Cloud クラウドのレビュー・感想・評価
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全部、黒沢清のせいにしよう
友人2人と観終わった後、通夜が始まった。正確に言えば、映画館をそそくさと後にして、コンビニで缶ビールを買い、広場で何を観させられたかを話し始めた。もちろんその話し合いが、何かひとつの解決をもたらしたわけではない。映画で起こったことを話せば話すほど、物語が綻んでくる。一貫性が崩壊する。枝葉のように別の出来事が浮かんでくる。全くもってすっきりしない。
友達や恋人、家族など誰かと一緒に観に行った人は最悪の映画体験だと思う。
菅田将輝や古川琴音、岡山天音、窪田正孝など役者陣は遜色ない。シネコンで上映されるわけだから、変なアート映画ではなく楽しめる(はず)。ヴェネチア国際映画祭に正式出品されたり、アカデミー賞の日本代表にもなっているのだから評価も高い。さらにあの黒沢清(?)である。誰かとみるには最高の好条件である。
なのに、なんで…?私の隣にいたカップルよ。映画に誘ったパートナーを責めないでほしい。パートナーは何も悪くない。悪いのは全部、黒沢清だ。どうか吉井と秋子の顛末にはならないでくれよ…
そう思いたいし、現に思ってもいるのだが、ふと気づく。このように最悪な映画体験を全て黒沢清のせいにしようとする他責化と暴力は、本作で吉井を殺そうとした彼らと全く同じであると。それなら本作は私たちとは別世界に生きる狂人の物語では決してない。どこまでいっても私たちの話である。
今回、私は友人に本を貸していて、その本が返されるタイミングでもあった。タイトルは『眼がスクリーンになるときゼロから読むドゥルーズ『シネマ』』。その時、岡山天音演じる三宅のようなテンションで、「これはドゥルーズ」と思った。資本主義と分裂症。それが重要概念に違いない。
転売ヤーの実態は現代の資本主義経済の様相。彼らの破綻しているかにみえるキャラクターは分裂症。そして分裂症を患っている私達が結合される/できるバディ制度/世界。その世界と私たち、可能性を描いたと思うと、私は本作が最高に思えてくる。何よりその世界がバウマンが提唱した「リキッド・モダニティ」から、「クラウド・ポスト・ポスト・モダニティ」ー仮の名付けであるがーだと思うと感動さえ覚える。その先を描いてくれた!と。
本稿ではこれ以上、ドゥルーズには立ち入らない。代わりになぜ本作が最悪の映画体験になってしまうのか、そしてその要因をまず「娯楽で観に行ったのに労働を強いられる点」だとして考えていきたい。だって映画体験を最悪のままで終わらせたくはないでしょ。
以下、ネタバレを含みます。
私たちは本作を鑑賞する上で、「労働」をしなければならない。より正確に言えば強度な労働を強いられる場面が多い。
冒頭では、吉井が町工場の夫妻に健康器具の転売を持ちかけている。そして平井は破格の買値を提示して、9万円を台に置く。次のショットは何かと言えば、平井が車に健康器具の入った段ボールを積んでいるショットである。この二つのショットの連なりをみて、私たちは夫妻がその買値を受け入れて、取引が成立し、平井が買った商品を運んでいることが分かる。
だがそれが分かるのは私たちが二つのショットを想像力でつなぐ労働を行っているからだ。本来であれば、夫妻が受け入れるかどうかの葛藤のショットやお札を手に持つショット、平井に取引成立を伝えるショットがあってもいいはずである。けれど本作ではそれらの中間がカットされている。だから、私たちの想像力で代わりに補わなければならない。
私たちはどんな映画に関わらずこの労働を強いられてはいる。1カットで撮られていない限り、登場人物が会話をしていたり、動作が一連になるように想像力で繋がないといけないからだ。ただし鑑賞者の労働の強度が高ければ、素朴な娯楽としては受け入れられないし、だからこそ分かりやすい描写やカットの配置がされている。
けれど本作は容赦がない。大胆な省略・圧縮・欠如があるから、労働の負荷が高い。常に想像を駆り立てなければならない。だから労働を放棄していると物語からすぐにこぼれ落ちるし、寝てなんかいたら問答無用で訳が分からなくなる。そんな重労働を強いられるから、デートで本作をみたら最悪なのである。もちろん映画で高度な労働を強いることの良し悪しをここでは評価しない。けれど本作はそのような映画ではある。
