「〈幼い少女の心の描き方と隠された社会問題の対比がグッとくる〉」クレオの夏休み スクラさんの映画レビュー(感想・評価)
〈幼い少女の心の描き方と隠された社会問題の対比がグッとくる〉
7/12(金)から公開の映画『クレオの夏休み』
6歳の少女クレオとアフリカ出身のナニー(乳母)・グロリアの関係性を描いた約1時間半の映画。
少女とナニーの実の母娘のような愛情深い関係の描き方だけでも観ていて心が惹かれるのに、そこにフランスとアフリカの経済格差による問題がそっと隠されてるところが映画をより魅力的にしている。
ある日、電話一本でパリから故郷に帰ることになったグロリア。ずっと続くかのように思われたクレオとグロリアの関係は一瞬にして変わってしまった。
グロリアを追いかけて、夏休みに彼女の故郷を訪れたクレオは、関係性の変化を少しずつ感じ取っていく。
変わってしまった関係と変わらないといけない少女の心の描き方がとにかくエモーショナル!
少女と乳母の関係を描くだけかと思いきや、それプラス経済格差による社会問題も垣間見える。
グロリアは故郷に実の子どもを置いてパリでナニーとして働いていた。彼女の実の子がクレオを見る目は、けっして親しみに溢れたものではなかった…。自分の子どもを置いて、国を越えて働きに出ないといけない経済状況が特段の説明もなく織り込まれてるのがこの映画の深いところだと思う。
でも、この経済格差によるグロリアの出稼ぎ理由ってクレオには関係のないことで、説明なしにしれっと描かれているのがよりリアルに感じられた。多くを語らずに深く表現する映画、好き!
クレオにとっては、あくまでも大好きなナニーが突然国に帰ってしまって、それを受け入れたくないけど受け入れないといけないだけ。子どもらしい感情表現に焦点が当てられている。
まだ7月に入ったばかりだけど、早くも2024年下半期ベスト10入り確実な映画、なんなら、オールタイム・ベストに入る推し映画に出会いました。