ありふれた教室のレビュー・感想・評価
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学校という社会の縮図のような場所
新任教師が盗難事件を発端に泥沼に嵌っていく様子が恐怖で胸糞悪くてお見事
ずっとハラハラしながら見ていて、どっぷり疲れた
面白かった
最初から最後まで一切の無駄なく息を詰めて見た映画
こんなに緊張感を持続させて構成された映画って初めて見たと思うほどだった。
学校を舞台にした映画は色々あるけれど、教師と生徒と保護者に焦点を当てた最近の映画を挙げるとしたら「怪物」だろうか?「怪物」はこの映画と比べると大人の登場人物がマンガっぽい。教師間も教師と生徒、教師と保護者の間にちゃんとした言葉によるコミュニケーションや議論はなくて全てほわーっとした雰囲気の、または戯画化された映画だった。テーマそのものも子役も良いので「怪物」は好きな映画だけれど色んな意味で日本的だと改めて思った。
移民の子どもたちも普通にいるギムナジウム。あまり勉強に向いてないのに親の欲目でギムナジウムに来てしまう子どもも多い。教師も含めて移民のバックグラウンドがある人達がいるのが普通。日本同様、教師不足で保護者との対応は気が重いし、とってもストレスフルな職業だ。教師にとって一番大事なのは生徒。それをカーラは自分としては徹底していたと思う。ただ誰かへの相談や立ち止まってみる、が新人教師のせいか足りなかったかも知れない。このギムナジウムの教育方針に疑問を感じ反発しながらも過剰適応してしまった部分もあると思った。
教室でのカーラによる朝の挨拶。手を叩きながらGuten Tagとみんなで言う。ものすごい違和感を感じた、幼稚園みたいで。カーラが授業中に生徒を静かにさせたり注意を向けるために手を2回打ったら生徒もそれに呼応して手を打ちみんな静かになって先生の方をみる。これもすごく怖かった。あとでわかる:生徒達もその、特に朝の「儀式」は子どもっぽいと思っていたが先生に付き合ってやっていたのだ。
ところで、何度か校長の口からも出る「非寛容(ゼロ・トレランス)方式」という言葉に時代逆行的な雰囲気を感じて心がざわついたのでちょっと調べた。学校が荒れた時代の対応策でアメリカ合衆国発のようだ。この映画では学級委員への聞き取り、校長や教師の生徒への対応、警察への連絡、事務職の女性とその息子ヘの対応にそれは見られた。対象となる人の背景は一切考慮に入れない(移民とか人種、性別、シングルマザー/ファーザー、貧富、勉強ができるできない、コネのあるなし、保護者から教師への圧力、障害がある、身内に不幸があったなどなどに配慮しない、屈しないということだろう)。事柄や「事実」のみを対象にする。そして「客観的」に決められた処置方法や処分を容赦なく機械的に当てはめる。最後のシーンはまさにそうだった。私はオスカーを応援していた。だから王様のようなオスカーに心の中で「頑張れ!負けるな!」と叫んだ。でもオスカーは転校をまぬがれないだろう。
こういうのがいいのか、それともみんな右へならえ、目立たないのが一番、落第はない、学校は青春だーみたいなのがいいのか・・・。
とにかく刺激的で挑戦的で観客を不安な気持ちで一杯にして問いかける、質の高い映画だった。監督・脚本はトルコ系のイルケル・チャタク、主人公はレオニー・ベネシュ、銘記!
おまけ
数学であれ体育であれ、とても理知的で深くものごとを考えるきっかけを与える授業に魅力を感じた。それから、日本でいう中学・高校で一人の教師が二科目担当するシステムはいいと思う。それによって担任教師は生徒をより多面的に見ることができると思う。
どうしたらいいのか分からんです
始まりはシンフォニーの如く、そして華麗に美しく見事な調和で締めくくられる、あくまでも音楽そのものは。内容は、奏でられる音楽とは全くもって違うもの。一応、映像も美しく締めくくられてはいたけれど、何も締められてはいません。
清廉潔白、絶対的な正義とか善なんていうのは、なかなか無理があることだと思うので、ぶつかり合いが集団の中で沸き起こると、解決策などとてもじゃないけど見いだせるわけないと思っちゃうわけで、いざとなったとき、この作品のように、どんな立場になっても強く生きていけるか、正直自信がありません。そういった意味でいうと、この作品でのそれぞれの信念たるや、もの凄いものがあります。
あらゆる面でかなり難しさを覚える作品だと思いました。
ありふれた教室 自然と見入ってしまう作品。学校現場を描いた作品だが...
