劇場公開日 2024年6月14日

「若い世代の思いを鼓舞する」数分間のエールを キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5若い世代の思いを鼓舞する

2024年6月30日
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「青春モノ」とまとめてしまえばそれまでだが、ストーリーのモチーフも、音楽もラストのMVもすごく新しい要素があって観ていてテンションが上がる。

我々古い世代が感じてしまうフルCGアニメにありがちな「嫌味」は抑えてあったし、色彩も綺麗。

音楽を作る・絵を描くってことと「(既存曲)のMVを作る」ことは、やはり違うステージの話だから、登場人物それぞれの苦悩を同じ「作り手」として括ることは本質的には難しいし、「自分が何を伝えたいか」と「何が伝わるか」はまた別の話でもある。
そういう意味では、主人公の彼方が最初に作ったMVだって「正しい」と言える。
もちろん、夕がそれを受け入れないのもまた、正しい感覚。

でも、そんな行き違いも、解決するのはやはり「若さ」。
立ち止まることも、一時的にそこから離れることも、若者たちにとっては作り手として自立するための助走みたいなものなのかも知れない。

約1時間の作品で、もちろん全体はシンプルになるのは分かる。加えて楽曲の演奏時間が結構あるので、ドラマ部分はかなり研ぎ澄ます感じがあるかと思えば、予想外にドラマ部分の演出が古くさくてテンポが良くないなあ、と感じてしまった。

様々なクリエイターに限らず、若い世代がこれを観て、高く評価しているのは素晴らしいこと。
もちろん物語として、我々の様な中高年世代の受け止め方とは違っていて当たり前。

公開翌々週に、同じく1時間程度のアニメ作品として「ルックバック」が公開されたのは不運でもあるけも、是非たくさんの若い方に観てほしいね。

キレンジャー