「君にいいわけしたねー」バティモン5 望まれざる者 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
君にいいわけしたねー
『レ・ミゼラブル』と同じように、
安易に分断の善悪を分けない、
考える選択肢を与えるシナリオ。
ブラズの気持ちはわかる、
だが、
自分ならどういうスタンスを取るだろう。
立場が意見を作る。
自由な立場からは自由な意見、
市長は市を経営する立場でもある、
なので、
市長としての考え、
意見に基づいて政策を実行する。
ブラズのセリフ
「ひとを侮辱し続けるとどうなるか、思い知らせてやる」
ブラズの手を最後まで離さないラジ・リ、
ブラズが受けた心の傷を、
カサブタにするのも、
そのまま血を流し続けるのも、
無かったことにするのも、
観客の関心領域だ。
メディアのニュースでは犯罪者として報道されるのだろう。
以下、
『レ・ミゼラブル』鑑賞当時の感想。
→
『ぼくらの7日間戦争』風に観るか、
『デトロイト』や『シティ・オブ・ゴッド』風に観るか、
その岐路にある@フランス、@世界中、
というように観客に選択肢を与えるように優しく描いてある。
ゴム弾を子どもに命中させて、
オロオロするオトナたち。
子どもたちにとっては、
めんどくさいホウキは折る、
うるさいチリトリは壊す、
オトナなんてその辺に転がってるホウキやチリトリと変わらない。
なぜなら、ゴミ以下の扱いを受けている、
または、いたから。
そんな子どもたちもオトナになると、
髪を切って、もう若くないさと言い訳をしたのは、昭和のはなし。
時計じかけのオレンジのディムは警察官、
ワンダラーズのテラーは海兵隊、
ガキ帝国のポパイは機動隊、
三島と一緒に900番教室にいた奴らも、
多くはサラリーマン。
物理的受け皿と、
精神的寛容さがあった。
ノスタルジーで語るのではなく、
捨てちゃいけなかった事を、
サルベージしよう。
クニ全体がもう若くないさと、
言い訳をしても、
対岸の火事はすでに足元まできている。
君も観るだろうか、
いちご白書を、
君も唄うだろうか、
レ・ミゼラブルを。