「保身と疑心暗鬼」ありふれた教室 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)
保身と疑心暗鬼
校内の盗難事件に悩まされている小学校を舞台に、ちょっとした思い付きで新任教師が撮影した動画の取り扱いを巡る不協和音を描いた内容です。
軽率な発言や誤った対処方法に対して、些細なことをきっかけに教師同士の対立、保護者からの糾弾、生徒たちの反発が生じ、
都度、当事者たちは自分を正当化することに汲々とするうちに学校が徐々に殺伐とした雰囲気になってゆく怖さが当事者の一人である新任教師の視点を通して語られます。
人々の意見は強固に固定したものではなく、対立する立場の人々も時には互いに優しさを見せて、子供たちは残酷さと無邪気さを併せ持って攻撃する相手に一貫性はない。
大人も子供も等しく持つ人間性の矛盾を丁寧に示すことで問題の根深さとリアリティが感じられます。
ある学校で起きたちょっとした事件を通して、普通の人が普通ゆえに持つ恐ろしさを実感した映画でした。
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