「あんたはオペラ座って顔じゃない」ネネ エトワールに憧れて ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
あんたはオペラ座って顔じゃない
女子バレエものだとジェンダーをテーマにする作品が目に付くように思うが、本作は白黒はっきりさせる系(爆)。だが、内容的にははっきりしないところがいろいろあってモヤる。
バレエ団の権威的伝統と時代の多様性とのせめぎ合いの間にいる労働者階級の黒人ネネの、挑戦と葛藤、栄光みたいなものを描きたいのかもしらんが、そもそも彼女は自信過剰で、肝心のバレエが素人目にも他の生徒に比べて優れているようには見えないため(メガネっ子のほうが全然キレがよい)、被差別的・逆境的立場から実力でエトワールに挑むだけの説得力を欠いている。
マリアンヌ先生がネネを疎外する気持ちも掴みづらく、カラコン入れてまで隠していた出自がバレ、美しい顔に傷を負ってようやく自らの過ちに気づくなんて、いい歳してどんだけ精神性が低いんだよ。生徒がシューズにうんこ入れるとか並じゃない嫌がらせも含め、宝塚を例に出すまでもなく、狭い世界で生きてるとこういう人格になるのかと暗い気分。
ラストにネネが白鳥の湖を踊るシーンがくるかと思いきやそれもなく、エンドロールではヒップホップがかかったりして、結局本作は、差別と権威まみれのクラシックバレエなんかより自由で新鮮なストリートダンスの方がイケてる!みたいな話だったのだろうか…。
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