そう考えるとキャラクターの荒唐無稽さと物語の崩壊具合も理解はできる。
一番意味がよく分からないのはアシスタントである。彼は吉井が群馬の片田舎に引っ越したときに、在庫整理などのために雇われた青年である。東京でうだつが上がらなかったのも納得な、賢そうでも器用でもなさそうな彼。けれど実は殺し屋集団(?)の一員で素晴らしい殺しの持ち主なんて意味が分からないじゃないですか。もちろんそんな伏線が本作に準備されているわけもなくカットされている。さらにその前に、吉井に無断でパソコンを使用したことを理由に解雇されており、私怨があるのだから吉井をアシストするなんて絶対にあり得ない。
けれど本作では繋がっている。私たちも繋ぐように想像しなければならない。するとその繋ぎが、全くあり得ないことでもないと分かってくる。
だって、私たちは「JK刀」に熱狂できる。「JK刀」って何?女子高校生と刀が繋がれる正当性なんて全くない。人物が戦うに当たって制服なんて機能性に欠けている。まあ、そんなリアルさなんてものはどうでもよくて、単なる萌え可愛いで私たちは受け入れることができる。まさしく「JK」と「刀」という記号の戯れ。この戯れが実生活や資本主義体制の実体経済さえ覆い尽くしてしまったのが現代であり、それは動物化するポストモダンと地続きの世界でもある。
吉井の生活だってそうだ。彼は手に職をもって工場で働いている。しかし彼は工場の労働で得られる賃金より、本物か偽物か分からないものを転売していたほうが短時間で圧倒的に稼げる。しかも彼は商品の写真を撮って、ネットでアップロードだけすればいい。労働の度合いは全くもって低い。彼の実労働と貯金残高は乖離して、実際の生活と生計の立て方も全く違う。
それなら、私たちが分裂してしまうのも仕方がないのではないだろうか。吉井が工場にいるときと家にいるときではキャラクターが違う。秋子といるときも違う。けれどその違いを受け入れて、一人の吉井として繋げることはできる。
そして私たちが吉井の分裂している様に眼差しを向けるように、他人が本当はどんな人なのかなんて究極のところは全く分からないのだ。それはアシスタントのように極端ではないかもしれない。けれど吉井を殺そうとする彼らのバラバラさと彼ら個人としてのバラバラさのようには全くあり得る。そして彼らのように分裂した〈私〉は分裂したまま他人と繋がってしまっている。
では私たちは他人を殺すといった暴力や吉井と先輩のように転売といった犯罪に近い行為でしか繋がれないのか。否、それが吉井とアシスタントのバディ関係であろう。
アシスタントが吉井を助ける正当な根拠は欠けている。その正当さを虚偽に語っているわけでもない。けれど、その可能性は全く否定できないし、現に彼らは銃撃戦という危機を乗り越えて、生き延びている。私も明確な根拠はもってはいない。けれどそれでいいと想像できる。私たちは常に損得勘定を計算して他人と繋がっているわけではない。「アシスタントだから」という言表だけで他人を助けることはできる。
私たちは荒唐無稽に繋がれる。リキッド・モダニティがさらにインターネットで蒸発し、雲のように地上を漂うしかない社会のなかで、それでも繋がれる。本作はその雲を不穏で終わらせているが、私は思いがけない他人との繋がりを肯定的な可能性として捉えたい。
私の隣にいたカップルよ。なぜ付き合っているの?本当に相手のことを分かっているの?本当は金づるとか浮気関係とか殺し屋パートナーかなんて知る由もない。けれど本作をみた私は彼らの繋がりを想像はできる。そして「好きだから」だけで全くよいと思えるし、最高な関係だとも思う。
できればネットに漂う本稿を読んで、最悪な鑑賞経験を覆してほしいと思う。けれどそれは「ありえなそう」だし、そもそも最悪なことを二人で経験できたのは一生の思い出だろうからすでに最高なのだ。最後に、繰り返しになるがどうかパートナーに銃口だけは向けないでほしい。そして黒沢清のせいで、最高だったと思ってくれたら嬉しい。それが赤の他人である私の願いだ。
怖い😱怖い怖い😱こわ〜い映画です。でも、誰にでもありえるかもしれない日常の中の恐怖の話。
大好きな菅田くん主演の映画🎬
