「壁と壁で部屋になる」アメリカン・フィクション ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0壁と壁で部屋になる

2025年2月22日
iPhoneアプリから投稿

2時間弱、だいたい同じ温度、ノリで進むのに不思議と飽きない。大きな感動はないけどうっすら面白い。多くの映画はエモを刺激するけど、これは頭を刺激する映画なのかも。

なんの話かって結局、人と人の間にある壁についての話だったのかな。白人と黒人だけじゃなく、親子とか夫婦、兄弟姉妹とか恋人、純文学と通俗小説、出自や家庭環境、経済的格差、性的嗜好、そしてフィクションと現実。それぞれ壁の向こうに追いやられてしまった側の苦しさもある一方で、突き詰めれば壁の最小単位は人と人との間にあるもの。壁は個室を作り、小説みたいにその人の視点でしか語りえないものの源泉にもなる。

今なお黒人と白人の間にある壁を強烈に皮肉っておきながら、エンディングはそれを前向きに捉えてもいるような明るさもあったのがよかった。

ipxqi