劇場公開日 2024年4月5日

「崇高と卑俗の狭間に生まれた悪魔の申し子」オーメン ザ・ファースト bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 崇高と卑俗の狭間に生まれた悪魔の申し子

2025年7月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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1976年に公開された『オーメン』は、当時、『エクソシスト』と共にオカルト・ブームの火付け役となって話題を呼んだ。当時、高校生だった自分にとって、鉄杭が、頭上から降り注ぎ、男を串刺しにするシーンは、非常にショッキングなシーンとして、今も刻まれている。その『オーメン』の悪魔の申し子とされた『ダミアン』誕生の秘話を描いた、2024年に公開されたオカルト・ホラー。

神の使いとしての修道女が集う修道院を舞台として、崇高なるキリスト教への信仰が基盤にあるこうした物語は、自分の様に、無宗教の人間には、なかなか理解し難いものがある。しかし、現代のイスラエルの戦闘を始め、多くの戦闘の裏には、宗教絡みの根深い遺恨があるのも事実。宗教や信仰というもののは、世界情勢にまで、影響を及ぼすものであることは間違いない。

修道女・マーガレットは、ローマの修道院で奉仕する為にアメリカから渡ってきた。新たな修道院は、当初は好印象だったのだが、心を病んだ一人の少女・カルリータとの出会いと、同じ部屋の友人と夜の街に繰り出した日を境に、マーガレットの周辺が、不穏な空気に包まれていく。そして、とうとう悍ましい死に方をする事故や事件が、次々と起こっていく。

その中で、マーガレットは、カルリータの出生の秘密に関わる、教会の恐ろしい陰謀を知ることになる。それは、宗教離れして教会への不満を訴える人民を、キリスト教信仰に、再び引き留める為に、悪の化身を生み出そうとする卑俗な所業だった。その教会の陰謀を明らかにする為に、マーガレットはその秘密の証拠盗み出す。しかし、そこにはマーガレットを奈落の底へと突き落とす、過酷な運命が待ち構えていた…。

主演のマーガレット役には、あの伝説のテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で、美少女ミアせラ役を演じたネル・タイガー・フリーが、成熟した女性となって、鬼気迫る演技を見せていた。ほんのちょっと、ラストシーンに、『オーメン』でダミアンの父親役を演じたもグレゴリー・ペックが映し出されるシーンがあったのは、当時を知る映画ファンには、嬉しい演出でもあった。

bunmei21