「なんだか入り込めなかった作品でした。」かくしごと ごはんさんの映画レビュー(感想・評価)
なんだか入り込めなかった作品でした。
なんかどの人物にも感情移入というか、寄り添えなくて、話は面白い気がするのに終始入り込めない作品だった。
「千紗子(杏)と地元の友人」
この2人が起こす交通事故から話は動き出す感じだけど、発言とか行動とかどっちの主張に従ってもやってる事やばいのよ…
「あの子の事考えてよ」とか「自分のことしか考えてなかった」とか「それとこれとは別」とかそういう事じゃないと思うのよ…
なんかすごく引いてしまって、そこから全然作品に入り込めなくなってしまった気がする…
「千紗子の探偵ごっこ」
宿泊履歴から男の子の両親のこと探って、わざわざ偽のNPO団体名乗って家を訪ね、さらに近辺住民の聞き取りまでしてんの、ドン引き…
宿泊履歴とか探るように公務員である友人に頼むのもどうかと思うわ…
歪んだ正義心というか…
訪ねて行った先の女の子を抱えたまま酒飲んでる父親の様子もなかなかショック。
お酒の缶女の子に持たせて、口つけててもなんも関心ない感じだったし。
演出で口につけるように指導したのか、子役の子がたまたまそうしたのかわからないけど、それが普通みたいな異常性が伝わりすぎるシーンだった。
「町医者がいい感じ」
町医者の人柄が良い感じでした!
千紗子の父と同い年っぽいけど、元気で明るく気さくで、釣りのシーンでもきっと本来なら釣りなんて静かにやるもんだろうけど、子供とワイワイやってる感じとかすごく良かった。あんな人になっていきたい!
「面会のシーン」
友人のほうの飲酒運転からのひき逃げなんかなかった事になってないか?どのツラ下げて面会してんのよ…と思ってしまいなんだかなぁ…
「かくしごと」
なんとなくはじめからそういう事かなとは思ってたけど、予想どおりの話が出てくるラストでした。ただ事故直後目覚めた時から男の子がかくしごとを始めたのであれば頭の回転早すぎる気がするし、畑の帰りの思い出してきた的な話のところから本当の事思い出したけど今の生活に乗っかる事にしたのか?
そのあたりは不明。
男の子が何をどこまで語ったのかはわからないので、そもそもの交通事故の事とかどうなってんの??そこ話されたら急に傍聴席の友人もやべぇってなるわけでしょ??
そしてラストの空撮シーンは現実なのか、理想の映像なのか?これも男の子が何をどう語ったのかで変わる気がする。
良い余白と考えるかは人それぞれだし、なんでも白黒つけりゃいいってことでもないけど、個人的にはなんだかもやっと感ある感じ。
「認知症の父」
認知症の演技はいつ見ても大抵の作品でハラハラさせられる。
その特性上、年齢の高い、結果的にベテラン俳優が演じることが多い気がするので、その演技力は間違いない感じ。
認知症だけどふと出てくる本音とかのシーンに弱いんだよなぁ…
あと本作ではみんなで粘土に色つけてるシーンがよかったなぁ。
それまで仏頂面だったり、怒ってるような感じだったのに最高の笑顔だった気がする!
本作、原題は嘘らしいが「かくしごと」というのがぴったりだなぁと思う内容だったとは思うけど、そもそもの出だしがいやいや、とんでもねぇな…ってところで気持ちが離脱してしまったのが残念。
全員演技とか素晴らしかったと思うんだけどなぁ…
千紗子のまっすぐな人感(やってる事向かってる方向が間違っていても)が話を加速させてる感じがなんだか皮肉的でもあった気がする。