もちろん、前のめりで映画館へ。
2時間たっぷり菅田将暉さま💕
はい、もうそれだけで星5確定👍
としたくなるところを、グッと我慢して映画として評価いたしました。
誰にでも簡単に副業をはじめられる昨今において、とってもあるあるなお話。妖怪幽霊いらっしゃいのいわゆるホラー映画とは違う、生身の人間が巻き起こす想像しうる身近な恐怖であるため、観ている私たちは逃げ場がなくなり少し苦しくなります。
工場の社長滝本を荒川良々さんが、まさかの豹変ぶりで快演。えっ、冒頭あんなにいい人やったやん…。いい人の豹変ほど怖いものはありません😱世の中一番怒らせてはいけない人は、このタイプの人かもしれません。
転売業に誘う先輩村岡を窪田正孝さんが好演。まさにいるいるこんなアカン先輩そのもので、関わりたくない人ナンバーワンです。
菅田くん扮する主人公吉井の謎多き恋人秋子を演じるのは、最近あらゆるドラマや映画に引っ張りだこの古川琴音さん。いい人も悪い人もニュートラルに演じられる今一番注目の女優さんですね。ラストにやらかしてくれます😱
ネットカフェで生活する男三宅を演じたのは、確かな演技力と不思議な魅力で同業者からも支持され、これまた大人気の岡山天音さん。観ているものが一番普通に感情移入できたのは、もしかしたらこの三宅なのかもしれません。
そして、最後に吉井が雇う青年佐野を演じた奥平大兼さん。彼も最近とても人気の俳優さんです。一番理解不能なもしかしたら一番怖い😱人だったかもしれません。
この映画を観たあなた
どの登場人物に一番恐怖を感じましたか?
「楽して儲けたい」
「人より少し優位に立ちたい」
ちょっと待って!
その考え、少し怖い未来が待っているかもしれませんよ!!
星が4なかったのは、
後半どんぱちの銃撃戦がやや多かった気がしたからです。確かな演技力の役者さんが、こんなに揃っていたのに、なんだか勿体無い気がいたしました。でも、好きな役者さんたちの演技がたっぷり観られたので、心の中では星5つです🤩
黒沢清監督は我々とは違う視点で世界を見ることができるのではないか。
菅田将暉さんが演じる主人公が転売で大金を手にし、都会のアパートから湖の畔の新居へ引っ越してから物語世界は、まるで野心に燃える貧しい青年の恋と転落を描いた1950年代の人間ドラマのような、「ダーティハリー」などの70年代のバイオレンス・アクションのようなテイストを帯びます。
すると、緑の多い美しい風景の中で、古川琴音さん演じる恋人との甘い新生活がスタートすると思いきや、当時のアメリカ映画を見ている者は、湖で何かが起きるのではないか、恋人との関係性が豹変するのではないかと邪推してしまうでしょう。
さらに集団の狂気がピークに達する後半のクライマックスも、主人公の勤務先だった会社社長を演じた荒川良々さんがカウボーイか盗賊団の首領に見えてきて、まるで乾いた西部劇のような様相を呈するのです。
黒沢清監督が70歳を前にして、本作は「どうしてもやりたいことを割と素直に実現できた、その最たるものかもしれない」と述べており、映画史への造詣の深さも堪能することができる、破壊と混沌の映画となっています。
黒沢清監督作品にしては“黒さ”が足りない
中堅・若手のメジャー俳優を多数揃えた豪華な座組ではある。それぞれが役に入り込んで熱演しているが、菅田将暉や窪田正孝らスターたちにはどことなく“陽”のオーラが残っているというか、かつて黒沢組常連だった役所広司や西島秀俊が漂わせる底知れぬ闇がじわじわと背景をもどす黒く侵蝕していくような、要所要所でフレームを支配するダークさが足りない気がするのだ。
2020年の「MOTHER マザー」でデビューした奥平大兼は今や超売れっ子で(2023年の映画出演作は4本、2024年は本作含め3本)、主人公の吉井に雇われる佐野の得体のしれない存在感がいい。黒沢監督作との相性が良いように思うので、今後も起用されることを期待する。
スタイリッシュさとは対極にある終盤の撃ち合いのシークエンスは、素人が銃器を持ったらこんな感じだろうなというのが伝わってきて、あの野暮ったさや、彼らがあっさり撃ち殺される無常感が個人的にはよかった。あのアクション演出にはもちろん賛否あるとは思うが。
悪い夢でも見てるのかと思った
コンクリートの打ちっぱなし
