たちは逃げ場がなくなり少し苦しくなります。
工場の社長滝本を荒川良々さんが、まさかの豹変ぶりで快演。えっ、冒頭あんなにいい人やったやん…。いい人の豹変ほど怖いものはありません😱世の中一番怒らせてはいけない人は、このタイプの人かもしれません。
転売業に誘う先輩村岡を窪田正孝さんが好演。まさにいるいるこんなアカン先輩そのもので、関わりたくない人ナンバーワンです。
菅田くん扮する主人公吉井の謎多き恋人秋子を演じるのは、最近あらゆるドラマや映画に引っ張りだこの古川琴音さん。いい人も悪い人もニュートラルに演じられる今一番注目の女優さんですね。ラストにやらかしてくれます😱
ネットカフェで生活する男三宅を演じたのは、確かな演技力と不思議な魅力で同業者からも支持され、これまた大人気の岡山天音さん。観ているものが一番普通に感情移入できたのは、もしかしたらこの三宅なのかもしれません。
そして、最後に吉井が雇う青年佐野を演じた奥平大兼さん。彼も最近とても人気の俳優さんです。一番理解不能なもしかしたら一番怖い😱人だったかもしれません。
この映画を観たあなた
どの登場人物に一番恐怖を感じましたか?
「楽して儲けたい」
「人より少し優位に立ちたい」
ちょっと待って!
その考え、少し怖い未来が待っているかもしれませんよ!!
星が4なかったのは、
後半どんぱちの銃撃戦がやや多かった気がしたからです。確かな演技力の役者さんが、こんなに揃っていたのに、なんだか勿体無い気がいたしました。でも、好きな役者さんたちの演技がたっぷり観られたので、心の中では星5つです🤩
黒沢清監督は我々とは違う視点で世界を見ることができるのではないか。
菅田将暉さんが演じる主人公が転売で大金を手にし、都会のアパートから湖の畔の新居へ引っ越してから物語世界は、まるで野心に燃える貧しい青年の恋と転落を描いた1950年代の人間ドラマのような、「ダーティハリー」などの70年代のバイオレンス・アクションのようなテイストを帯びます。
すると、緑の多い美しい風景の中で、古川琴音さん演じる恋人との甘い新生活がスタートすると思いきや、当時のアメリカ映画を見ている者は、湖で何かが起きるのではないか、恋人との関係性が豹変するのではないかと邪推してしまうでしょう。
さらに集団の狂気がピークに達する後半のクライマックスも、主人公の勤務先だった会社社長を演じた荒川良々さんがカウボーイか盗賊団の首領に見えてきて、まるで乾いた西部劇のような様相を呈するのです。
黒沢清監督が70歳を前にして、本作は「どうしてもやりたいことを割と素直に実現できた、その最たるものかもしれない」と述べており、映画史への造詣の深さも堪能することができる、破壊と混沌の映画となっています。
黒沢清監督作品にしては“黒さ”が足りない
中堅・若手のメジャー俳優を多数揃えた豪華な座組ではある。それぞれが役に入り込んで熱演しているが、菅田将暉や窪田正孝らスターたちにはどことなく“陽”のオーラが残っているというか、かつて黒沢組常連だった役所広司や西島秀俊が漂わせる底知れぬ闇がじわじわと背景をもどす黒く侵蝕していくような、要所要所でフレームを支配するダークさが足りない気がするのだ。
2020年の「MOTHER マザー」でデビューした奥平大兼は今や超売れっ子で(2023年の映画出演作は4本、2024年は本作含め3本)、主人公の吉井に雇われる佐野の得体のしれない存在感がいい。黒沢監督作との相性が良いように思うので、今後も起用されることを期待する。
スタイリッシュさとは対極にある終盤の撃ち合いのシークエンスは、素人が銃器を持ったらこんな感じだろうなというのが伝わってきて、あの野暮ったさや、彼らがあっさり撃ち殺される無常感が個人的にはよかった。あのアクション演出にはもちろん賛否あるとは思うが。
出ている人は豪華。
ただただやばいやつたちが勢揃いしてました。
サイコパスだらけです。
一番最初にヤバさを感じたアシスタントに助けられますが、アシスタントもちゃんとサイコパスです。
ただの転売屋が最後には人殺しになってしまいます。
