朽ちないサクラのレビュー・感想・評価
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緊迫感に包まれた見応え十分の会話劇!
娘の猛烈な推しによって、鑑賞を決めた作品でしたが、いや~感謝ですね。メチャクチャ面白かった。
ストーカーによる女性殺害事件が発生し、それによって警察の怠慢が発覚してしまう。
新聞社への情報漏えいが問題視されるけど、おいおいそこかって気がしないでもない。
情報をリークした犯人捜しに躍起となる警察の中で、県警広報職員の泉(杉咲花)には、思い当たる節があった。
親友の新聞記者との会話の中で、慰安旅行の話をふと漏らしてしまい、それを記事にしたのではないかと親友を疑い、問い詰めてしまう。(この部分から、既に泉の刑事の資質を感じたの自分だけだろうか)
なかば、ケンカ別れの状態で、潔白を示そうとした親友だったが、何者かに殺害されてしまうのだった。
呵責の念に駆られた泉は、捜査権を持たない身でありながら、真相究明に乗り出した。
安田顕さん、豊原功補さん、萩原利久さんが演じる三者三様の刑事の協力を得て、調査していくうちに、とてつもなく大きな事件へと発展していく。
淡々と進みながらも、着実に暗部へと向かっていく展開は、ホンッと楽しめました。
【ネタバレ】
でも、この作品、クライマックスの上司(安田顕)と泉(杉咲花)の妄想(真相?)について語るシーンがスゴいです。
問い詰めていく泉と、徐々に目力が変わっていく上司・・・
まさにこの作品の肝と言いましょうか。この部分のために全てがあったと言っても過言でない程の、緊張感溢れる場面でした。
新興宗教や公安が絡んできて、自分でも全て理解できたのかは、ちょっと疑問な部分もありますが、とにかく全編魅入ってしまう力をもった一本でした。
鑑賞後の満足度○ モヤモヤ感が残る。それが映画の出来に対するモヤモヤ感であって、(恐らく原作が捉えているであろう)警察機構ひいては世の中の不条理さに対するモヤモヤ感に昇華出来ていないのが本作の弱点。
(原作未読)①原作未読というか、柚木裕子さんの小説は一冊も読んだことがない。それでも、映画から女性作家としては骨太な本を書く人なんだなという印象を受けた珍しい映画体験。
それだけでも本作を観た甲斐が有ったと云うべきか。
②安田顕は大好演である。対峙する杉咲花も負けてはいない。(ただ、相棒となる男の子は下手。)
この二人の演技合戦は見応えはあるけれども、明快でない脚本(脚色)、重厚さと緻密さのない演出のせいで映画としての面白さに繋がっていないのが惜しまれる。
③あと、ミステリーとしては瑕疵がある(事件の全体像が最後までぼやけている、謎解きの鍵である人物の行動に矛盾がある、手掛りの出し方が偶然に頼りすぎ又は不公平等々)。
メイントリック(意外にスラスラと事件が解決に向かう、何故か刑事でもない事務職の女の子が刑事より先に簡単に手掛りをつかむ)が分かった時の衝撃度が薄い。
元々原作もそうなのか、2時間の映画にする為の刈込み方が悪かったのか、原作を読まないとこのモヤモヤ感は払拭出来そうにない。
実質的な主役は安田顕だったかも
昨年の「市子」で大ファンになった杉咲花主演の作品でした。彼女が出ているという理由で観に行ったので、あまり他の出演者を気にしていなかったのですが、実際観たら遠藤雄弥と森田想という「辰巳」で共演していたお二人も出演しており、安田顕や豊原功補、藤田朋子ら有名どころも含めて、中々のキャスティングでした。また原作も「孤狼の血」の柚月裕子と、こちらも期待が持てそうなお話。果たしてそんな本作を観た結果は如何に?
まず俳優陣については、お目当ての杉咲花は「市子」や「52ヘルツのくじらたち」ほどの重た~い役ではなかったものの、相変わらず感情表現が素晴らしく、言うことありませんでした。最近はテレビで「アンメット ある脳外科医の日記」をずっと観ていたせいで、ソバカスのあるお顔がお馴染みになっていましたが、本作ではそうではなかったので、逆に新鮮でした。
「辰巳」では取扱注意のグレた少女を演じた森田想は、序盤に殺されてしまうものの、物語の中心にずっと居て、特に杉咲花が演じた泉と、文字通り彼岸で邂逅したのは非常に印象的なシーンでした。豊原功補は、捜査一課の熱血刑事。最初は泉を下に見ていましたが、彼女の熱意に絆されて徐々に優しさを見せる演技は中々のものでした。
そして安田顕。泉をフォローする良き上司でしたが、実は彼には重大な秘密があったということが徐々に明らかにされて行きました。問題というべきか何というべきか難しいところですが、物語的には泉ではなく、安田顕が演じた富樫の方が実質的な主役という感じでちょっと驚きでした。というか、そもそも題名自体彼の背負っているもの(公安=サクラ)を象徴していた訳ですから、最初から種明かしされていたと言えばそうなのかも知れませんが。
あと、森田想演じる千佳の母親役を演じた藤田朋子ですが、娘を殺された母親役なので、やつれているのは理解できるのですが、ちょっと老けメイクし過ぎという印象でした。あんなお婆さんみたいなメイクが必要なら、もっと年相応な人がいたように思わないでもありませんでした。