黒沢清監督はバツグンにいいショットを撮れる人なのだけれど、逆に言えばその一点突破型の人でもある。つまり、アクが強くて観る人を選ぶのだ。
私も以前は黒澤監督を苦手だと思い、一時は「もう観ない監督」のレッテルを貼った。
しかし同監督の「CURE」を観て、そのあまりの面白さに少し考えを変えることになった。
巷で評判の悪い本作は、かなり期待して観ることになった。なぜならば、評判が悪いということは「CURE」のような娯楽性はなくとも、全開に突き抜けているに違いないと思ったからだ。
私が黒澤監督に求めるものは突き抜け感のみなのだ。
やはりというべきか、物語のほうはある程度目茶苦茶なのである。表面に見えている物語は、だが。
内に潜む物語のほうはしっかりしている。
それを表現するような、ディストピア風で寂れた温かみのないショットの連続は面白さしかない。
ほとんどの画が金属とコンクリートで、その中で生きるキャラクターにはある意味で生すら感じない。荒廃した生き物のいない世界で動いている者たちとは何なのかと考える。
そしてそれは、映画用に極端に表現されてはいるものの、現代に生きる一部の人と重なってしまう恐ろしさ。
この作品のわけが分からないって?。私には現実でも大して変わらない、わけの分からなさを感じる。
菅田将暉演じる吉井はサイコパスだ。いかなる状況でも自分のこと(彼の場合は出品物が売れたかどうか)しか考えていない。ハッキリいってヤバいヤツだ。
しかし物語が進むにつれ、吉井はまともな方にみえてくるくらいヤバい人だらけになっていく。
吉井がまともに見えるって相当おかしいよね。でもそうなる。つまりそれくらいこの作品は目茶苦茶だったわけだ。そしてそれが最高なのである。
吉井の新居、コンクリートの打ちっぱなしで倉庫のようだ。それだけでも観た価値ある。
批評家絶賛や黒沢清印で“名作”。転売の如く
『散歩する侵略者』『スパイの妻』などは好きだが、その他の作品はあまり性に合わず、セルフリメイク版『蛇の道』がつまらなくて、不信感募る黒沢清監督。
本作は米アカデミー国際長編映画日本代表に選出。キネ旬でも第4位。
これだけ見れば高い評価を受けたようではあるが…、きな臭さが。
一般客やレビューは今一つ…。
やっぱりね。いつもながらの玄人好み。
一般客は置いてきぼり、自身や批評家筋や熱狂的ファンにしか良さが分からない不可解黒沢ワールド。
工場勤めの青年が裏稼業の転売で独立し、さらなる成功と一攫千金を目論むが…。
転売業を通じてSNSの落とし穴を描く現代社会ならでの社会派サスペンスだったらもっと興味惹かれただろうに…。
黒沢清が描くのは、ありきたりな転売業やSNSの恐怖ではなく、人の業。
主人公から拡がる憎悪や集団狂気。
不穏。不可解な恐怖。成功夢見た新たなスタートがあっという間に崩壊していく…。
主人公・吉井が人の反感を買う様は度々あった。
工場社長から仕事ぶりが評価され、昇進の話が持ち掛けられるも、あっさり断り退職。
転売業の先輩からもパートナーとして儲け話を持ち掛けられるも、断る。
開幕シーン。とある業者から罵られようとも、商品を安く買い取る。(そしてそれを高額で転売)
郊外の湖畔に自宅兼仕事場を購入して恋人と共に引っ越し。稼ぎに没頭し、いつしか飽和状態。
東京から来たってだけで地元の若者から嫌がらせを受け、警察や宅配から不審。
アシスタントとして地元の青年を一人雇い、よく働くが、パソコンを勝手にいじったってだけで一方的に解雇。
人の感情など全く意に介さず。自分や金儲けの事しか考えていない。人から恨まれるのも自業自得…。
そんな主人公に天罰…いやいや、周りの連中こそもっとヤバかった。
おそらく先輩が発起人。SNSを通じて吉井へ恨みを持つ者たちを集める。
騙された業者は分かるが、何の面識や接点もナシ、日々の鬱憤をただ晴らしたい愚かな連中も。
最も恐怖なのは、工場社長。温和そうな人かと思ったら、妻子を殺したサイコパス。荒川良々が“悪々”に。
人の憎悪や暗部の恐ろしさを無情に描いてはいるのだが…、まさかこれを“リアル”と言うまい。
出てくる人皆、クズやゲスばかり。誰一人として感情移入など出来ない。
終盤はそんな連中の殺し合い。
何か、ただ意味も無く、バカ連中のドンパチ撃ち合い。
転売業とか人の業とかではなく、ただドンパチアクションやりたかっただけ…?