ありふれた教室
自然と見入ってしまう作品。学校現場を描いた作品だが、本作で扱うような問題は決して学校現場だけに起きる特殊な問題ではなくどのコミニティーにでも起こりうる問題であり誰しもが大なり小なり経験した事はあるのではないか。
事の発端は盗みの疑惑。生徒を疑い学校関係者を疑い。
主人公をはじめ、どの人物も正しい面もあれば正し くない面もあったり責任感もあれば無責任な一面もある。
もちろん誰しもが正しいと思ってやっている事ではあるのだが価値観や考え方の違いからくる摩擦をうまく描かれていた。問題が新たな問題を呼ぶカオスな状況が怖さも感じながらそして疲労感も与えてくれる作品だった。
結局作品内で問題は解決される事なくむしろ新たな問題が何個も生まれ放置された問題も多数有り。
このカオスな状況か逃げるのか、時が解決するまで耐えるのか…現実は解決法の多くがそんなものなんだろうと思いながら劇場を後にした。個人的には凄く好きな作品で楽しかった。
個人的な2024年洋画新作鑑賞ランキング
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 4.8
2 Firebird ファイアバード 4.8
3 コット、はじまりの夏 4.7
4 アイアンクロー 4.7
5 ありふれた教室 4.7
6 オッペンハイマー 4.7
7 クレオの夏休み(横浜フランス映画祭2024) 4.7
8 コンセント 同意(横浜フランス映画祭2024) 4.7
9 ARGYLLE/アーガイル 4.7
10 アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション4.5
11 9 恋するプリテンダー 4.5
12 バティモン5 望まれざる者(横浜フランス映画祭2024) 4.5
13 システム・クラッシャー 4.5
14 デューン 砂の惑星 PART2 4.5
15 愛する時(横浜フランス映画祭2024) 4.5
16 ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ 4.5
17 アクアマン/失われた王国 4.5
18 ニューヨーク・オールド・アパートメント4.3
19 マリア 怒りの娘 4.0
20 異人たち 3.7
21 ミツバチと私 3.6
22 ブリックレイヤー 3.5
23 猿の惑星/キングダム 3.5
24 ネネスーパースター(原題) Neneh Superstar (横浜フランス映画祭2024) 3.4
25 胸騒ぎ 3.4
26 オーメン:ザ・ファースト 3.4
27 RHEINGOLD ラインゴールド 3.3
28 12日の殺人 3.3
29 インフィニティ・プール 3.3
30 ゴーストバスターズ フローズン・サマー 3.2
31 プリシラ 3.2
32 コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話- 3.2
33 コヴェナント/約束の救出 3.0
34 僕らの世界が交わるまで3.0
35 ゴジラ×コング 新たなる帝国 3.0
36 ブルックリンでオペラを 3.0
37 ストリートダンサー 3.0
38 カラーパープル 2.9
39 弟は僕のヒーロー 2.8
40 RED SHOES レッド・シューズ 2.8
41 画家ボナール ピエールとマルト(横浜フランス映画祭2024) 2.7
42 Vermines(横浜フランス映画祭2024) 2.6
43 関心領域 2.6
44 タイガー 裏切りのスパイ 2.5
45 ジャンプ、ダーリン 2.5
46 またヴィンセントは襲われる 2.4
47 人間の境界 2.4
48 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
49 けもの(仮題)La Bête(横浜フランス映画祭2024) 2.3
50 マダム・ウェブ 2.3
51 落下の解剖学 2.3
52 ダム・マネー ウォール街を狙え! 2.3
53 哀れなるものたち 2.3
54 フューチャー・ウォーズ 2.3
55 殺人鬼の存在証明 2.3
56 エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 2.3
57 ザ・エクスチェンジ 2.2
58 DOGMAN ドッグマン 2.2
59 パスト ライブス/再会 2.2
60 リトル・エッラ 2.2
61 パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ 2.2
62 ボーはおそれている 2.2
63 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 2.2
64 瞳をとじて 2.2
65 ゴースト・トロピック 2.2
66 葬送のカーネーション 2.2
67 Here ヒア 2.1
68 美しき仕事 4Kレストア版(横浜フランス映画祭2024) 2.0
69 ハンテッド 狩られる夜 2.0
70 サウンド・オブ・サイレンス 2.0
71 トランスフュージョン 2.0
72 ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ 2.0
73 ゴッドランド GODLAND 2.0
74 キラー・ナマケモノ 1.9
75 ザ・タワー 1.9
76 ポーカー・フェイス/裏切りのカード 1.9
77 マンティコア 怪物 1.9
78 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断(イタリア映画祭2024) 1.9
79 アバウト・ライフ 幸せの選択肢 1.8
80 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
81 デストラップ 狼狩り 1.6
82 No.10 1.5
83 VESPER/ヴェスパー 1.5
84 フィスト・オブ・ザ・コンドル 0.5
番外
ソウルフル・ワールド 5.0
QUEEN ROCK MONTREAL 5.0
あの夏のルカ 5.0
私ときどきレッサーパンダ 5.0
FLY! フライ! 5.0
犯罪都市 NO WAY OUT 4.5
DUNE デューン 砂の惑星 リバイバル 4.0
バジュランギおじさんと、小さな迷子 リバイバル 2.0
メメント リバイバル 2.0
π〈パイ〉 デジタルリマスター 2.0
貴公子 1.5
ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター版 1.5
ありふれた?
どこの国でも教師は大変だな。。きっかけは校内の盗難事件ですが、犯人が判明した所で何も解決しないこれはもう、答えのない物語。ヒリヒリした雰囲気と人間関係は、サスペンス映画より怖かったです。緊張感のある作品が好きな人にはオススメ。
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