長々と俳優陣について書いてきましたが、肝心のお話については、ちょっと今ひとつでした。登場する団体としては、警察とオウム真理教をモデルにしたと思われる宗教団体で、警察とヤクザが登場した「孤狼の血」とは構造的に似ている感じでしたが、この宗教団体の描き方が浮世離れし過ぎているというか、唐突過ぎる感じがして、全くリアリティが感じられなかったのが残念なところでした。「孤狼の血」のヤクザの描き方は、ヤクザなりの人間味が感じられましたが、本作の宗教団体の描き方は、その部分だけオカルトになっていて、どうにも同意しかねるところでした。この辺りの描き方にリアリティが感じられれば、かなり印象が違う映画になっていたのではないかなと思うところです。
そんな訳で、杉咲花をスクリーンで観られたことには大満足でしたが、ストーリーにはあまり嵌らなかったので、本作の評価は★3.5とします。
朽ちないサクラって、そういう意味か。
杉咲花さんと安田顕さんの演技バトル、見応えありました。
ストーリーも先の読めない展開でなかなか面白いサスペンスでした。ただ真相は明らかになったものの、そこで終わるのかという感じでした。あれでは友人の死は浮かばれない。泉が警察官になって、その先も観てみたいと思いました。
役者は良いが謎解きが非常に分かり辛くて不完全燃焼
豊原功補と安田顕はとても良かったです。杉咲花は可愛かった。
映画としては夢の部分など無駄な描写が多いのに肝心の謎解きの部分が非常に分かり辛い。長いセリフでどんでん返し的な謎解きをするけど、メインでないキャラを役名で言われてもピンと来づらく◯◯さんって誰だっけ?そもそもあのおみくじってどう使われてたんだっけ?と諸々の伏線を回収する筈がフラストレーションの方が募るばかり。
監督・脚本の問題だと思うけど原作も役者も良かっただけに本当に残念でした。
夢とか最後の長々とした母親への告白とか無駄な部分を削って、謎解きのキーとなる部分をフラッシュバック的に見せるなり、一人の長いセリフ以外で説明して伏線回収を丁寧に分かりやすくして欲しかった。
良くも悪くも構図ありきの映画、だと思う。
最後ドンデン返しあり、との前情報からディアファミリーと天秤にかけてこちらを選択。
途中、タイトル回収のエピソード(イベント)から、勘のいい人は黒幕が誰かは推察できるようにはなっている、が、語られてない構造上の要素があるようですっきり解読しきれる訳では無い。Sは結局誰だったのか?複数?ヘンミはなぜ公安の言いなりなのか、何か弱みが?
ブレーキ壊しただけで確実に口封じできる?もしシートベルトしてたら一命はとりとめてるんでは?
などなど。
まあ結末で真相はコレと明示しているようでしてないのでしょうがないのかも。
一つどうしても腑に落ちないのが主人公が事件に首を突っ込む方向にリードしている点。いや話が進まないからストーリー上はそれでいいのだが、黒幕が主人公の推測通りだった場合行動原理が矛盾してない?というところ。
桜(吹雪ほどではないが)舞う中をスクリーン上手側に向かって歩く主人公が印象的(意図的ではある)でこの絵を撮りたい映画だったんだろうなあと思われる。
私は公安に立ち向かう道を進んだ!という意思のようなものがみえてよい。
オープニングタイトルが橋の橋脚に被るようになっていたり、等構図にコダワリが見える。
ただあまり深い意味のないパターンもあるようで評価に迷う作品。
杉咲花はやっぱりです。
それでも前に進むしかない
お話は
期待しすぎてしまったかも
面白くないというわけではないけど、キャスティングの配置で結末が見え...
それでも前に進むしかない
前向きに聞こえる言葉が、ときに虚しく響くことがあります。
世の中の不条理、歪んだ組織、複雑に絡まり合った人間関係、一人ひとりの想いや考え方のズレがそうさせるんでしょうか。
そんな社会の現実やその裏表をギュッと詰め込むかたちでストーリーは展開し、前を見ることしか考えない組織が真相に深く関わるという結末でした。
それでも最後には前に進むことを決意した主人公がいました。そしてその隣には、その人が笑顔になることを望んで寄り添う人がいました。
何かエールをいただいたような気持になり、「この先も前に進んでも良いのかな」と思えました。
役所広司さんと対峙した松坂桃李さんがカッコよかった「狐狼の血」の締めくくりに感じた清々しさ。それとはまた違った清々しい締めくくりでした。
「桜」と「サクラ」の対比も良かったですね。
残念過ぎる…薄っぺらい展開…
杉咲花さんにハズレなし?
国民100人救うために数名の市民の命を悪の当て馬にするのは是か非か。
違和感
映画『新聞記者』を観た後の気持ち悪さを思い出しました。
実際にあった事件(桶川ストーカー殺人事件と地下鉄サリン事件)をモデルにストーリー的に使えそうな表層だけつなげていること、真犯人の目的や計画を組織が描いたものとすることが陰謀論に寄りすぎて突飛すぎること、公安の在り方に偏見まじりの創作性が重視されていることなどが、居心地の悪さを感じた。
原作では架空の県だったので、その創作(ファンタジー)っぷりがクッションとなって、楽しめたのだけれども、映画では愛知と具体的になっているのに違和感。
言ってしまえば「気持ち悪さ」の正体は、ファンタジーなのに、いちいち現実を挟み込むことで生じる、リアリティラインの曖昧さが生み出した「違和感」なのかもしれません。
杉咲花、安田顕、萩原利久、豊原功補らの演技力が高いために、ぱっと見で破綻はしていないけれど、設定の「軋み」が、作品自体の強度を下げてしまった気がしました。
ただ、杉咲花演じる森口泉のキャラはすごくよかったので、続編の『月下のサクラ』を映画化してくれないかな、と期待はしました。
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