菅田将暉他キャストは熱演や怪演を見せるが、それも空回り。滑稽に見えてくる。
古川琴音が華添えかと思いきや、実は強か…!
儲け役は“スーパーアシスタント”の奥平大兼かもしれない。銃の扱いに長け、何処かの組織と繋がり、一体君は誰なのさ?
セルフリメイク『蛇の道』よりかはマシ。全然見れる。
だけど、何と言うか…。何を描きたかったんだか…。
転売業やSNSの恐ろしさ…? 人の恐ろしさ…? 地獄の入口…?
ハァ? はっきり言って中身ナシ。
これで名演出…? オリジナリティーある脚本…? 斬新な視点…?
これがキネ旬4位…? 米アカデミー日本代表…?
基準って何なのよ?
『侍タイムスリッパー』に笑い泣きし、『あんのこと』に衝撃を受けた自分は幼稚なの…?
こんな中身ナシの凡作を賞賛しないといけないの…?
批評家絶賛や黒沢清印で売れば高く評価される。劇中の転売の如く。
お偉そうな批評家どもも過大評価されてる黒沢清も大概にせぇよ!
転売ヤーは人間のクズと再認識
黒沢監督の作品は「Cure」と、前田敦子さんの作品(タイトル忘れた)は面白かったと記憶してますが、後は、その作家性と言うか世界観がしっくりこなくて(恐竜でてくるやつとか?)、さすが世界の巨匠で芸大の教授だけのことはありますが、わたしには白ける作品が多いです。評価する方々がたくさんいることも分かってはいます。
今作は、良かった方です。
あの程度の憎悪で徒党を組んで、拳銃持って、仮を返しに来ますかね?そこまで転売ヤーはクズ人間と言うことなんでしょうか。
アクション、平凡で長いです。日本なんだから拳銃は止めましょう。
ポスターを初見した時、主演は山田孝之さんかと思いました。古川琴音が良かったです。ラストのあの怒った顔、中々出来ません。
みんなが狂っている
面白い。けど低評価なのもわかる
奇妙で不気味な雰囲気にワクワクしたし、いつも通り世界破滅を示唆して終わったし、全体的に楽しく観れた。少し残念だったのは描写のいくつかが、面白みよりも唐突感が勝ってしまったこと。ツッコミ所と言ってもいい。そこが引っかかる人はそりゃ低評価になるだろうなという感じ。あと銃撃戦が長過ぎる。黒沢清にアクションは求めてないということはハッキリした。
追記
cloud=雲=蜘蛛の糸ってこと?って急に気づいた。ダジャレかよとは思いつつ、もし現代版「蜘蛛の糸」なのだとしたら長過ぎる銃撃戦も意味が出てくる。地獄の亡者達が雲から差す細い糸を取り合い、足を引っ張りあっていたわけだ。劇中で「ラーテルを中心に憎悪が噴き出てる。雲のように」というセリフがあったので、その雲ですら救いではないのだろう。ご丁寧に「ここは地獄か」とラストで言っていたのはそういうことだったのか。となると佐野は蜘蛛ってこと?
確かに「東京で上手くいかなくて無職だったんで雇ってもらえて助かりました」的なことを冒頭で言ってたけど。あれが蜘蛛を救ったってことなのか。恩返しで守ってくれたってことね。ふーん。
じゃあラーテルってなんだ?哺乳類最強?とか言ってたけど、これだけ意味が分からない。
もしかして続編を意識してるとか?吉井が最強の殺し屋になるみたいな?
