「脅威か平穏か」アトラス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
脅威か平穏か
AIが進化した昨今。人類とAIを描いた作品は昨年だけでも『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』『ザ・クリエイター/創造者』など。
何も今に始まった事ではなく、それこそ『2001年宇宙の旅』の頃から。
半世紀以上を経ても未だ、人類とAIは共生の道を探り続けている。
本作でもまた。
AIが人間社会に浸透した近未来。
一体のAI“ハーラン”が人類に反旗を翻す。多くの人類が犠牲になり、ハーランは仲間のAIと共に地球外へ。
28年後。仲間のAIを捕え、ハーランが潜伏する惑星を突き止める。
ハーランに因縁を持つデータアナリストのアトラスはハーランを捕える任務に参加するが…。
AIらの迎撃によって部隊は壊滅。
窮地を逃れたアトラスはAI搭載ロボット“スミス”を頼るしかなかったが…、アトラスは人もAIも信用していなかった。
図らずもスミスと行動を共にする事になったアトラスに、ハーランの罠が迫る…。
大抵こういう作品の場合、敵の反逆には何か真意あり。
が、ハーランの反逆に何か一捻りあるのかと思ったら、特に無く。
唯一の捻りは、アトラスとハーランの過去の因縁。結局、AIを暴走させるのは…。
“AIテロリスト”の呼び名が新しい。もし将来、AIが進化して犯罪を犯すようになったら、本当にそんな通称もあるかもしれない。
AIキャラが印象残す。ハーラン役のシム・リウがクールに演じるが、本作の立役者はスミスだろう。新たな名AI誕生。
一方の人間キャラは…。ジェニファー・ロペスはギャーギャー喚き、スミスに怒鳴り散らすだけ。こりゃまたラジー賞ノミネートだね…。
人もAIも信用していなかったアトラスがスミスとの交流や共闘を通じて…。お約束ながら一定のドラマ要素はあり。
『カリフォルニア・ダウン』『ランペイジ 巨獣大乱闘』でVFXエンタメの手腕を発揮したブラッド・ペイトンが迫力のバトルを活写。
近未来、他惑星、ロボット、AI…。特筆すべき斬新さはなく、B級でもあるが、SF好きには堪らない要素たっぷり。
本作でも提示する人類とAI。
“クソッ!”な脅威となるか、平穏で信頼築ける関係(=バディ)となれるか。