劇場公開日 2024年12月20日

「ゴシップまみれの今だからこそ観る価値がある映画。」【推しの子】 The Final Act おけんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ゴシップまみれの今だからこそ観る価値がある映画。

2025年2月14日
iPhoneアプリから投稿

主人公の青年が大ファンだったアイドルの子どもとして転生し、「推しの子ども」になるって話。

今回はドラマの前日譚とドラマの結末がセットになった2部構成。絶対にドラマを観てから行くべき。ちゃんと完結してくれたのが◎

まずシンプルに原作のストーリーがめちゃくちゃおもろい。

青年が前世の推しであり転生後の母でもあるアイを殺した犯人を追うミステリーサスペンスが大きな軸。その周りでアイドル業界・芸能事務所・ドラマ現場・恋愛リアリティショーなど芸能界の光と影がリアルに描かれてたり、登場人物の恋愛模様、アイドルの煌びやかなパフォーマンスなどなど内容がとにかく盛りだくさん。ただ、ミステリーとしての「犯人は誰なのか?」みたいなのを考察する楽しさはドラマ版までかも?

芸能界がどれだけ多くのプロフェッショナルの手で作られているのか。そして年端も行かぬ人間の人生がどれだけ消耗されてるのか、そういう部分をリアルに描いてる。

簡単に良し悪しだけでは語りきれない、いろんな人間の夢や努力、思惑が混沌と絡み合っている。

その結果、そりゃ人格が捻じ曲がってしまう人も生まれちゃいますわな。という、、、

構成もめっちゃ良くて、テンポよく進むからずっとおもしろい。

登場人物もキャスティング・役作り・衣装など含めてそれぞれのポジションがしっかりわかりやすくて、いろんな場面でのキャラの組み合わせによってお互いの存在感がさらに引き立つのが面白い。

アニメ版を全部は観きれなかった僕でも、ドラマ版は本筋以外を若干削ぎ落としてくれたおかげでサクッと観られた。ユーモアシーンは減ってる?もはやほぼゼロ?だったけど全然気にならなかった。

アニメ版と比べてストーリーの順番が少し組み替えられてるのも良かった。でも、なぜ良かったのかと考えると僕自身がアニメ版1話を見ていて全体像への予備知識があったからだと思う。

【推しの子】を初めて観る人には、まずはアニメ版の第1話からぜひ観てほしい。
作品の始まりがどれだけ衝撃的か知ってるとさらに楽しめると思う。

演技もえぐい。全員がその場の空気を支配してる感じで、全キャスト強者感が半端ない。演技の細かいことはよくわからないけど、気迫が伝わってきて、どのシーンも見応えがあった。

音楽は、普段アイドルソングを聴かない僕でも演出が豪華で思わず見入った。箱の規模感とかもめちゃくちゃリアル。歌唱シーンでのマイクのブレだけは少し気になった。笑

観終わった後の満足感はかなり高かった。連載終了時は終わり方に賛否あったらしいけど、個人的にはこれで良かったんじゃないかな。犯人側の視点をもっと知りたい気持ちもあったけど、、、
少しだけ描かれた犯人の過去を見てると、実はキャスティングにも深い意味があるのでは…?と考えてしまった…。(多分考えすぎ)逆に犯人の動機について多く語らないことに意味があるのかもしれない。

ゴシップまみれの今だからこそ観る価値がある映画。

推しがいる人が観ると推しがより尊くなるだろうし、普段芸能ゴシップに振り回されてる人はちょっとは受け流せるようになるかも?いろんな人にぜひ観てほしいなと思った。

YouTubeやTikTokにも関連したコンテンツがあるのでエンドコンテンツとして楽しんでみようと思う。

おけん