さすがにオレ達の清はそんなバタ臭いことはしないか。
追記の追記
ラーテル=哺乳類最強=搾取構造の頂点を目指せと佐野は言ってたのか。なるほどねー。途中でプラットフォームを作るとか先輩が言ってたのは、それの暗示ね。
あースッキリした。
でも別に考察がしたくて映画観てるわけじゃないんだけど。ドラマを作れや。
現代日本のネット社会における闇
現代日本のネット社会における闇をギュッと集約して寓話的に描いた作品。
前半はどこにでもありそうなありふれた日常の中で繰り返されるちょっとした悪意や他人に対する無関心が描かれ、後半のハンティングが始まると非日常的な展開になる。ただ、標的になる吉井だけではなく、追う側のメンバーたちも追い詰められていく様子は、ほんの出来心で始めた闇バイトでも一度足を踏み込むと蟻地獄のようにどんどん深みにはまって決して抜けられなくなるような状況を暗示しているようにも見える。
既に言い古された感は否めないが、匿名に隠れた集団意識の暴走への対処法は、結局、たとえ時間がかかっても、対面によるコミュニケーションの機会を増やすことで築く信頼関係の輪を広げていくしかないような気がする。
これぞまさに、ザ・黒沢清ワールド。
顔がわからないもの同士の憎悪が現実的世界へ
吉井がネット社会の中で転売を繰り返し、いつしか現実世界へ憎悪が染み出して行く。
偽物捕まされたり、ネット上の取引ではリスクがあるだろうなと想像はできる。信頼して任せようと思った人に裏切られたと思うことも、想像できる。
それが顔も素性も知らない者同士がひとつの目的=吉井への復讐のために集まり実行する。
佐野のアシストで吉井は助かるが、直後からネットで商品が売れたのか確認する。
こういう末路なんだと納得はできるけど、感情移入できる人物がいない。佐野はなぜ吉井のアシスタントをしたいと思わせるのかナゾ。吉井に心酔するだけの人間性がかんじられなかったので、ただ利用するつもりなのか。
この先をあれこれちょっと想像してみる。
MOTHERの奥平大兼くん見たさに視聴しました(^^;;
久しぶりにエンドロールを全く見ずに映画館を出ました
捨てる者と、それを拾う者……。
転売屋もラクじゃない――。
いや、そもそも転売屋なんてやるもんじゃない――と、みんなにそう思わせるような始まり。
でも、映画を観ているうちに……いやいや、自分だって紙一重じゃないか? どんなにうまく行ってる安全な暮らしをしていても、今の時代は何が起きるかわからないんだぞ。自分がどこでどう転落していくかわからないんだから。
……今観ている主人公の吉井の姿は、未来の自分かもしれないのだ。
世の中での「成功者」だなんて全然言えない状態の自分だからこそ、映画を見ていてそんな思いさえ抱いてしまう。
それに、転売屋も知恵だ。
零細企業の工場主が気づかない売り方を知っている。工場主が売れないと思っていても、実は売り方(要は世間の騙し方)を知ってさえいれば、製品は売れるのだ。売り方を知らない者が損をして、赤字状態の経営危機から抜け出す打開策を見つけられないまま、破滅していくのだ。
まさに薄ら寒い弱肉強食の社会が描かれていくのかと思うと、実はそうでもない。
売り方のうまい主人公の吉井自身も、実は転売を成立させるために手間暇かけて働き、時間外労働なんてのも惜しまずに、よく働き、汗を流す。なんでそんなに働くのかというくらいに働く。あなたって働くのが好きなの? それとも転売が趣味なの? まさか生き甲斐なの?
でも、ああ……やっぱりお金なんだよね?
銀行通帳に貯まった残高を観て、ホッとするような、心の中でヤッタぞと言ってるような顔をすることで、吉井も底辺から抜け出したい青年のひとりなんだなと……同時に僕のような人間も紙一重なんだなと、やはり思ってしまう。
転売という世間に嫌われがちな行為以外は、彼は真面目に働いている。
昼間は工場で働き、副業でチマチマと小銭を稼ぐための転売程度にしておけば良かったのに、徐々に踏み外してしまう。
その理由は、やはり女の存在だった……。
贅沢な暮らしに憧れる彼女への見栄――そしてそんな女を幸せにしてやりたいという、男が誰しも持ってしまう落とし穴に吉井は自ら嵌まっていくのだ(笑)。
女がもうちょっとマトモな性格だったら、吉井も幸せになれたんだろうけど、自分本位で、交際する相手を幸せにしたいと思うような女ではなく、ただ流されるままに生きていて、なかなか本音を出さないという女だから、吉井が「彼女はこういう女なんだろう」と思い込むことで、微妙な誤解というかズレを保ったまま付き合いはかろうじて続いていく……。
