「独特のセンスに貫かれた衣装やライブシーンは見どころなんだけど、単体作品として観るには少し引っ掛かりもある一作」【推しの子】 The Final Act yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
独特のセンスに貫かれた衣装やライブシーンは見どころなんだけど、単体作品として観るには少し引っ掛かりもある一作
原作漫画もアニメも配信ドラマもあまり触れないままこの劇場版を鑑賞した観客による感想です。
きらびやかなライブシーンは臨場感があり、アクア(櫻井海音)とルビー(齊藤なぎさ)、そしてアイ(齋藤飛鳥)らの独創的なファッションも新鮮で、スクリーンで鑑賞する楽しさが多い作品でした。
一方で配信ドラマの鑑賞を前提としているのか、説明不足と思えるような場面も少なくないので、単体の作品としてとらえるのは(一応物語上の決着をつけてはいるものの)難しいのでは、とも感じました。
例えば序盤に割と時間を割いて描くアクアとルビーの出生の秘密について、赤ちゃんのモーフィングとか実写ならではの驚きはあったものの、もしかしてこの設定、全く省いても本作の内容だと全く支障ないんじゃあ…、と思ってしまいました。原作とかどうなんだろ…。
映画製作の段取りの細部を描いている点はちょっと面白く(本作で「衣小合わせ」という言葉を学んだ!)観ることができたんだけど、ここに時間を割くよりも、アクアが中盤になって「あの目的」のためになんで「この手段」を取ったのか、その必然性を示すのが先では…、と感じました。
ちょっと理解に苦しむ展開や唐突な登場人物の登場に戸惑うことの多い作品だったけど、二宮和也の演技はそんなもやもや感を強引にねじ伏せてしまうような底知れなさがあり、彼の演技で作品全体がかなり上向きました!
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