劇場公開日 2024年6月21日

「杉咲花さんが演じた日本の超ハードボイルド!!」朽ちないサクラ グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0杉咲花さんが演じた日本の超ハードボイルド!!

2024年6月23日
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鑑賞方法:映画館

ハードボイルド…hard boiled(卵の固ゆで)。転じて、感情を交えず、客観的な態度で描写すること。また、そのような小説や映画。

杉咲花さんはどちらかというと小柄で華奢、どうみても暴力・バイオレンスとは無縁な人なのに、フィリップ・マーロウのような凄味と優しさを見事に表現しています。
日本の男優さんが演じてきたハードボイルドなキャラクターについて詳しいわけではありませんが、この映画の杉咲花さんは内面から滲み出る迫力でそれらを凌駕したといっても過言ではない、そう思うほどの演技でした。

そして特筆すべきは、脇を固める俳優さんの誰もが、キャリア最高に脂ののった演技だったのでは?といいたくなるほど、成り切っていたこと。
安田顕さんといえば、「私はいったい、何と闘っているのか」が記憶に新しいのですが、そのタイトルはこの映画での役柄にこそふさわしい!
刑事・梶山を演じる豊原功補さん。警察内部で不祥事件が発生したとしても、こんな人がいるのなら日本の警察も捨てたもんじゃない、と思えるようなプロ。
真実に迫ったがゆえに無念の死を遂げることになった津村千佳、それを演じた森田想さん。
映画の中の話なのに、本気で彼女に帰ってきて欲しいと思った人は私だけでないはず。

日本のインテリジェンス(公安)の実態は何も知らないのですが、「正義」についての思想やその在り方は別にして、この映画で描かれているようなことが本当にできる組織や人材がいるのならば、それはそれで頼もしくもあります。間違っても監視対象になるようなことだけは絶対に回避したいですが。

グレシャムの法則
ibtさんのコメント
2024年6月28日

グレシャムさん、お久しぶりです。
確かに私もハードボイルドを感じました。
マーロウ、良いですよね。
余談ではありますが、以前翻訳家の戸田奈津子さんにお会いし、「高い窓」はどこから翻訳されたのかお伺いしたところ、師匠に恥ずかしくて言えないとのことでした。清水俊二さんが師匠だったのですね。

ibt
かばこさんのコメント
2024年6月28日

杉咲花さん、安田顕さんと相対して一歩も引けを取らない芝居ですごかったです、ハードボイルドってわかります。
この映画の刑事も公安も、自分たちのすべきことに全力でかかっており、公安は手法は問題でも「本当にできる組織や人材がいるのならば、それはそれで頼もしくもあります。」に共感です。
実際には少し前になんかお粗末な事件があったりしましたが。

かばこ