しかし吉井は「彼女を幸せにしたいから」という欲と見栄によって、今の生活より2段階上のステージに移行してしまう。
佐野君という助手も雇い、湖のほとりにある白い一軒家へ引っ越して、よせばいいのに手広く転売屋を始めちゃうのだ。
でも、それで貯金をかなり使ってしまったせいか、ちょっと危ない商品の転売にも手を出してしまうようになる。これが吉井をピンチに追い込む。
ネットで「悪者」を探し回る正義マンたちに吉井は見つかって、ターゲットにされてしまうのだ。
便利だけど、ネットは誹謗中傷などの問題も起こす……。
彼ら「悪を正したがる正義マン」に見つかってしまうと、どうなるか――ここから物語は、ネットの恐ろしさへと移り変わっていく。
でも、逆にここで面白いのは吉井の鈍感ぶりだ。
意識して気をつけていないと、ネットでの自分の悪評に気づかないという長所なのか短所なのかわからない微妙なズレが、やはりまたここでも現われる。
よくネットで誹謗中傷された人が、追いつめられて自害を選択するという悲惨なケースもあるが――そういうのって、自分の悪評を覗かなければ、気にしなければいいと言われる。そうすれば、すべては対岸の火事になってしまうからと、吉井を通じてネットと現実の差を見せつけられてしまい……そうだよな、見ちゃうからダメなんだよなと、あらためて気づかされてしまう。
でも、やっぱり僕は見ちゃうけどね……(苦笑)。
さて。吉井の「他人からどう見られているかを気にしない」という鈍感さは、吉井の心が傷つくといったピンチからは救うが、一方で別のピンチも招いてしまう。
ネット上の見えないところで蠢き出すのが、正義マン以上に怖い連中だ。
過去の転売で吉井に恨みを持つ者、吉井のことが好きすぎてストーカー的に追ってしまう男、ただ社会的に許せない奴を、実際に自分の手で懲らしめたい実力行使主義の男……いわば底辺で、どこにも自分の行き場所がなくて、もはや破滅的で、もう後に戻れなくなっている「さまよえる死体」のような連中だ。
彼らは、もう社会では半ば死んでると言っていい状態で、本人たちも「いつ死んでもいい」と考えてる刹那主義者とも言える。
ネットは闇バイトもそうだけど、常識が飛んでしまった連中とも繋がっているという怖さがある。その怖さが、平然と表に出てくる。
これが描かれだすと、急に映画が加速しだす。
まず佐野君が吉井がネットで叩かれだしているのに気づき、雇い主に注意したほうがいいと警告するも、吉井は我関せずと言った感じで気にする様子もない。ただ、今の転売がうまく行くかだけに興味を注ぎ、それは一種、取り憑かれてしまってるかのようだ……。
さて、ここから先の展開を具体的に書くとネタバレになってしまうから、やめておいたほうがいいのだけど。
でも……自分が本当に書きたい感想は、後半のここにこそ多くあるので、これ以降は曖昧で抽象的な書き方になってしまうことをお許しいただきたい。
……現実とは、こんなものかもしれないな……。
後半に突入するにつれ、僕はそう思った。
この世の中、何が起きるかわからない。
気をつけていても、不幸はやってくるし、自分が他人にどう思われているかなんてのもわからない。
吉井は、きっと他人にどう思われてるかなんて気にしないように生きるのが正解だと思っていたのだろうし、他人に深く関わらなければ、それで波風は立たず安全なんだろうと思っていたはず。僕も性格的にそういうところがあるからわかる。他人が怖いし、わずらわしい。出来れば深く関わり合いたくない。だけども、そういうわけにも行かない……だから、その矛盾で苦しむ。
そうやって自分の意識を殺して、殺して、無感情、無表情となっていくうちに、完成したのが吉井だとしたら、その生き方をまっとう出来ていることに嫉妬した連中が、それを否定するために集まってくるみたいな、なんだか聖書の一文に書かれてありそうな神話に似た物語性を感じた。
つまり、人類の歴史的に全然変わらない人間の愚かな行いを見せられているような気がしていたのだ。
だからクライマックスは危機感あふれる場面を愉しみながらも、どこか人の愚かさ、切なさを感じざるを得ない……。
人は何かに取り憑かれて、逃れられない何かと闘いながら生きてるんじゃないかって。
ラスト……吉井は人生で、何を信じていたんだろう?
幸せにしたいと思っていたはずの女は、結局は幻だったのだろうか。
今まで吉井は、彼女の何を見てきたのか?
