「内容がネタかと思えば重要なことを述べていたり結構複雑。」キラー・ナマケモノ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
内容がネタかと思えば重要なことを述べていたり結構複雑。
今年163本目(合計1,255本目/今月(2024年4月度)37本目)。
(前の作品 「リバウンド」→この作品「キラー・ナマケモノ」→次の作品「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」)
まぁ、そもそも論でいえば、この映画自体が公式サイトなど見るまでもなく「ネタ枠」である点はまぁ最初から了知はできるし、映画館でやっていた予告編などからもネタ枠扱いで見に行った方が多いのではないかなと思います。
そのうえで、コメディパニックホラーとしてはタイトル通り「ナマケモノ」は出てきますが、映画のストーリー上、それと同じかそれ以上に重要なのがこの映画内で描かれている「謎のSNSの話」であり、この話と、さらにアメリカ史を参照するマニアックな字幕(後述)等が混ざり、ネタ枠とも単純に言い難いというところはあります。
まぁ、多くの方にとっては一部わかりにくいかなという部分があるのは確かなのですが(この点後述)、少なくとも、「女子寮の寮長の選挙ネタとそれに関係するSNSネタ(フォローがどうだのフォロワーがどうだのといった話)」を混ぜたために単純にネタ枠とも言い難い部分もあり(ただ、全体的にみればネタ枠)、ここはどっちかに寄せたほうが良かったのではと思いますが、日本で一般的にいう「フォロワーを心配する方」や「フォロワー稼ぎ」「広告収入稼ぎ」などとは違うレイヤー(階層)でこれらを気にするのがアメリカの文化なのかな、といったところです。
採点は辛い方が多いかなといった印象ですが、個人的には「B級映画以下であっても、それが推知できるか当然解釈できることが明らかで、人を不愉快にしない」限りにおいてはそこまで引かない立場です。
採点に関しては以下まで考慮しました。
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(減点0.3/一部のセリフの理解が困難)
「私たちの先駆者となる1884年の人物に感謝して」…の部分です。そしてこの映画は女子寮が舞台です。男性も一応でますが、主人公(を誰に取るかは色々あるとしても)も含め大半は女性の方です。
アメリカの選挙は当時も現在も「2大政党制」による選挙でしたが、1884年のこの年の選挙ではまだ女性に参政権(厳密には、投票権)が与えられていなかったものの、ワシントンDC(現在の名称)から、ベルヴァ・アン・ロックウッドという人物が「第3の党」を立ち上げ選挙に出ました(上記の通り、当時の女性には投票権はなかったが立候補権はあるというヘンテコな状況だった)。彼女は選挙序盤で大差で敗れますが、それでも5000~6000票(サイトによって数が異なる)を得た彼女の存在は、その後の「参政権における男女同権思想」に繋がっていくことになります。
そしてこの映画自体では、ほぼネタと化していますが「女子寮」で選挙をやっていますよね。…ということは…?
…といった知識が実は背景に隠れているので「完全ネタ映画」でもなく、こっそり男女同権思想の話も入っているのです(この1884年の選挙は、アメリカにおける参政権における男女同権思想を語る上では外せない人物、年でもあります)。
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