「死期が迫った大富豪老人のある計画とその巻き添えになった友人・家族の物語」ポーカー・フェイス 裏切りのカード ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
死期が迫った大富豪老人のある計画とその巻き添えになった友人・家族の物語
オンライン・ポーカーゲームの開発で、莫大な富を得た億万長者ジェイクは、幼なじみを自身の邸宅に招待し、大金を懸けたポーカーゲームを開催しようと提案。
ジェイクは彼らに毒薬を盛り、悪事を告白させようとする。
その頃、謎の武装集団による強盗計画も進行していた。
クロウ監督第2作目ですが、これが予想外に酷かった。
タイトルから、カードゲームやギャンブラーの話かと思えば、ただ出てくるだけで、なんとゲームはほとんど描かれない。
てっきり、幼馴染同士が数年ぶりに再会。
一晩中かけて行われる息詰まるポーカーゲーム戦を描きながら、一人一人の人生をゲームの合間に回想で見せていく…のかと思ってた。
余命宣告を受けた成金大富豪老人が、クズ揃いの幼馴染みを、超豪華邸宅に集めて、毒薬で脅迫。
自分と同じ死の恐怖を味わわせ、罪の告白を迫る計画を実行。
同じ夜に、その幼馴染みの一人の兄が、その邸宅にある、豪華成金趣味絵画コレクションを狙い、武装した仲間を率いて侵入してくる。
とにかく脚本がひどい、
少年時代の悪友たちと、数十年後の再会から、過去の贖罪を迫るのかと思いきや、共犯した罪があるわけでもなく(よく2時間ドラマの連続殺人の被害者たちは、秘密にしていた過去の事件の復讐だった、っていうのがありますが。)、自分の妻と不倫してた人気作家や、浮気で脅迫されてて預金残高0の政治家、日にボトル2本空けるアル中とか、幼馴染みたちが小悪党揃いだが、ミステリーでもない。
しかも、たまたま同じ日に、不良兄貴の武装トリオが襲撃してくるが、工夫して迎え撃つような「ホームアローン」的籠城アクションでもない。
普通考えると、少年時代につるんでいた仲間達で過去に起こした秘密の犯罪を、その一人だった死期が迫った主人公が、みんなを集めて一緒に償わせる贖罪の物語とか、あれからそれぞれ一人ひとりが犯していた様々な罪が断罪されるとか(from「そして誰もいなくなった」)、そんなのありきたり?
クロウも脚本の選択眼が無いなぁ、と思っていたが、実は理由があった。
インタビューもプロダクションノートも載っていない、レビューが6本以上も載っている異例のパンフレットでその理由が明らかに。
クランクイン5週間前に、監督兼脚本家が脚本未完のまま、突然の降板。
プロデューサーに頼まれたクロウが、脚本を完成させて監督もすることになったという。
その時点で舞台をアメリカからオーストラリアに変更。
結果的に、コロナ禍でオーストラリアの俳優・スタッフに仕事を与えることができたらしい。
(確かギンティ小林氏のレビューだったと思ったが、なぜか早々に紛失!違ってたらごめんなさい。)
それで…納得?
個人的には、クロウの計画のせいで門扉に挟まれて死んだ、何の罪もない従業員が本当にかわいそう。
殺す必要なんかないのに。(恐らく悪者のの非情さを描くためだろうが)