もしかすると吉井の周りにあったもの、すべては現実のものではなく、虚構だったのかもしれない……。
そして、佐野君だけがホンモノだったのかも。
嘘っぽさに覆われた佐野君こそが現実で、自分が現実だと信じてきたものは虚構だったのか……。
だけど、吉井の帰る場所は、やはり転売だったのか。
あれほどの出来事に巻き込まれたのに、吉井は転売の売れ行きのほうを気にする。
周りの人物がどれだけ虚構だったとしても、転売だけは、自分の手で触れて、買って、商品を運搬して、製品写真を撮るためにカメラのシャッターを自分で押して、ネットで公開して、じっと株の値上がりを待つかのようにネットでの売れ行きを見守り続ける……その自らが直接手をかけた仕事の数々だけは、すべてホンモノの触感があり、自分がやったことのすべてだと実感を持てるものだから。
最後に佐野君は、吉井にこう言う。
「転売を続けてください。あとのことはオレがやりますから。そうすれば、のぞむものを手に入れられますよ……」
このとき、僕は佐野君が――神のような存在に思えてしまった。
神様が人間界に来て、興味を持った人間に何かを与えたいと思った。自分はもう何もかも手に入れてしまってるから、欲がまるでない。だから逆に与える側になりたい……。
そう言ってるかに聞こえてしまった。
そして、それを暗示させるかのように――事件現場から帰る2人の車から見える空は、どこか現実ではない不気味でサイケデリックな色を輝かせていた……。
いかに現代の日本社会でリアルに銃撃戦を描くか
ちょっと楽しい映画でした。私にとって。
世間的には、「現代社会に潜む“集団狂気”描くサスペンス・スリラー」なんて言われているけど、私には、いかに現代の日本社会でリアルに銃撃戦を描くか、ということを黒沢監督はやりたかったように思えた。それは半分ぐらい成功している。その辺りが見ていて楽しかった。
まあ90年代の「Vシネマ」をバージョンアップしたような映画でした。
理屈の部分もそれなりにできている(ネット社会の転売文化の怖さを描いている)。だが多分監督本人は、それほど深刻に考えてない。程々に観客がその恐怖感をリアルに感じられればそれでよかったのでは?と思う。ただこの理屈部分をしっかり描かないとこの銃撃戦やアクションシーンが成立しない。いわば、アクション映画の土台(建物の基礎工事のようなもの)でこれがしっかりできていないと肝心のアクションがつまらなくなる。
その辺が映画という媒体の面白さですね。アクションシーンだけの映画のつまらなさ。アクションシーンがいかによくできていても。
映画自体は、ペキンパーの「わらの犬」の影響や、フランス映画っぽい雰囲気もあり、この点も好みだった。
ラストは、まるで「わらの犬」を思わせる。このラストがいい。
最近の黒沢清の映画は、私好み。前作の「蛇の道」も。
昔の「カリスマ」なんかは、???だった。「リアル 完全なる首長竜の日」も?だった。
古いのではやはりアクションものというか刑事ものスリラーの「CURE」は良かったけど。
黒沢清のアクション映画の良さは、銃の扱い方(今どきの「ジョン・ウイック」風の扱い方ではなく、60年代〜70年代前半の頃のアラン・ドロンやスティーブ・マックイーンのそれを思い出す)。今回も、乾いた甲高い銃声で、撃ち方もそっけなくてリアルな感じがよかった。
出来としては 3.5
好みとしては 4.5
うーん。モヤモヤ感が残る
簡単にお金を稼げたことで青年の欲望が高まる。
その欲望の拍車が禍々しい人々を惹きつける。
そして後半に掛けて出てくる裏切られた人々。
その怒りは分かるがその行動はかなり飛躍したものとなる点はホラーを感じる。
けどその要素だけかと思えば、唐突な殺し屋が出てきて場を一掃するアクションがあるなど、この作品に含まれる要素がとても多く何に重きは置いてるか分からなくモヤモヤ感が残る作品だった。
なんだこれ?
いや気付くだろって、
そうはならんやろって、
ツッコミどころ満載
所々コメディかと思って笑っちゃった
俳優さんの無駄遣い過ぎる
台詞が台詞言ってます感はあえてなの?
古川琴音と菅田将暉なんて最高のコンビのはずなのに
ドラマとかPVの方がいい演技してたわ
カット割なのかなんなのか…わからんけど
演技してます感がえぐい
ストーリー自体もまったく納得できなかった
古川琴音が露出多めの格好で
ボディクリーム塗るシーンもみたくなかったあ
演者さんみんな上手いのにもったいない
奥平くんが可愛いかったのでなんとか最後まで見た
ライオンの隠れ家を前日に見終わったところだったので
岡山天音くんの別人ぶりもさすがでした!!!
まじで最後まで意味わかんなかった〜〜〜
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