正当防衛にはなる形ですが、なんか結局最後までスッキリしない映画でした。
一体あのアシスタントがなんだったのかもわからないです。
地元の後輩の怯え方も異常だったのでアシスタントが相当やばいとはわかりました。
彼女もお金しか目当てじゃなかったのも、主人公が頼れる人はもうアシスタントしかいなくなってしまったような終わり方でした。
最後の方は撃ち合いばかりで荒野行動見ている気分でした。
んーーー。
警告映画なのかと思ってた
劇場で見逃していたので、配信を待ってました。
ある意味社会問題になっている「転売」への問題提起かと思っていましたが、そうではなかった。
菅田将暉演じる主人公が心から笑顔になるのは、転売商品が高値で売れた時、その時だけ。怖っ。
その笑顔が一番怖かったです。
後半は、北野映画!?と脳内バグするくらいの銃撃戦で気持ちが置いてけぼりになりました。
…ロッカーの前に立つ時は気をつけよう…。
良くも悪くも黒沢清監督映画。
黒沢清監督、菅田将暉主演、窪田正孝、荒川良々、古川琴音…ととても期待して観ました。
前半は良くできていてサスペンスっぽいところもあり面白かったです。
SNSで炎上し住所まで晒されて不審な人が家にやってきたりするのはとてもリアルで恐かったです。
後半は評価が分かれるところだと思う。
犯人たちの動機や背景が描かれず何故そこまでするのかに説得力がないです。
ただ派手にバンバン銃で撃ちまくるのが好きな人には面白いのかも知れない。
でも私には違和感しか無かったです。日本では一般人は簡単に銃を入手出来ないしあんな銃撃戦は起こらないです。
アシスタント君が主人公の味方をした理由の説明もなかった。突然首にされたのに恨むこともなく命がけで助けるかなあ?
犯人たちもアシスタントも何故そうするのかが描かれてないから彼らの行動に違和感しか無い。動機や理由の説明があればリアルティが増すと思う。
脚本をもう少し書き込めばもっと面白い映画になるのに惜しいと思う。
フレー厶の抜群さ
不思議な展開
転売ヤーの実態に切り込んだストーリーを期待していたせいか、転売屋の闇や核心に殆ど触れることなく 後半の銃撃戦に突入したように感じた。復讐、嫉妬、自分の意のままに操りたい、憂さ晴らし、暇つぶし、変質者・・・ネットを通じて無関係な者たちが集まり“悪”を成敗するために悪行を働くという話は理解できなくもないのだけれど、主人公も敵役も抜けている面がどうしても目についてしまった。PCや商品の管理をはじめ 色々杜撰すぎて危機感が感じられないというか。
結局のところ、転売ヤーは正義で強者なのか。悪なのか。それとも、邪魔者扱いされながらも日々を生き抜く雑草のような存在として描きたかったのか。視聴者の興味がありそうな題材として祀り上げられた単なる犠牲者か。
とは言え、豪華なキャスト陣のパワーもあって面白いは面白い。得体の知れぬ 恐怖感はあった。
ただ、私的には 青少年にはあまりお薦めしたくない内容だった。暴力や殺し合いがあっても 教訓を得られるような物語だったら まだ良かったなと思う。
エンターティーメントとして
何故か評価されていて、ファンも多いので言いにくいですが
はじめに言っておきます。
俺は黒沢清監督が嫌いだ!
監督作品を観て良かったと思った事が一度もない!
過大評価されている一人だと思ってる。
思わせ振り監督とも思ってる。
ファンの皆様ごめんなさい。
正直、話の内容的には酷い!破綻している!
ツッコミどころも多々ある。
なんでを佐野がコイツのところを選んでバイトに応募してきたのか?
なんでコイツが働いていた工場の社長や
町工場の社長に恨みを買ってるのかが不明
町工場の社長なんて、安く買い取られただけだし、
おの値段で嫌なら売らなければいいだけの話だし
ただの逆恨みでしかない。
なんで見られたくないPCにパスワード設定してないの??
PCを無断で見たのがバレてグビにされた佐野が、
なんで助けに来るの??
なんでコイツにこんなに忠誠的なの??
しかも組織って何?そんな組織に入ってるような人がバイトに来る??
組織に入ってたプロのはずなのに、二度も命の危機に合う。しかも素人相手に!
急に恋人が最後に命を狙ってくるし
行き当たりばったりで、後付け設定したとしか思えない脚本
後は個々に考察して、といった感じだが、実は何も考えてない。
こうやって思わせ振りにしておけばイイと思ってる
でも、そういう事を気にしなければ、
今回は普通にエンターティーメントとして楽しめた。
エンターティーメントとしては暗いけどね(苦笑)
軽薄…
何だこれ?転売ヤーという仕事は冒頭分かったけど、途中からホラー?オカルト?サスペンス?なのかと疑いだしながらも、吉井を狙う何者かがいることが分かる。分かってからはだるだるな素人の殺し屋達との追いかけっこが始まる。アシスタント佐野の玄人ぶりも不明だし、その使命も不明。そもそも転売ヤーが命を狙われるまでに恨みを買うのが想像できず。狙われる側、狙う側とも感情が薄く、全く共感できず、夢オチかと思うほど、よく分からなかった。
ネット社会の匿名の闇があっという間にドンパチ映画に転落するガッカリ映画
黒沢清映画はM・ナイト・シャマラン作品に似ている。毎回、何が始まるんだという期待感で始まり、意外な展開にワクワクさせられ、そしてそのまま見事に裏切られ、あっという間に転落していくガッカリ感が、実によく似ていると思う。
今回は転売ヤーたちを主人公に、匿名でネット社会にたかる犯罪スレスレの人々、リアル社会に対する彼らのズレた価値観、それに対し被害者たちや正義を気取る者たち、さらに単なる鬱憤晴らしをしたがっているだけの人々がやはり匿名の仮面の下、ネットで群がってきて、中世の魔女狩りよろしく主人公を襲う有様までは、大変興味深い。
ところが、その後は黒沢映画お得意の退屈極まるドンパチ映画に一変し、あーあ、またまた『蛇の道』の繰り返しかとウンザリさせられるのである。ネット社会に巣くう者の悪事とか、その後ろめたさとか、彼らを襲う匿名で無関係な者たちの心の闇とかは、その時点で全部消え去ってしまう。やれやれ、これもガッカリ映画の代表作ではあったw
役者さんオファー受ける時、内容確認しなかったのか!?
自宅レイトショー『クラウド』#Amazonプライムビデオ
公開時に菅田将暉主演で転売ヤーの話って事で気になってましたが・・・
レビュー見てスルーしてまましたが、早々にアマプラで観れたので鑑賞
しかしこの作品の出演者がヤバイくらい豪華!!
序盤は面白い感じでしたが、中盤から何を見せれられてんだ状態@@
役者さんオファー受ける時、内容確認しなかったのか!?
今回の出演者で別の作品撮って欲しい
カメオ役者が1番印象的というね
この脚本でよく映画を撮ろうと思ったね。そして監督には誰も何も言えない。という環境で出来上がった作品なんだろう。おまえらはこんな感じが好きなんやろ?ほれ。今ビビったんちゃう?というような、観客を小馬鹿にして作ったのは明らかだ。劇中の音楽は皆無で観る側への心理誘導もなく淡々と進み、非現実な絵空事を積みに積み重ねて整合性をまるで無視した物語の中の薄っぺらい人物像を自分達なりに消化して演じた才能ある役者達が気の毒になった。んで急に銃撃戦?この監督ファブルとかみてないのかね?刑事ドラマでもやらんようなダサいガンプレイだし。まぁ監督の脳が80年代あたりで止まっているんだろうね。
カメオ出演した松重さんが唯一この映画の世界観の中で奥行きのある人物像を醸し出していた。さすがだ。そこしか良いところはない。実は監督、内心は佐野くん主演のヒットマン映画が撮りたかったんだろうな。彼だけやけにカッコよく撮っているからすぐわかる。まぁクソ映画に変わりはないけど。
不気味が残る
職人技
黒澤清とジャンル映画の距離感が面白かった。
湖畔の屋敷といえばサスペンスもの。停電したり不気味な人影はホラーもの。銃でバンバン人が死ぬのは西部劇かアクションもの、そしてラストはやくざもの。
ジャンル映画には観客と監督との間に約束のような暗黙の了解があるから、観客は安心して楽しめる。
ジャンル映画特有のマジックによって、観客はこの時ばかりと単調な日常生活から逃れ、スクリーンの映像とストーリーを満喫するのだ。
面白い映画は、こうしたジャンル映画にその時々の社会状況やテーマを織り交ぜて巻き直すことで、観客に新鮮な感覚を与える。
本作も、転売ヤー、闇サイト、嫉妬やマウント、晒し上げ、無敵の人などなど、現代の問題をきちんと切り取りつつ、無意識な悪が絶対的な悪の手中に落ちる奇妙な物語を提示してくれた。
ショットとショットのつなぎなんか最高にワクワクしたし、銃の音とか、闇バイトが落ち合うレトロなゲームセンターとか、随所に職人技を感じた。
ラストは空飛ぶ車であちらの世界(地獄)に行ってしまった主人公。〝Cure〟でも役所広司が空飛ぶバスであちら側へ行ってたよね。
黒澤清らしさで締めてくれたのがまた安心感があって最高だった。
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